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エピローグ
そして始まる18歳
しおりを挟む「何も言わなくていいのか?」
執務室を出て、自分の部屋に戻る。必要最低限の物が詰まったカバンを手に持つ。
「いいのよ。また戻ってくることもあるでしょ」
先は長いのだから。
そう言えば、「まあいいけど」と返って来る。メルビアスからしたらどうでもいいのだろう。長く生きてる彼は、家族というものに執着がない。
「そんなことより、私の時間は本当に止まっているの?」
確認すれば「ああ」と返って来た。
「お前の体の時は俺が止めている、心配するな」
「そ。ならいい」
私は今日、18歳になった。焦がれて焦がれて……けれどけして到達することのなかった時間。それをついに手にした今日、私の肉体時計は止まる。メルビアスが止める。
「じゃ、行きましょうか」
「どこに?」
「どこでも。お勧めの場所は?」
私達は旅に出る。行く当てのない旅。時間はたっぷりあるのだ、世界中を全て見て回るのもいいかもしれない。
「危ない場所はよしてよね。死んでまた戻るのは面倒だから」
「俺をなんだと思ってる、危険を感じたら世界の時を止めて常に回避してきたんだぞ」
「でもそうしたら、あなたの肉体時計が進んでしまうじゃない。私は時が止まったままなのに、あなただけ進んだら年齢差が開いてしまうわ。そんなの嫌よ」
「なんだ、ジジイになった俺は興味ないか?」
「……そんなことないけど」
不覚にも、ナイスミドルなオジサマメルビアスを想像して、ちょっと見たいと思ってしまったではないか。
「ま、とりあえずは安全圏での旅だな」
「とりあえずって何よ」
「たまには刺激も欲しいってこった」
「……まったくもう……」
話しながら、私達は馬車に乗り込む。私がコッソリ用意した馬車。といっても、執務に夢中な祖父に気付かれる心配は全くなかったけれど。
「ねえメルビアス」
「ん?」
ゆっくりと馬車が走り出す。揺れると触れるメルビアスの体。相変わらず、彼は正面ではなく私の横に座る。
それをドギマギしてることに気付かれないようにと、平静を装って私は質問する。ずっと聞きたかったことを。
「どうして、亡くなった奥さんの肉体時計を止めなかったの?」
そうすれば、ずっと一緒に居られたのに。
「あいつはそれを望まなかった。それだけだ」
こともなげに答えられて、なんだか拍子抜け。もっと深い意味があるのかと思ったのに。
「奥さんが望んだら、止めた?」
「さあ、どうだろうな」
ふわあと大きな欠伸をして、メルビアスは目を閉じる。寝るつもりか。
「……どうして、私の時を止めて一緒に旅してくれるの?」
それを望んだのは私。彼が私の時を止められると言った時に、願ったのは私。でも旅も一緒にしてくれるとは思っていなかった。
「一緒に居たいからに決まってるだろ」
またも、なんでもないことのようにサラッと答えが返って来る。そんな赤面するようなこと、平然と言うかあ!?
「そ、そう……」
「なに赤くなってんだよ。ガキか」
「んな!」
寝ようとしてたくせに、いつの間にか目を開けて私の顔を覗き込んでくる。そういう不意打ちはいらない!
「ま、とりあえず」
ボボボッと赤くなる私をからかうように、頬をなで、金の髪を指に絡ませるメルビアス。彼の口が私の耳に近付いて……
「フルーツケーキでも食うか?」
色気の「い」の字もないようなセリフ。この状況で言うようなセリフではないはずのそれに、私はキョトンとして。
それから満面の笑みを浮かべて「うん!」と頷いた。
「18歳おめでとう」
メルビアスの綺麗な唇が、私の唇に触れそうな距離で動いた。
~fin.~
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スッキリしました😽ありがとうございます!
こちらこそお読みいただきましてありがとうございました!😊
面白かったー!
ありがとうございまーす!\(*´▽`*)/
うーむ、『ざまぁ』系を書く時はそれなりの覚悟がないと全くお話になりません。
それなら『ざまぁ要素あり』などにすれば良いだけです。
作者さんは「死はいきすぎかなぁ」と書かれていますが、ではあなたが同じようにされたらゆるせますか?
弟だって迫害していたのは変わりありません。
私は同じようにされたことがあるので、当然許せません。
なんちゃって『ざまぁ』を書きたいなら『ざまぁ要素』と書いて欲しいです。