ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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エピローグ

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 目を開けると、その世界は白かった

 右を見て左を見て
 上を見て下を見て
 そして前を見る

 どこまでも白の世界は不思議としっくりきていた。

 もう一度足下を見る。影が無い。

 私は白しかない世界で、浮いてるのか立ってるのか分からない状況で。けれど疑問に思わず現実を受け入れていた。

 だって全て終わったことを知ってるから。

 転生して公爵令嬢として生きた。
 異世界転生してきたぶりっ子を懲らしめた。

 そして──「あの人」と恋に落ち。
 幸せな家庭を築き。
 そうして死を迎えたのだ。

 死因は──まあいい。ここで話すほどのものでもない。

 私は原作ゲームに勝ったのだ。重要なのはそれだけ。楽しく笑える生を全うできた。それで充分。

 満足のいく人生だった。

 そして現在。

 ここはいわゆる、あの世、てやつなんだろうか。
 だとして、これからどうすればいいんだろう?

 天国に行くのか地獄に落ちるのか、はたまた──?

 首を傾げていると、不意に。

『いらっしゃい』

 声が、した。

 声のした方を見る。
 そこには、光があった。
 サッカーボールくらいの丸い光が宙に浮いていたのだ。

 手を伸ばせば、光は近付いてきて、私の目の前まできた。
 眩しいとは感じない。

 優しい、光──

 そっとその光を両手の平に乗せるようにして掴む。

 光は温かかった。

「今話したのはあなた?」

 そんなはずは無いだろう。光が言葉を発するわけが無い。
 そう思うのに、そう思えなかった。

 それは確信。
 言葉は光から放たれたんだって。

『そうだよ』

 そして光はアッサリと肯定の意を示したのだった。

『僕は世界を統べる者。そうだな、人間の言うところの神、かな?』
「神様──」

 それはつまり、あの乙女ゲームを作った、あの原作者ってことだろうか?

 考えただけなのに。言葉など発していないのに。

『違うよ』

 まるで私の心を読んだかのように、光の玉は話すのだ。実際読んでるのかもしれない。

『世界ってのは全てってこと。キミの前世の地球も。転生先のゲームの世界も。全ては僕が作り出し──数多の世界を統治してるんだ』

 数多の世界を統べる。そんな事が可能なのだろうか?いや、可能なればこそ、彼は神だと名乗っているのだろう。

「その神様が、私に一体何の──」
『ありがとう』

 何の用ですか?その問いは最後まで言わせてはもらえなかった。
 代わりに、謎の礼を告げられる。

「ありがとう?」

 何が?
 首を傾げてると、可笑しそうに──笑うかのように光の玉が揺れた。

『僕はウンザリしていたんだ、勝手に動く世界の。面白みのない成長を遂げる世界に』

 それは作成者の我儘か身勝手か。
 私にそれを判ずる権利はない。

 だから「はあ……」と気の無い返事しか出来ないんだ。
 それを何とも思わぬように光の玉は淡々と言葉を続けた。

『世界を作る。それは僕の仕事だから僕はきっちり役割をこなした。作った世界がその後どのように成長するかは自由にさせてるんだけど』

 つまりは自動育成モードってとこだろう。

 ところが、そのせいで困った弊害が出たのだと光は言う。

『どの世界を作っても、やれ異世界転移者だ転生者だ、聖女に悪役令嬢に、ざまあだ何だ。あまりにワンパターンに嫌気がさしたのが正直なところ』

 それを言われると言葉が詰まる。
 だって私も転生者だったから。異世界転生してキッチリ聖女にざまあしてやったし、ありがちな事をした自覚があるから。

 押し黙っていると、クスリと光の玉が笑った。

『でもね、そんな世界ですらも僕は愛しいんだ。何であれ、自分たちの意思で世界は成長を遂げたのだから。子供が親離れするのは寂しいけど嬉しいもんなんだよ』

 そういうもんでしょうか。
 一応転生先で親となった私だが、どうにもピンとこなくて首をかしげてしまった。
 子育てを覚えてはいる。覚えてはいるが、その時の感情がどうだったかが、もう思い出せないのだ。死んでしまった私には、感情がなかなかついてこない。

『ただまあ、ちょっと違うパターンも欲しいなあと思ってたんだ』

 何だそれは。暇人なんですね。
 思わずそう言いかけて言葉を飲み込む。流石に世界の創造主に、そこまで言うのは憚られた。

『そこへもって、キミの登場だったんだ!』
「は?はあ……」

 どうにも神が何を言いたいのか測りかねて、私は気の無い返事しか出来ない。

『キミもやっぱりよくある悪役令嬢だったけれど、ちょっと普通じゃあなかった!実に痛快だったよ!』
「ええ、そ、そうですかあ……?」

 まあ確かに普通の悪役令嬢では無かった気がするけど。
 そんな喜ばれるようなものでも無い気がするんですが。

 よっぽど退屈してたのかな、この神様。

『聖女にざまあするのは普通だけど、仲良くなるとか無いよね、斬新だよね!』
「仲良くねーわ!」

 散々言われて散々否定してきた事を、まさか死後にまで言う事になろうとは!

 私は顔面蒼白になるのを感じながら、大声で否定した!

 けど光の玉は聞いてるんだか聞いてないんだか。
 何だか妙に嬉し気に、ウンウンと頷くように上下に揺れる。

『分かってるよ、分かってる。ちゃあんと分かってるから!』

 何が分かってるんだろう。
 いよいよもって胡散臭くなってきた自称神様の光の玉を、私はジトッと睨んだ。

 その視線を理解して、アハハ~と光の玉が苦笑する。
 分かってるんだか分かってないんだか。

 ため息をつく私に、光の玉はコホンと一つ咳ばらいをして話を続けた。

『それで、だね。この世界のワンパターンに一石投じてくれたお礼に。キミの願い事を一つ聞こうかと思ったんだ』

 本来ならすぐに転生するとこなんだけど。

 そう一言付け加えて、光の玉は私の手から離れる。

『キミは、なんになりたい?』

 何に成りたい?

 その質問の意図が計り知れず、私は首を傾げた。どういう意味なのか?

『僕は神だからね。キミの転生先を自由に割り振る事が出来る』

 本来なら自動機能な転生を、手動でやってあげよう。
 それが神からのご褒美、なんだそうな。

 なるほど。
 ようやく神が私をこの白い世界に呼び込んだ理由が分かった。

 分かって考える。

 何に成りたい?
 私は何に成りたい?

『地球のような、魔法も何もない、けれど無限に夢を見れる世界がいい?それともまた乙女ゲームの世界?冒険いっぱいの世界でもいいよ』

 それは無限の世界を統べる者ならではの提案。

『そしてどんな役柄にもなれる。平和にモブしたいってのもありだし。勇者になりたいお姫様になりたい、聖女でもチートのような能力者でも。なんでも、叶えてあげよう。あ、性別だけは最初に魂が出来た時に決まってるから変えれないけどね』

 ちなみに魔王とかドラゴンとか、人外もありだよ。

 それはとっても魅力的な誘惑。

 私はワクワクしながら、あーでもないこーでもないと必死にない頭をフル回転させた。

 時間の流れなんて分からない。
 どれだけの時間を考えたかなんて知らない。

 でも。
 色々考えて、出た結論。

 それは揺るがない、私の願いだった。

 座り込んで考え込んでた私だったけど、ようやく決めた思いを頭に、立ち上がる。

『────決まった?』

 黙って待っててくれた光の玉が──創造主が、静かに問うた。

 私は静かに頷いて。

『キミは、何に成りたい?』

 その問いに、ニカッと笑って。
 ハッキリと、大きな声で言ったのだ。





「悪役令嬢!!」






 ~fin.~




※もうちょっと続くよ!






===後書き===

というわけで本編はこれにて終わりです!
お読みいただき本当に本当に、ありがとうございました!
か~な~り当初の予定と違う展開に頭を悩ませまして……これ以上はズルズル書いても面白くないと思って終わりと致しました。
とは言っても、不完全燃焼この上ないですよね!なにせ恋愛が全然ないから!

そんなわけでこの後は番外編です。

ベルシュ・ゾルゼンス・ケアミス
各キャラとの恋愛編です。
甘くなるかは謎ですが……もう少しだけお付き合いください<(_ _)>

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