ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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10、悪役令嬢はパーティでも通常運転です

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 目映いばかりに美しく煌びやかな装飾に、空腹を刺激する見た目から味まで完璧な大量のご馳走。
 気合いの入った礼装の人々は、食事に舌鼓を打ちつつ楽しげに会話を交わす。

 今夜は年に一度の王宮でのパーティーだ。この定期開催以外は招待客が限定された王族の誕生パーティや、何かめでたい事が無い限り行われないので、みんな気合いが入ってるし出席者も多い。

 知り合いを探すのにも一苦労……

「ベルシュ様あ、これ美味しいですよ、お一ついかがですか?はい、あ~ん!」

 しねえな!苦労せずに知り合い簡単に見つけられるな!

「せーい!」
「へぶうっ!」

 おー、ナイスな転がりっぷり。
 私のパンチでゴロゴロ華麗に転がる様は、もう芸術の域に達してるよね。さすが聖女候補!

「何すんのよあんた!」

 素が出てますよ、聖女、候補。

「聖女よ!」
「まだでしょ」

 聖女認定されるのは知ってるけど、そのイベントはゲームの終盤だから。

「そもそも公爵令嬢が殴るんじゃ無いわよ!」
「いやだって、『あーん』とか言うから思わず」
「は?」
「『あーん』ならやっぱり『ぱーん……』」
「すとぉぉぉーっぷ!あんた何言ってんのよ、それ以上言うんじゃ無いわよ!」

 チッ、変なとこで常識出しやがる。

 ぶりっ子ヒロインとのバトル勃発から数日。奴はその手を緩めることは無く、連日男漁りに勤しんでいる。
 その中でも圧倒的に多く絡むのがベルシュ様だ。やはり本命だからだろうな。あの手この手で王太子に近付くも、全く相手にされてないけど。この時点でかなり原作と異なってるんだけどねえ。

「ベルシュ様ぁん、アンナシェリ様が恐いん」

 それでも懲りずにぶりっ子貫くんだから。強いよなお前!

「こりないなあ、お前も」
「ぐえっ!」

 長い黒髪を後ろで束ねたのを、おもっきし後ろに引っ張ってやった。掴みやすくていいな、その髪形。なんか首がゴキッとか言った気がするけど、まあ気にするな。

「あ、あんたねえ……」
「あーごめんごめん、つい」
「仲いいねえ、二人とも」

 睨み合ってると王太子の爆弾が投下された。
 やめて王太子、その爆弾発言は大爆発よ!!

 そんな風にギャイギャイ騒いでたら「そこまでだ、アンナシェリ嬢!!!!」と突如名前を呼ばれたんですけど。
 え、何事?と振り返れば。

 腰に手をあて仁王立ちのテリス王子が一人。あらやだご無沙汰、元気してたあ?

「黙って見ていれば聖女への悪行暴言の数々……これは許されん大罪だ!これ以上の狼藉は僕が許さない!」

 僕が許さないと言われてもねえ……。
 注目を集める中、どうしたものかと思案していたら。

 ぶりっ子が先に動いた。

「テリス様あぁん、助けてくださうぃ!アンナシェリ様ったら酷いんですよぉ!」

 うぃってなんだ「うぃ」って。相変わらずお前のぶりっ子語はおかしいな!

 泣き真似したぶりっ子に抱きつかれて鼻の下伸ばしてるのはテリスだ。大概バカだよな、お前も。

「ははは、ミサキよ案ずる事はない、全て僕に任せておけ!魔女は僕がやっつけてやる!」
「あんなこと言ってるよアンナ」
「それは洒落ですか」

 違いますかそうですか。

「どうする?」

 完全に楽しんでますね、王太子。まあ私も楽しいですけど。

「テリス様、わたくしとミサキさんはとっても仲がいいんですよ」
「んなわけないでしょ!」

 私の言葉に思わず反論してきたぶりっ子。素が出てるよ、危ないよ~。
 ぶりっ子は慌てて口を押さえるも、なんか言いたそうにウズウズしてるね。

「見知らぬ世界に来てお寂しいかと思いまして、色々気にかけて差し上げてただけですのよ。そうそう、ミサキさんには元居た世界のお話しもたくさんお聞きしましたわ」
「え。そ、そうなのかミサキ?」

 ビックリしたようにテリスがぶりっ子を見るが、当然ぶりっ子は首を横に振る。まあそうなるわな。

「いやですわ、ミサキさんたら。先日お話しいただいたあの話なんて特に面白かったのに!」

 そう言って、私はべりッとぶりっ子をテリスから引きはがした。その腕に私の腕を絡ませる。傍から見れば仲良しこよし。

「な、なんのことでしょうか?」
「ほら、あの……漫才とかいうもの!」
「はああああ!!??」

 出てる出てる、素が出てますよー。
 完全に私の奇策に翻弄されてるぶりっ子は目を白黒させている。ふひ、面白ー!

「ああ、マンザイとかいうのを以前アンナから聞いたことがあったな。そうか、あれはミサキの世界の話だったのか」

 ポンと王太子が手を叩く。

「はああ!?あんた何サラッと王太子に日本の話してんのよ!?」
「いやですわミサキさん、貴女が教えてくださったんじゃないですか。てか素が出てますよ、ほら聖女候補らしく、ほらほら」
「アンナシェリ様、何サラッと王太子に日本の話してますの!?」
「言ってる事同じじゃないか」
「うっさいわ!」

 もう面白いからそのまま素でいけよ。ケラケラ笑ってたらすんごい睨まれた。テリス王子が呆気にとられてますぜ、聖女さんや。

「せっかくだから、そのマンザイっての見せて欲しいなあ」

 天然王太子がとんでもないこと言ってきたな。

「だってさ。見せてあげれば、聖女候補」
「なんで私がそんなもんしなきゃいけないのよ!」
「え~毎度ばかばかしいお話を……」
「それは漫才じゃなくて落語じゃーい!」
「お後が宜しいようで~」

 てけてんてん……

「……って、マジふざけんなお前ぇぇ!!」
「うっひゃっひゃ!最高!ミサキちゃん最高よ!!!」

 見なよ、テリス王子や他の取り巻きのポカンとした顔。王太子一人大爆笑だし!

 真っ赤な顔になったぶりっ子が胸倉掴んでこようとしたけど、それをヒョイと避けた。

 さて……

 バカ騒ぎが過ぎたかな。何だなんだと大人たちも集まってきたし。流石に潮時かな、帰ろっかな~。
 そう思ってたら。

 ザワリ……

 場の空気が変わった。緊張感のある、シリアスな雰囲気に……。

 何かと思って騒がしい方を見て。

「!!」

 私もぶりっ子も緊張で体を固くしたのだった。

 ゴクリと喉が鳴る。

 私達の視線の先には、頭を垂れる貴族たちの姿。
 そしてその先には──

「父上、母上」

 王太子ベルシュ様の声。

 そう、国王夫妻。
 並々ならぬ威厳と気迫を携えたその人たちが。

 静かにこちらへやってきたのだった──











=====作者の独り言=====

以前ぶりっ子ヒロインの容姿をピンク頭とか記載してましたが、修正しました。
昨夜寝落ちしたので夜中テンションで書けなかった……。


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