行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)

リオール

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「そんなわけでヘンリー様は私がもらいます」

 そんなわけもどんなわけもない。
 どういう理屈だそれは。まったく筋が通ってないじゃないか!

「ヘンリー様は物ではありません。交換とか有り得ないです」
「でもねえ、お姉様」

 まだ言うか。スザンナの理不尽な主張を聞き入れる気は全くない。もう強引に部屋から追い出そう。
 そう思って立ち上がったところで、スザンナが頬に手を当てて言うのだった。

「ヘンリー様って仕事ばかりの女性って好きなのかしら?」

 思わずピクリと体が震えて動きを止めてしまった。

「何を──」
「まだ言ってないんでしょ、公爵家をお姉様が仕切ってる事。仕事の大半をやってること」
「そうね、言ってないわ。でも隠すつもりはないから、そのうち──」
「そのうちっていつ?」

 やけに突っ込んでくるスザンナに、私は眉宇を潜めた。

「お姉様って基本、仕事人間でしょ?これまで恋愛しなかったのも、それが理由の一つだし」

 いや、それはスザンナが、私が知り合う男性を全て取って行ったからであってだね。
 と言えないのはなぜなのか。

「今はヘンリー様が家に来て、短時間会って帰られるだけだから仕事に支障はないみたいだけど。でもそれがずっと続けられると思って?」
「それは……」
「何かあればすぐに領地を飛び回り、書類に囲まれ、寝食削って仕事をする。そんなお姉様と結婚して、ヘンリー様は幸せなのかしら?」

 そんなことはない。
 そう言いたいのに、なぜか私の口は動いてはくれなかった。
 それに気をよくしたのか、スザンナの口は止まらない。

「私ならヘンリー様とずっと一緒に居てあげれる。お姉様みたいに、仕事仕事で恋人を──旦那様を放っておくなんてことしないわ」
「放置なんてしてないわ。毎日会って一緒に過ごしてるもの」
「でもそれが続けられるわけないの、分かってるでしょ?」

 そう言われてグッと言葉が詰まった。

 最近は落ち着いた日々が続いてたけど、確かにこれまで私は多忙を極めた。
 同じことを言うが、私は優秀じゃない。だからこそ、時間を費やして対処にあたるしかない。動き回るしか能がない。
 結果、家を空ける事も多い。

「忙しい身で、旦那様と過ごせる時間あるの?もし子供が出来たとして、それでも仕事続けられるの?」

 旦那様。
 子供。

 婚約で浮かれていたが、その後に待って居るのは結婚だ。
 そうすれば。
 私は──

「家族を守れるの?」

 守れるのだろうか。
 大切な存在を。
 領民を守るために必死で働いてる私に、そんな余裕が生まれるのだろうか。

「お姉様は領民のため、国の為、公爵家の為、に働く事が幸せなのでしょう?」

 そうだ。
 公爵家はついでだが、領民のため。ひいては国のため。

 どうにかしたいと奔走した。
 当てにならない父では領民は苦しむだけだ。だからこそ、私が動かなくてはと必死で──

「ねえお姉様」

 呆然と考え込む私の肩に、スザンナの手が触れた。

 動けない私の耳に、彼女はそっと唇を近づけて。

「ヘンリー様を、わたくしにくださいな」

 そう、囁くのだった──




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