ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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16、悪役令嬢がキレる前にあの人がキレました

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 はああああ!?
 え、なに、どーゆーこと!?

 王太子とぶりっ子が結婚?
 私とテリスが結婚んん!?

 何これ何これ……ひょっとしなくても原作強制力!?

 どう足掻いても王太子ルートにならないから強引にしてきた!?

 こっわ!原作強制力こっわ!!

 テリスだって攻略対象じゃないか!なんでテリスルート駄目なわけ!?ヒロインが王太子ルート望んでるから!?そーですかそーですか……ってふざけんなあああぁ!!
 
「んきゃあああ!王様最高ですう!そうですよね、ヒロインは王太子と結ばれるのが当然ですよねえええ!!!」

 部屋に存在する半数以上が呆然とする中。
 空気読めない存在が──前世ではKYという言葉が一時期あったななんて思いつつ、KYでKZなぶりっ子が大声を上げた。

 思わず王様に抱きついちゃったの?そうかそうか、良かったね、王妃様が氷の目でお前見てるよ。早く王様から離れた方がいいと思うよ。止めないけど。死んで欲しいから。

 必死でぶりっ子を押しのけようとする王。それを黙ってブリザードアイで見つめる王妃。そして真っ青な顔のテリス。

 同じく私も青い顔をしてると思う。あまりに大きな爆弾発言に、内心私の頭はチリチリだ。

 頭痛い……

 まさか。
 まさかこんな展開になるとは!

 魔王封印イベント終わったら聖女認定イベント、そして卒業パーティイベントまっしぐら。そこでヒロインがルートの最終選択を行い、好感度が足りてるならそのまま結婚ラブラブハッピーエンド。足りなきゃ聖女として神殿入ってノーマルエンド、寧ろ嫌われてたらバッドエンド。

 ちなみにバッドエンドは庶民になる。なっとけ庶民に!

 ちなみにちなみに、ハッピーエンドどころかノーマルでもバッドでも、悪役令嬢アンナシェリは死ぬ。なんでやねん!

 そんな理不尽はさておき。

 王太子との婚約が無かったことになるのは……まあ百歩譲って受け入れても良い。元々王妃になんて成りたくなかったし、デスエンド覚悟してるから気持ちを入れ込まないようにしていた。──友人としては大好きだけど、そこに恋慕は無い。

 それよりも受け入れがたいのは!

「ちちちち父上!何てこと言うんですか!ミサキが兄上と結婚!?僕がアンナシェリ嬢と結婚!?有り得ません!!」
「激しく同意ーっ!!」

 もはやなり振り構ってられない!
 合いたく無いけど今だけ気が合うな、同志よ!我ら互いに結婚したくない隊ここに結成!

 焦る私達に対し、何故だか温度差のある王の表情。

 ニコニコ笑いながら
「まあまあ、お前達は充分お似合いだぞ。良いではないか良いではないか」

 どこの悪代官じゃあ!

 ふざけた事をぬかす王の髭抜きたい!髪むしりたい!

 どうにも出来なくて両手がワキワキしていたら。

 突如スッと立ち上がる人物が視界に入った。

 優雅に。けれど無言の迫力をもって。
 立ち上がった王妃は横の王を見下して「あなたちょっと」と一言。なんかオーラ出てるんですけど。

 その瞬間。真っ青な顔になった王が「はははははいぃ!!」とどもりながら立ち上がった。ん、何だこの空気?
 
 直後。

 目にもとまらぬ早さとはこの事か、という早さで王妃が動いた!

 そして私は見た。

 目の前で繰り広げられる惨劇を!

「いだだだだだ!まてリアラ、痛い、真剣に痛い!ギブギブ!!」

 見事な早さで王の頭を掴んだ王妃が──ヘッドロックかましたー!

 も一度言うよ、王妃が王にヘッドロックぅぅっ!!!!

 なんで王はギブギブなんて言ってんだろう、原作者の趣味だろうか……

 あまりの光景に呆然としていたら、すかさず王妃は次の動きに入り──

 あれよあれよと技が入った。

「グガゴゴ!?§★◐▲♤〓!?」

 文字化けじゃ無いよ、王がもう言葉発せ無い状態になってるだけ。──見事な逆エビ固めで。王妃が王に逆エビ……え、いいの、この構図?いいのこれ!?

 もうこの世界が乙女ゲーだなんて誰も思わない光景が目の前で繰り広げられるのを。
 私は黙って見て──るわけがない!

「ひょおおおお!王妃様、最高ですぅ~!」

 ぶりっ子顔負けの語尾伸ばしで黄色い声援送るわ!
 いいぞいいぞ、もっとやったれえ!アホ王をとことん痛めつけちゃれえぇ!!

 そんな私にニヤリと笑みを返す王妃様。かっこええー!

「王──モルゴン、次はどんな技をお望みですか?」
「がっふ、うっほ」

 王ってモルゴンっていうのね、どうでもいいけど。
 モルゴン様はもう声出せないです、言葉になってないです、ゴリラか。

「王妃様、私はコブラツイスト見たいですー!」

 王様リク無いみたいなので私が!ビシッと右手を挙手して言ってみた!

 そんな私のリクエストに王妃再びニヤリ。
 そしておもむろに立ち上がり、ヘロヘロの王を立ち上がらせ……

「んがふっふ……ふおおおぉ!!」
「うひょおお!素敵、王妃様素敵です、愛してる~!」

 国王の瀕死の声を聴きながらの黄色い声援が止まらない!

「あなたは一体何を考えてるんですか!勝手に……わたくしにも相談なく、な・に・を・勝手に決めてるんですか!」
「わし、王!わし、王ぅ~~~!おうううう~~~!」

 なんか王が意味不明な事言ってますけど。王だからってふざけたことしてんじゃねーぞ!ちゃんと国民のこと考えろっつーんだ!

「王ならば国の事を一番に考えなさい!あれの!どこが!王妃に!相応しいと!?」

 凄い、王妃様まとも!こんな素敵な人が居たなんて!

 ちょっと感動で涙出そうです。泣いていいですか?感涙ですよ!

 そこで王妃がようやく王を解放した。青い顔で床に転がる王。なさけねえ。

「そもそもベルシュはアンナシェリの事を好きなのですよ?王である前に父親としてそんな冷酷な事が許されると!?」
「だってだって、聖女なんだもん!聖女が王妃になったらそれだけで国の株上がるんだもん!」

 おい、ふざけた本音が出たぞ。
 そう思ったのは私だけでは無かったようだ。額に青筋が浮かぶ王妃。あ、まだやるのかな?

 そう思った時だった。
 ゆらりと新たに立ち上がる影。

 静かに、けれど威圧感半端ない空気をまとって。
 王太子が、ついに立ち上がったのだ。


 









=====作者の独り言=====

王妃は多分転生者。本筋に関係ないのでその辺の詳細は略しますが、技名を理解してる時点でまあそうなんでしょう。
あとそろそろボロ出そうなので言い訳しておきますが、作者はプロレスには疎いです。ちゃんと見た事無いです。ただ話の流れ的に何となくプロレス技が適してる(…)と思ったので、色々調べて書いてるだけですので(汗
変なとこあってもスルーしてください(^^;)
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