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もう一つのエンド~ぶりっこ聖女のお話~(8)
しおりを挟む「何なのよこの数は!?多すぎでしょ!?」
・「うっわ、生ゴブリン初めて見た!恐っ!」
「うきゃあ、矢が飛んできた!ひいい、なんで結界通り抜けんのよ、足元刺さった、あっぶな!結界強化、強化ぁっ!」
・「ゴブリンってホントに禿げてんのねえ。耳も尖ってるし、小さいし。知能も低そうで、おおこれぞファンタジー」
「あ、ちょっと貴方!その弓矢貸して!聖力こめるから、あそこの群れに打ってちょうだい!」
・「見てる見てるこっち見てる!やめて私は美味しくないから!ちょっと、私出来ること無いんだけど!?帰らせて!」
「っしゃあ、聖力ヒットー!ほーっほっほ、そうよ逃げろ逃げろ!二度と来るんじゃないわよ!!」
・「お腹空いたなあ」
「お腹空いたなあ……じゃねぇわぁ!!!!」
「」の前の・が何かって?アンナの台詞と分かるようにしてあるのよ!親切ぅ!
村を襲ってきたのはゴブリン達だった。だが私の強力な聖なるパワーのおかげで見事に撃退してやったわ!
締めにアンナをハリセンで突っ込んで終了!これにて本日のお仕事終了です!!
「さすが聖女様!あれ程のゴブリンに対して被害が皆無です!」
歓声を上げる村の人々。
おーほっほ、もっと褒めて!
「はあ……私いた意味あんの?」
「ウザイくらいに邪魔で煩かったわね」
「お前が無理矢理付き合わせたんだろうが!くそう、もう帰る!」
「ちょっと待ちなさいよ、どこ行くのよ」
ワッと盛り上がる村人を尻目に、サッサと戻ろうとするアンナの首根っこを掴む。寝ようなんてそうはさせないわよ。
「え、終わったんでしょ?眠い、寝る、おやすみ~」
「そうは問屋が卸さないわよ!さあ、今から行くわよ!」
「何処へ!?」
どこへだって?そんなこたぁ決まってる!
私はビッと前方を指さして、声高々に叫んだ。
「いざゴブリンの巣へ!」
※ ※ ※
「さっき『本日のお仕事終了です!!』って言ってなかった!?」
「誰よそんなこと言ったの」
「お前だあ!!」
夜中なんですよ、静かにしようね。
なんて配慮は必要ない。
なんせ私ら空飛んでるからね。鳥はお休み中、村から離れたので人気もない。ちょっとくらい騒いでも迷惑にならないってことさ!──まあちょっとどころではないかもだけどね。
私へハリセンツッコミしたいのだろうけど、如何せん体勢がそれを許さない。アンナ、今私の体にしがみついてるからね。く、これが男だったら……イケメンだったらどれほど良かったことか!
「イケメンに抱きつかれたいの?」
「そこは私が抱きつくの希望ね。いや待てよ抱きつかれるという言い方が悪いのか。抱きしめて欲しい」
「夢は夜見ろよ」
「おもっきし夜だわ!!」
夢見て悪いか!
「そもそもどうして今ゴブリンの巣に向かうわけ?明日でも良くない?」
「ふん、これだから素人は」
お前も素人だろうが。という言葉は風にさらわれて消えました。
確かに私もこの世界に来て数年過ぎたとはいえ、まだまだ戦闘に関しては素人だ。
だがしかし、ファンタジー世界においてセオリーというものは大抵決まってる。と思う。
「ゴブリンどもは今弱ってるわ。そこに追い打ちかける事で完膚なきまでに潰せるというもの。下手に時間与えちゃったら復活しちゃうじゃない。そしたら延々と同じ事の繰り返しよ」
「お~なるほど」
「そんな事になったらいつ私は帰れるのよ。いつイケメン探しの旅に出れるのよ」
「知らんがな、旅出んなや」
出るわ!旅出るわ!
私は今回の遠征(?)で痛感した。待っててもイケメンはやって来ないと。出会いを求めるなら外に出るべきなのだ!
「今更その結論が出たことにビックリだわ」
「……一応罰として神殿に居るべきだと思ってたのよ」
「そうね、真面目に奉仕してたものね、意外な事に」
「でももう充分頑張ったと思うのよね」
「それ本人が決めることちゃう」
的確な指摘が来たが無視しよう。
そうよそうよ。
なんか真面目に神殿で生活してたけどさあ。
だけどさあ!
「やっぱ私は──内に閉じこもるのは柄じゃないわ」
久々にこうやって外出て体動かして理解した。
「……まあ、もう阿呆な事はしないと思うから止めないけどさ」
「ちゃんと聖女のお仕事しながら……福祉巡業しながら行くわよ」
そう私が言えば。
「ミサキも成長したねえ……」
そうしみじみとアンナが言った。
気のせいか、その口元が嬉しそうに笑みを浮かべてるように見えた。
多分気のせいだと思うけど、ね。
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