本物の聖女なら本気出してみろと言われたので本気出したら国が滅びました(笑

リオール

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 なんでそうなる。
 いきなり何を言い出すんだ、この馬鹿王子は?

 そう思って王子を見れば、その横でシンディは何やらブツブツと呟いていた。

「その前に、シンディの力を見てみよ!」

 そう王太子が叫ぶや否や。
 なんと!

「──眩し!!」

 シンディが光出したのだ!え、何これ。

 その瞬間、おおお……と、どよめきが聞こえた。

「見よ!これぞ真の聖女だ!なんと神々しいことか……」

 ごめん。
 ホントごめん。
 何が神々しいのか分からない。

「おお、美しい……聖女様だ、聖女様だ!」

 民衆がそんなこと言ってるのが聞こえる。マジか。

「なんと美しく暖かな光だ……これぞまさに聖女!」

 貴族連中もなんか言ってる。

 みんな本気なんだろうか。
 だってシンディ……光ってるだけなんだよ?

 気配を辿れば、やはり私が張った結界に変化は無い。
 繁殖期でいきり立ってる魔物の気配もそのままだ。
 この国を浄化する……というものも感じない。

 本当に。
 光ってるだけですがな。

 なのにみんな「聖女様!」「聖女様万歳!」とか言ってるんですけど。

 この国、大丈夫かしら。

 本気で心配になった頃に、光は消えた。

 そして一斉に私へと向けられる視線。いたたた、なんか刺さるような視線が痛いよ!

「アイリーン、どうだ!」

 どうだと言われましても……何と言えばいいのだろう。眩しかったですって素直に言ったら、また殴られそうよねえ。

 さてどうしたものかと思案に暮れてると、クリス王太子がビシッとまた指差してきた。人を指差すな。

「お前が本物の聖女であるならば!本気の力を見せてみろ!」
「──本気、ですか?」

 それこそ本気か?本気で言ってるの?そう問えば、大きく頷く王太子。

「どうせ偽者のお前には何も出来ないだろうがな。さあどうする!?本気を見せるか謝るか……素直に罪を認めるならば、当初の予定通り幽閉に……」

 おそらくなのだけど。聖女の勘なのだけど。

 多分王太子は、幽閉されても私が祈り続けると確信してるのだろう。
 だってシンディは聖女じゃないから。私こそが本物の聖女だから。
 王太子だって知っている。でもシンディと結婚したいからこその、この茶番。

 本物の聖女である私。きっと国のため、理不尽な状況でも国を守ると信じてるのだ。

 でなければ、国を騙した悪女が処刑では無く幽閉で済むなんて、有り得ないもの。

 それを皆は勘違いして、王太子の恩情だと思うのだろうか。

 私を悪女にして、自分達だけ幸せになり。
 聖女の仕事を、待遇最悪な状況で私にやれと。

 そんなの。
 そんなのって……

「ふざけんなよ」


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