ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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25、久々の悪役令嬢

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「あ、カイトゥ~、ちょっと買い物付き合って欲しいんだっけどぉ~」
「はい、行こうか私と行こうかすぐ行こうか、俺に付いて来いやあ!」

 攻略対象でもなんでもない、とある貴族令息(そこそこイケメン)を捕まえようとしていたぶりっ子の手を。
 ガッシと掴む。やだ私ったら熱烈ぅ~!

「は?え、ちょっ?私はカイトとぉぉぉ!」

 私とぶりっ子はいそいそとその場をフェードアウト。
 街中までぶりっ子引っ張ってって、勿論その後ぶりっ子ともフェードアウトですよ!

 ──なんか久しぶりだなあ、こういうやり取り!

※ ※ ※

「モルドン、ここが分からないのぉ~。教えてくださらない~?」
「おーっとくねくね蛇が出た!捕獲、捕獲ぅ!」
「ふんぎゃお!?」

 クネクネとキモイ動きでこれまたモブな男子に近付くぶりっ子の首根っこをムンズ掴んだ。

 蛇のごとく素早くその場を離れるよ!勿論ぶりっ子と共に!

※ ※ ※

「ぃやだ!アークロッド、ちょっと背中見てくれない!?虫、虫がついてる気がするのぉ!」
「お前が虫だああ!」
「わぶっ!?え、何これ、何よこれ!?」

 この世界にも虫取り網があって良かったね!
 ぶりっ子の頭に網をかぶせてそのまま捕獲したよ!標本にでもしてやろうか!部屋には飾らんけどな!







 ゼーハー、ゼーハー

 二人揃って肩で息をする。つ、疲れた……!

「お、おま……節操ないにも、ほどが、あるわ……!」

 息も絶え絶えに言うと。

「あ、あんたねえ……いい加減に、しな、さいよ!何度、邪魔すれば……!」

 ぶりっ子も息絶え絶えに抗議してくる。

 それを見やってから、ふ~と一息。どうにか息が整ったところで不適にニヤリと笑ってやった。

「ふん、あんたが男漁りをやめるまで邪魔し続けてやるわ!大体なんなのあんた、なんでどれもこれも婚約者のいる男性ばっかなのよ!」
「人のものは魅力的なのよ!」

 うっわ!
 クソな人間の発言きた!

「うわ~~~~」

 おもっきしドン引きしたけど、ぶりっ子聖女は全く気付かない。

「あんたこそいいわけ?あたしはもう立派な聖女なのよ!こんな嫌がらせ続けてたら本当にバッドエンドまっしぐらよ!?」

 ぶりっ子聖女は、アンナシェリという悪役令嬢の結末が必ずデスエンドだとは知らない。それなりに痛い思いをする程度だと思ってるんだろう。

 だから気軽にバッドエンドとか言ってくるわけだが──いや、知ってたら、それこそ嬉しそうに追い詰めてくるんだろうけど。

「だから望むところだって言ってんでしょ」

 死という道しか無い私は、つい真剣な顔で答えてしまった。ぶりっ子聖女が訝しげな顔で見てくるが、何も言えることは無い。

「とにかく、あんたが男漁りをやめるまで邪魔するから。それが嫌ならテリス王子でも選んどけ」
「いやよ、あんな平凡な男!」
「お前を心から愛してくれてるレアキャラだぞ!?」

 贅沢言うな!第二王子なんて十分すぎるだろうが!

「あんなのが王になっていいと思ってんの!?」
「お前が言うなあぁっ!!」

 ふざけた発言にイラッときたので、おもっきしアッパーくらわしてやったわ!

 ほんと、お前が言うな!お前だけはテリスの悪口言っちゃいかんだろう!テリス以下のお前だけは!

 が、珍しくそれでオネンネとならなかった。お、ちょっと強くなったか?

「ふ、ふふふふ……」
「なんだ、いかれたか」

 もう既にいかれてる気もするが。

 殴られて笑ってるとか気持ち悪い!とドン引きのドン引きしていたら。

 アゴをさすりながらぶりっ子がニヤついた顔で私を見てきた。うん、不気味。

「ふん、いい気になってられるのも今のうちよ」
「は?」

 何を言ってるのか今一つ分からず眉を寄せる。

 そんな私に勝ち誇ったように不敵な笑みを浮かべ、ぶりっ子は私にビシッと人差し指を突き出してきた。

 ──ので、ポキッとその指を折る。(外側にじゃないよ、ちゃんと曲がる方にだよ。私ってば優し~!)

「指差すな」
 さすな、指を。二回言っておく。

「──ふ、ふん、そうやって強気で偉そうなこと言ってられるのも今だけなんだから!」
「どういう意味よ、それは」
「そのうち分かるわ!それまでせいぜい首洗って待ってることね!」

 おーほっほっほ!!

 不快で耳障りな笑い声を残して、ぶりっ子は走り去って行ったのだった。何だあれは。







 数日後。
 自宅にて父から呼び出しをくらう。

 え、今日は何のお説教だろう?あれかな?それともあれかな?思い当たる事が多すぎて!

 女を捨てた行動に両親からお説教されるのも、もう日常茶飯事。今回もそうだとビクビクしながら父の書斎へやって来た。

 すると、父が無言で何かを渡してきた。
 見ると王家からの手紙。

 あ~……嫌な予感しかしない。

 そう思いながら中身を見て。
 私は固まってしまった。

 それは招待状。もちろんパーティの。

 何のパーティかっていうと……

「聖女お披露目?」

 お披露目パーティとは名ばかりの、ぶりっ子と貴族令息達による集団お見合い。

 それへの招待状だったのである。
 私の兄──もちろん婚約者がいる──へと。そしてなぜか私にも。

 天井を仰ぎ見る。見えるはずの無い暗雲を見た気がする。

「あ~……そうきたかあ……」

 私の呟きを聞いた父もまた、深く深く大きな溜め息をついたのだった。


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