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路地に消えた犯人
同じアパートの住人
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久能がアパートの駐車場についたのは、午後十一時を少し回ったところだった。
久能はエンジンを切り、助手席に置いていた荷物を手に外に出る。
休学中とはいえ、久能も大学二年生。その住まいは、学生らしいワンルームの安アパート。
学生が多く住むとあって、駐輪場には無秩序に自転車が並んでいる。
久能はその脇を抜け、二階にある角部屋を目指し階段を上ってゆく。
そして薄暗い通路に出る。両サイドに部屋があり、ドアの脇には洗濯機が並んでいる。
するとタイミングよく向かいの部屋のドアが開き、スーツ姿の爽やかな男性が姿を現した。
「こんばんは」
男性は二十代半ばくらいだろうか、笑顔で久能に向かい頭を下げる。
「あ、こんばんは」
何度かこうして挨拶を交わしたことがあるというのに、いつも久能はどもってしまう。
「仕事帰りですか?」
「え、ええ。えっと、これから仕事ですか?」
「いいえ、大学の研究室に用がありまして」
「あ、ああ、そうなんですか」
男性は「それでは」と軽く右手をあげて通路をゆき、階段を降りていった。
相変らずしゃんとした人だ。毎度そんな感想を抱きながら、久能はノブを回す。
暗い通路の奥に六畳ほどの部屋があり、カーテンの掛かっていないドアの向こうには夜の闇が広がっていた。
電気をつければ、質素な部屋が浮かび上がる。
卓袱台の上にはノートパソコン、本棚、フローリングの上に直置きされたテレビにラジオ、部屋の隅には折りたたみ式のベッドがある。
久能は荷物を足元に置き、着替えることもなくベッドの上の寝転がった。
枕元にあった文庫本を手に取るが、すぐにうとうとと瞼が閉じてゆき、久能は夢のなかへと落ちていった。
久能はエンジンを切り、助手席に置いていた荷物を手に外に出る。
休学中とはいえ、久能も大学二年生。その住まいは、学生らしいワンルームの安アパート。
学生が多く住むとあって、駐輪場には無秩序に自転車が並んでいる。
久能はその脇を抜け、二階にある角部屋を目指し階段を上ってゆく。
そして薄暗い通路に出る。両サイドに部屋があり、ドアの脇には洗濯機が並んでいる。
するとタイミングよく向かいの部屋のドアが開き、スーツ姿の爽やかな男性が姿を現した。
「こんばんは」
男性は二十代半ばくらいだろうか、笑顔で久能に向かい頭を下げる。
「あ、こんばんは」
何度かこうして挨拶を交わしたことがあるというのに、いつも久能はどもってしまう。
「仕事帰りですか?」
「え、ええ。えっと、これから仕事ですか?」
「いいえ、大学の研究室に用がありまして」
「あ、ああ、そうなんですか」
男性は「それでは」と軽く右手をあげて通路をゆき、階段を降りていった。
相変らずしゃんとした人だ。毎度そんな感想を抱きながら、久能はノブを回す。
暗い通路の奥に六畳ほどの部屋があり、カーテンの掛かっていないドアの向こうには夜の闇が広がっていた。
電気をつければ、質素な部屋が浮かび上がる。
卓袱台の上にはノートパソコン、本棚、フローリングの上に直置きされたテレビにラジオ、部屋の隅には折りたたみ式のベッドがある。
久能は荷物を足元に置き、着替えることもなくベッドの上の寝転がった。
枕元にあった文庫本を手に取るが、すぐにうとうとと瞼が閉じてゆき、久能は夢のなかへと落ちていった。
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