虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?

リオール

文字の大きさ
13 / 21

4、王家に虐げられる

しおりを挟む
 
 
「モリア嬢の不貞に関して、申し開きがあるなら述べよ」

 帰城した王太子が王に報告したのだろう。その日のうちに、王城に一家総出で呼び出された。

 王の間にて家族で膝を折り頭を垂れる相手は、当然ながらボランジュ国王だ。高座に置かれた立派な椅子に腰かける王の横には王妃様。そしてその背後に後ろ手に立つのは王太子。

 三人とも冷たい目でこちらを見下ろしている。

 見下ろされるは我が公爵家一家。
 そしてベニート侯爵家一家である。

 ベニートとモリアは当然なのだけれど、私は関係ない……と逃げたかったが、ベニートが一応私の婚約者なので無関係な顔はしてられないのだ。そういう意味では妹のカンナが最も無関係なんだろう。

 だが王家は一人残さず呼び出した。それの意味を理解出来ないほど、ここに集った者も馬鹿ではなかった。

「なんで私が呼び出されなきゃいけないのよ」

 違った。理解してない馬鹿が一人居た。
 妹のカンナが、小声でブツブツ文句たれてる。理解出来てないのってある意味幸せなのかもしれない。

 頭を下げながらチラリと視線を動かせば、真っ青な顔でガタガタ震えてるモリア。
 そして震えはしてないが、蒼白な顔の父。そして母。

 どうやらこの三人は理解してるようだ。
 この後に何が待ってるのかを。

「ち、違うのです王よ!全て誤解なのです!」

 最初に口を開いたのは父だった。
 公爵家が消えて無くなるかどうかの瀬戸際なのだ。流石に黙って処罰を受けるつもりはないらしい。

「何が違うのだ?」

 だが王は冷徹に問い返す。きっとどんな言い訳も受け入れるつもりは無いのだろう。

 それを理解したのか一瞬父は沈黙し。
 だが次にバッと顔を上げた時には、何かを決意した顔をしていた。

「これは全て……ミレナのせいなのです!!」

 ──なんかとんでもない事を言いだしましたね。

 え、私のせい?なぜ?

 理解が追い付かなくてポカンと父を見れば、グルンとその顔がこっちに向いた。軽くホラー。

「ミレナ!お前、王太子妃となる姉を妬んだ挙句、姉と婚約者であるベニートを騙してあのような状況を作り出すとは!なんと恐ろしい娘だ!!」
「──は?」
「分かっているぞ!お前は見た目通りに腹黒で恐ろしい女だ!ベニートの愛が自分に向かない事、モリアが幸せな結婚をすること。こたびの件は、それらを妬んでいたお前の仕業だろうが!!」
「いえ、私は何も……」
「そうですわ!あの日ミレナに呼び出されて、何やら飲まされたのです。きっとその中に薬でも入っていたのでしょう!気絶した私は目を覚ました時には……アルンド様、貴方がおられたのです!」

 父のとんでもない発言にモリアが乗っかる。こいつら……全て私のせいにするつもりね。

「本当か、ベニート」

 疑わし気な目で問う王太子の言葉に一瞬ビクッとなったベニートだったが。
 無駄にこういう時の回転はいいのか。父やモリアの考えを理解して、大きく頷くのだった。

「そ、そうです!俺もあの日ミレナに呼び出されて……気付いたら裸でベッドに横たわっていたのです。凄い音で目が覚めて、何事かと外に出たら……あのような事態になっていたのです!」

 えええ……そうきたか。
 はたして国王や王太子は信じるのか。
 そっと見やれば、その目には戸惑いが見て取れた。あ、なんかまずいかもしれない。

「そうなのか?モリア……お前は私を裏切って無いと?」
「ええそうですわ!わたくしは純潔のまま、貴方に嫁ぐことだけを夢見ておりました!そして今も清いままです!」

 清いの意味、分かってるのだろうか。モリアの言葉に呆気に取られてしまう。
 そんな私をモリアが勢いよく首をグルンと回して見て来た。これもホラー。

「ミレナ!お前は私と王太子の仲を引き裂こうと画策したようだけれど!残念ね!私の清らかさは、誰よりもアルンド様が理解してるわ!」
「そうだ!ミレナ、お前こそ色々な男と関係を持ってるのではないか!?まあお前のような醜い女、相手にするような輩はろくでもないだろうがな!!」

 モリアもベニートも、好き勝手言ってくれてますね。
 これ、どうしたらいいんでしょう。

 どうすべきか悩んでいたら、目の前に父が立った。
 え、と思う間もなく胸ぐらを掴まれ無理矢理立たされて──

パアンッ!!!!

 思い切り頬を殴られた。

「──!!」

 不意をつかれたせいで、口の中がしたたかに切れた。血の味がする。
 痛みに顔をしかめていたら、乱暴に床に投げ飛ばされた。

「この屑が!王よ、どうかこの愚か者に罰をお与えください!我らを騙そうとした大罪人です!」
「そうだな」

 え、ちょっと待って。
 王様、あっさり信じるの?
 黒髪の……この国では疎まれる色を纏う私の言葉は、聞く必要も無いと言うの?

 弁解もさせてもらえないの?

 呆然とする私の目の前で、王は手を私に付き出して──

「呪われた色を纏いし公爵家次女ミレナよ、王家を謀った罪は重い!その命をもって償え!!!!」

 処刑宣告をしたのだった。




しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

短編 政略結婚して十年、夫と妹に裏切られたので離縁します

朝陽千早
恋愛
政略結婚して十年。夫との愛はなく、妹の訪問が増えるたびに胸がざわついていた。ある日、夫と妹の不倫を示す手紙を見つけたセレナは、静かに離縁を決意する。すべてを手放してでも、自分の人生を取り戻すために――これは、裏切りから始まる“再生”の物語。

結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?

ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。 ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……

ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。 ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。 そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません

天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。 ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。 屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。 家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。

愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし

香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。  治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。  そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。  二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。  これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。  そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。 ※他サイトにも投稿しています

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

処理中です...