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もう一つのエンド~ぶりっこ聖女のお話~(3)
しおりを挟む「あ~めんどくさ。何で私がこんな事を……」
「ぶつくさ言わない!」
公爵家の馬車で神殿までやって来た私達。別に飛んでも良かったんだけどさ。アンナが嫌がるから。
ちなみに赤ん坊は乳母にお願いしてある。後から屋敷にやって来る旦那さんもたまには面倒見るべきだって事で。……はたしてあの男に、ちゃんと赤子の面倒が見れるのだろうか。想像つかん。
「くそう……本当ならあたしが『あの人』と結婚する予定だったのに!」
「何、まだ言ってんのそれ」
アンナがあの人と結婚する時した時してからも。
ずっとずっと言ってるわよ、悪い!?
「あたしはこの世界のヒロインなんだから。男なんて思うがまま意のままのはずが……」
「何年前の話よそれ」
「あたしには昨日の事のようなのよう!」
「テリス居るっしょ」
「誰それ?」
「あわれテリス……」
何がどうしてか異世界に飛ばされてきた私は。
どうやら乙女ゲームの世界だと認識したのはいいけれど。
ヒロインだったはずなのに!
なのに!
「これってノーマルエンドどころかバッドエンドよねえ……」
そうしてゲームの時間軸は終わりを告げて。
今や立派なお一人様!
「嫌だ、このまま枯れていくのなんて……絶対嫌だわ」
「ちなみにさあ。元居た世界では、彼氏とか居たの?」
「居ないと思う?」
「居るわけ無いと思う」
正解よ、腹立つわあ!
「なんであたしに彼氏いないわけ!?おかしいでしょ!?」
「いやむしろ当然というか」
「るさい!」
「顔怖いよ」
「誰のせいで恐くなってると思ってるのよ……」
なんかもう疲れた。
がっくし項垂れてると、ポンと肩を叩かれる。
「まあ落ち込むな」
「?」
「神殿に居れば孤独死だけは避けられる!」
「ふざけんじゃないわよ!」
キーッと頭を掻きむしる。
大体おかしくない!?
このトンチンカンなアンナがあんな素敵な人と結婚してて!
どうしてあたしが一人なのよ!?
「まあまあ……とりあえず、どんな人が好みなの?」
「イケメン」
「帰るぞこの野郎」
「何よ、誰だってイケメンが好きでしょうが!」
言っておくけど、この年齢ともなれば、顔だけのことでイケメンと言ってるわけじゃないからね?
ちゃあんと『性格いい人』とか『優しい人』とか、精神面も考慮してのイケメンよ?
「ほほう、ぶりミサキも成長したなあ」
「ぶりミサキ言うな」
アンナは成長してないように見えるけどね。
「人のこと言えんだろうが」
「精神面で言えば、あんたの旦那はイケメンとは言い難いわよね」
「そこは否定せんよ」
否定しないのか。思う所があるわけね。
「で、なぜ神殿に私は連れて来られたの?」
「あんたが誰も紹介出来ないって言うからよ」
何でも、前世からのコミュ障が今も続いてるとか。
全っ然、これっぽっちも!私に対しては障害出てないみたいだけどね!?
そんなわけで、未だに知り合い少ないアンナ。男一人も紹介できない役立たずときたもんだ。
──あんたそんなんで、よくあの人の奥さん務まるわね。
「とりあえず身近なところから……あんたの意見も聞いときたいと思ってね」
社内恋愛。
憧れるでしょ?
「いや、私は別に」
「アンナには聞いてない」
「ひどい!聞いて私の好きなシチュエーションを!」
「黙れ人妻ぁ!!」
今はあたしの婚活中なんだよ!人妻は黙っとれい!
相変わらずの騒がしさのまま、私達はバンッと神殿の扉を開いた。
「あ、お帰りなさいミサキ……様~!──あれ、どちら様?」
ちょっと、今『様』を付け忘れかけたでしょ!?どうしてあたしの扱い、そんなに雑なわけ!?
「あら、可愛い子が居るじゃない。この子でいいんじゃない?」
「……あんた、早く帰りたいだけでしょ」
「そうとも言う」
そうとも言うなあ!
どこをどう見て、出迎えたボウルが私にお似合いだと思うわけ!?
「いいじゃない、初々しくて」
「ボウルはまだ12歳よ!犯罪になるわ!」
そう、坊ちゃんカットのボウル君。生意気な彼はまだ12歳です。漫画と違って、小説じゃ書かないと年齢分からないとこがいいね。
「──ミサキ、何言ってんの?」
「痛い子を見るような目をあたしに向けるな!こんな時だけミサキとか言うなあ!」
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