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18、悪役令嬢の苦手なものは……
しおりを挟む「奉仕活動?」
あの衝撃の王族騒動から数日。再び私とぶりっ子は王宮に呼び出されていた。
前回が前回だけに私もぶりっ子も身構えていたのだけれど。
呼ばれた部屋にいたのは宰相一人。ロルスの父親だ。何度か会った事があったなという程度の認識しかないけど。
王の補佐である彼が優秀だからこの国もってるんだろうなあ。先日の王の様子を思い出して、宰相の有能さがあって良かったとしみじみ。
そんな宰相から、私達に指令が下ったのだ。いわく、教会にて奉仕活動をしなさいと。
「聖女候補、そして王太子婚約者としての責務です。どちらも国を支える母なる存在として、国の為の活動をしていただきます」
にゃるほど、そういうので私達の資質を見極めようってことですにゃ。
え、にゃんで猫言葉かって?これから猫をかぶるための予行演習ですにゃ。──いかん、大量に猫かぶらんといけないとはいえ、これではぶりっ子と同レベルだ。危ない危ない。
これからゲームイベントが起こる。教会での奉仕活動。そこでぶりっ子は聖女として完全に目覚めるのだ。ゲームタイトル「マルシェスタの鐘が鳴るとき聖女が舞い降りる」が、この教会──マルシェスタ教会イベントで回収されるわけなのだ!!
そこはまあいい。邪魔するものでもない。ただ、正式に聖女となった時にこのぶりっ子がどう動くか。それを横からジックリ見る必要があるのだ。腕が鳴るぜ!
そんなわけで、しばらくは猫かぶって様子を見守る態勢に入るのです。
「奉仕活動って具体的に何するの?」
もうぶりっ子の口調にも慣れた。この世界、それくらいでぶりっ子にキレる人が居ないと分かったから。心広い人が多いんだね、うん。
「主に子供の相手をしていただきます」
「「は?」」
ハモるな、きもい。ぶりっ子がすんごいしかめっ面で私を見てきたが、お互い様だっつの!
「マルシェスタ教会では子供の育成に力を入れております。親を亡くした子を引き取り、また、仕事で忙しい親のため、日中のみの子供預かりをしています。これがなかなかに重労働で大変なのです。国からの支援もあり経済的な運営は問題ありませんが、いかんせん人手が足りない状況が続いておりまして……。そこで、お二人が手伝う姿を見せて、人手を増やしたい」
なるほどなるほど……なるほど……私の──苦手分野ですな!
何を隠そう私は子供が苦手だ。嫌いじゃ無いよ!子供が苦手と嫌いは大違いだから!
なにせ前世は一人っ子、今世は兄と姉がいる末っ子。親戚にも年下は居ない。王太子に妹王女が居るけど、まともに会ったこと無いのよね。私があんまり王宮に行かないからだけど。
そんなわけで私は子供とどう接して良いのか分からないので、苦手なんだ。
う~んと思い悩んでいると、横からの視線に気付いた。
なんだぶりっ子、熱い視線投げんな。技のリクエストでもあんのか?
「あんた……ひょっとして子供苦手でしょ?」
ひょっとしなくても苦手です。答えなかったけど表情を読まれたようで。
不気味にニヤリと笑われた。うわあ悪女な顔だわあ。
「ほ~ほっほっほ!この勝負は私の勝ちね!」
いやこれ別に勝負じゃないんですけど。
そんな無言の突っ込みは聞こえないぶりっ子は、右手を腰に当て左手の甲を口元にあてて高らかに笑い声をあげた。その笑い声、真っ黒スーツのあの人を思い出させるな。最後は必ずバッドエンドってか、怖っ!
「何を隠そうあたしは子供の相手得意なの!あたし子供に好かれんのよね~」
でた、私子供に好かれるんです発言。自分は良い人間だと暗に言いたい輩の得意な発言の一つだね。胡散臭いことこの上ない。
「レベルが一緒なんじゃない?」
精神年齢低そうだもんね。
「ふん、何とでも言えば?あたしの株がドーンと上がるのを指くわえて見てなさいな!これで王家も、あたしが王太子の妻に相応しいと分かるはずよ!」
本当に子供に好かれたとして、それだけで王太子の婚約者になるのは厳しいだろう、冷静になれ。駄目だあれはイッてる目だ。子供ら大丈夫かな。
──などと子供達のことが心配になったのが今日の午前の話。
午後から早速マルシェスタ教会にやってきたわけだが。
「おーい、大丈夫か~?」
心のこもってない声で聞いてみる。全くもって心配ではないが。
「ふっ……へ、平気よ、これくらい……んぎぎぎ……!」
お~いいねいいね、頑張れよー。心のこもらない声で声援を……送らないけど。黙ってぶりっ子を見つめる私の目には、幼い大量の子供達──が、ぶりっ子の上に乗る様が映っていた。最初は一人の子がお馬さんをせがんだわけだが。あれよあれよと増えた。
なるほど、確かに子供にもてるな。その人数持てるか?
もてる。
持てる。
かけてみた。うん、どうでもいい。
ぶりっ子が子供に埋もれてるのを見ていると、私の手を引く小さな手が。
「ねえねえオバチャン、遊んでよー」
ベタだな!こういうシーンにありがちなそのセリフ、いいね!
そうだよオバチャンさ、前世と合わせりゃ余裕でオバチャンですよ!否定しないよ!
「いいですよ、何をしますか?」
「んとね~……」
「どっせーい!」
「うっほう!」
背後から別の子に体当たりされて思わず変な声が出たわ!なんだ、やるか?いいね、子供は元気が何より!
それからしばらく。
私と子供達とのプロレスバトルが繰り広げられたのであった。……ちゃんと手加減したよ!
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