ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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14、悪役令嬢と魔王、どっちが極悪?

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 きたよきました、魔王登場!そこは原作通りなのね。

 こういった世界での魔王には色々パターンがあるけれど。
 大きく分ければ敵か味方か。
 攻略対象か否か。
 美形か化け物か。

 まあ美形なら大抵攻略対象で味方だわな。

 ちなみにこの世界ではというと──

「あんたこの世界の原作知ってんでしょ!?だったら当然魔王がどんなかも知ってるわよね!?」

 あ~はいはい、そういうことね~。
 そりゃ当然知ってますよ、魔王の登場はこのゲームの佳境だからねえ。知らない方がおかしいってもんだ。

「そりゃまあ知ってるけど」
「攻略対象なの!?イケメンなの!?私に害をなすの!?どういうイベントなの!?」

 質問多いな!

「私が素直に教えると?」
「あんたのせいで酷い目にあってるのよ!?」
「自業自得って言葉知ってる~?」
「昨日神殿に、『聖女の可能性があるのなら、三百年の眠りから覚めた魔王を再び封印してこい』って言われたんだから!なんであたしがそんな危険なことしなきゃいけないのよぉ!」

 だからまずは『自業自得』って言葉を調べろ。お前絶対知らんだろ、この言葉。
 情報寄越して助けろとかふざけんなよ。やれよ自力で。聖女なんだろ。
 てな事をいちいち言うのもめんどくさい。

 う~ん、どうしよっかな~。

 もったいぶって考え込んでいたら両肩掴まれた。え、なに、まさか私にキッスとか言うなよマジで。また地面にキスさせるぞ。

 とか思ってたらガックンガックン肩を揺さぶられた。

「いいから教えなさいよ!教えなさいったら教えなさい!」
「そそそれれれががが」

 揺れて話せんわ!
 それが人に物を尋ねる態度かぁぁぁ!

 抗議の声も出せない。ちょっとガックンガックン激しすぎないっすかね。

 うっぷ、だんだん気持ち悪くなってきた。酔った止めて、それ以上揺さぶらないで、まじ気持ち悪し。

「やめ、やめ……気持ち悪いから……お前の顔が気持ち悪いから!」
「なんですってえぇぇ!」

 失礼間違えた、失礼じゃ無いけど間違えてみた。

「お、おま、おまあ!」

 さすがね、先日の伯爵と同じどもりっぷり。養女になって立派に似たもの家族になってるじゃあないか!

「おっま、ふっざけんじゃないわよう!」

 わようって何だ、わようて!

 突っ込みたいけど揺れ止まらん。だ~れか~止~めて~。

 しばらく揺らされてたらようやく止まった。話せない事にやっと気付いたか、遅いわ、マジ殺意!

「ぎもぢわるい……」
「質問に答えなさいよ!」

 おま……まじでやるぞ……。

 殺意こもった目で見たらおとなしくなった。よえーなお前。

「魔王は美形なの!?」
「……まあ美形なんじゃないすかね」

 魔王は美形、と呟くぶりっ子。反復すな。

「敵なの?味方なの?」
「敵」
「──つまり攻略対象じゃないのね?」
「さあ?」
「知らないの?ち、使えないわね……いや待てよ、美形で知られてないってことは隠しキャラか?」

 なんで舌打ちされないかんのだ、腹立つ。

 ブツブツ何やら呟きつづけていたぶりっ子は、やがて何かを納得したのかニヤリと微笑んで。顔を上げて私を見た。

「つまりこれは隠しイベントなのね?そうなのね?なるほど、王太子が駄目なら魔王ゲットもありってことか」

 何この人、魔王とラブラブする気なの?やだ怖い、キモイ、病んでる、恐ろし~。言わないけど。

「そうと決まればこうしちゃいられないわ!どうせヒロインの私が死ぬなんてことないはずだし!急いで準備して行かなっくちゃ!」

 ちょ、待てや、礼も無しか!?

 という私の怒りの言葉は当然聞こえるわけもなく。
 嵐のごとくぶりっ子は去って行ったのだった。

 おま、ふざけんなよ!!!!











 ──と、怒りの言葉を投げる事はしない。
 ニヤニヤと笑いが止まらなーい!

 私は別に嘘は言ってない。

 魔王は美形かって?

 人の好みは千差万別、大勢が美形と思っても、そうは思わない少数派だっている。逆に100人のうち99人が美形じゃないと思っても、残り1人美形と思う可能性はある。

 だから魔王が美形だってのはけして嘘じゃない。私はそう思わないけど、美形だって思う人もいるだろう。
 たとえ、魔王のスチルが……ガーゴイルの巨大版みたいなようだったと記憶していても。あれを美形だって思う人はいるだろう。多分。

 当然攻略対象じゃないけど、もしかしたら実は攻略対象だったのかもしれない。まあ無いだろうけど。私原作の制作者じゃないし?本当に知らないだけかもしれないし?

 それと隠しイベントでもなんでもなく、普通にこの時点で好感度高くなった攻略キャラ達と共に行くイベントなんだけどね。返事聞かないぶりっ子が悪い。

 更に言えば、ゲームスタートからこの佳境イベントまでに聖女としての力を磨きあげる必要がある。
 更に更に、共に行くキャラ達が強くないと……かなり苦労すると思う。

 男漁りに必死だったぶりっ子のレベルが上がってるとは当然思えんし。
 好感度高くて一緒に行くキャラといえば……多分テリス以下のばっかだろうなあ。王太子・ロルス・ゾルゼンスは絶対無いだろうから……

「あれ、そういやあの三人のうち一人でも一緒に行かないとやばいんじゃなかったっけな」

 下手すりゃ全滅するんじゃね?いや分かってたけどな。

 ニヤリと黒い笑みを浮かべても、ここは人気の無い校舎裏。誰も見ることはない。

 私はぶりっ子が去って行った方角を見やって一人ほくそ笑んだ。

「あ~あ、死ななきゃいいけどね、あいつら」

 悪役令嬢らしい真っ黒の笑みは、実は私が魔王であっても違和感ないくらいに。
 きっとどす黒いものであったろう。





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