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しおりを挟むそうして国外追放されてから二年が経過した。今私はかつて住んでいた国から三つ国をまたいだ遠い異国に居てたりする。
「リンカちゃん、悪いんだけどちょっと腰を診てくれんかねえ」
「はーい。あら、ちょっと痛めてるねえ。……はい、これで大丈夫よ」
「おお、全然痛くない!流石だねえリンカちゃん、その癒しの力で本当に助かってるよ」
「ふふ、おばあちゃんのお役に立てて良かったわ」
「そうそう、この前の隣村の一件、土地が凄く良くなって豊作間違いなしだって喜んでたわよお」
「それは良かった」
「作物が取れたら持ってくるって!」
「わあ嬉しい!」
色々なところを転々としてたのだけど、ここ最近はこの小さな村に居座っている。折角持ってる癒しと肥沃の力なのだ、色々な場所に行って助けたい。あと色々な国を見たい。
もうそろそろ他の場所へ……と思うのだけど、ここが居心地よくてなかなか出れなかったりする。
出れない理由はもう一つあったりもするのだけど。
「おいリンカ」
「ひい!」
その理由を考えてたところに声をかけられて、思わず悲鳴が出てしまったわ!
「何驚いてんだよ。これ、異国の事を伝える情報誌なんだけどよ、これ見てみ」
共に旅をして二年。ディスが私にとある物を見せてきた。それは臨時に発行されたもののようで、少し印刷が荒かった。が、書かれてる内容に目を見開いてしまった。
「あれ、アーサー王太子が失墜。度重なる問題行動の末、王位継承権剥奪、だってさ」
「ここも見てみ、婚約者だったアシェリー令嬢も王家の金を使い込んでる事がバレて身分剥奪だってよ」
「……」
「……」
「……何やってんの、あの人たち」
結局、私が居なくなってから随分はじけてしまったお二方。
なんでもアシェリー令嬢の聖印は偽物であることがバレ、聖女でなくとも能力があった私を追いだした事で国中の批判が殺到したらしい。
教会も王家も信頼がなくなり、今じゃあ王家は形だけ、民主制にほぼなってるとかどうとか。
そうなった原因を作ったアーサー王子は責められ、彼は現実逃避に走った。女と酒に溺れたらしい。
アシェリー令嬢も、聖女ではなかったから美味しい目に遭えなくなったことが悔しかったのか。王家の金を使い込むって……なぜそうなった。
「まあ元々やらかしそうな奴らだったってことだ」
「気の毒にー」
思い切り棒読みですよ。
まあいい、あの国の事はもうどうでもいいのである。全ては今が大事ってね。
「ところでさあ、そろそろ他の場所にも行ってみない?」
私はちょっと前から何度もしてる提案をディスにした。そんな私をジトッと見つめるディス。な、なんだよう。
「おい、何度も言ってるがな、俺はそろそろお前と子供を作りたいんだが?その為にはそろそろ一カ所に腰を下ろして……」
「子供て!まだ結婚してないし!」
「じゃあ結婚するぞ。はい、俺ら今から夫婦な」
「かっる!ちょっと、プロポーズくらいして!せめて結婚式くらいさせて!」
「なんだ、意外に乙女なんだな。いいぞそれくらい簡単だ、じゃあ早速教会に行って相談だな」
「え!?いや、ちょっとなんだ、言ってみただけで……まだ早いかな~とか?」
「早くねえよ。俺が何年待ったと思ってんだ。ほら行くぞ」
「あ~れ~!!」
煮え切らない私に痺れを切らしたのだろう。ガバリとディスに抱き上げられてしまった。いわゆるお姫様抱っこですな!
そのまま攫われるようにして教会へと連れられる私を見て……。
一連の会話を聞いていたおばあちゃんが、ニコニコしながら言ったのだった。
「あらあら、仲いいわねえ」
大団円!?
~fin.~
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