いつも馬鹿にされていた私だけど頑張ってざまぁしていたら、伝説を作ってしまいました

いちごの華

文字の大きさ
2 / 8
魔法世界にて

1

しおりを挟む
うーーん、身体が動かない。動かせるのは、腕と脚だけ。
声を出そうと思って、出してみたら「あーうー!」
・・・へ?気のせいかな?もう一度。「うーあー」・・・んん?

こっ、こっ、これはもしかして・・・・・・
赤ちゃんになってしまったー!?
嘘でしょ?特殊任務すぐには、できないじゃーん!

「ふっ、ふっえ、」(あっ、これは)
「ぎゃーーん!んぎゃーー!!」(あーっ、やっぱり)

パタパタ、足音が聞こえてくる。

「あらあら、どうしたのかなぁー?おっぱいかな?オシメかな?」
「んぎゃーー!あーーん!」(初めて聞く言語なのに、この人が言っていることがわかる⁉︎)
「はいはいー、寂しかったねーよしよし、ぽんぽん」
抱き上げて、背中を優しく叩いている。うー、ね、眠い・・・。無理、だ。スピー



というわけで、寝てしまった私。この世界の情報をまとめると、
・この世界(レジェル)は、魔法世界
・私の名前 マリーヌ・ベンゼント 0ちゃい
・ベンゼント家の次女
・上に兄3人、姉1人
・ベンゼント家は、代々優秀な魔法使いを輩出

・・・・これしか、わからん。まぁ、なんたって赤ちゃんだからな‼︎(ドヤァ
って、困るよー‼︎赤ちゃんだと、あまり行動出来ない・・・ぐすん

「ふっ、ふっ、んにゃーーーー!!!」
私の泣き声が響き、ガタガタン‼︎ガッゴッ!コロコロ

物凄い音が聞こえる。・・・さっき、転んだ?

「まっ、マリーヌ!泣き声が聞こえた!どうした!?」

目の前に、クマみたいな顔が現れた。父のバルトだ。

「うにゃっ、うー」

バルトは、私の抱き上げて、よしよしと背中を撫でた。
さすが、5児の父親です。赤ちゃんの扱い方が、玄人プロの手だ。

安心して、ふにゃーと笑ったら、
「ンンッ」とうめいて、右手を額に当てた。

「マリーヌ、可愛すぎだろ・・・天使」
何か呟いたようだが、聞き取れなかった。



バタバタ バン!!




私が寝かされている部屋の扉が開いた。開く音にびっくりした私は

「んぎゃーーーーー!!あ''あ''ーーー!」

激しく泣いた。

「おい・・・」
バルトが呆れて、扉の方を見た。

「すみません・・・父上。あの、その、えっと、マリーヌの泣き声が聞こえたもので・・・」

恐る恐る私たちに近づいてきたのは、次男のお兄ちゃんのアルムだ。

「ごめんね、マリーヌ。驚かせちゃって・・・」
「ヒック、ズビッ、うーあー」(アルムにいちゃんのところに行きたいのー)
手足をジタバタした。その意を汲み取ったのか、バルトがアルムに私を抱かせた。

「うー!」(ごめんねーびっくりしただけなのー)
アルムは、しょんぼりしていたが、私がご機嫌だと分かったようで笑顔になった。


バタバタ バタバタ


また、足音が聞こえる。

「マリーヌ!どうしたの?!」「「マリーヌ!」」「まりーにゅ」

ああ、これで一家全員揃ってしまった。
最初に母のシーラ、長男のキルラ、長女のセリーネ、セリーネの腕に抱かれている、三男のクルトだ。みんな、泣き声で来てくれたのだろう。
そう思うと嬉しくて、アルムの腕の中で、「きゃっ、きゃっ」と笑った。

シーラは、穏やかに微笑んで、キルラは頭を無言で撫でて、セリーネとクルトはわたしのぷにぷにのほっぺたを突いている。

そこにいる一同は、みんな揃ってこう思っていた。

(めっっっちゃ、かわいい!可愛すぎる!ベンゼント家の天使・・・‼︎)

みんながそう思っているなんて、私は、知る由もなかった。





ーーーーそれから、4年が経った。はい、まだ4ちゃいです!特殊任務、できません!てゆーか、家の外に出せてくれない。・・・みんな、過保護すぎじゃね?でも、お外行きたいーっておねだりし続けて、折れたのか、家のお庭までいいと許可してくれた。
ちなみに、ベンゼント家は、とてもつかなくでかい。だから、お庭もだだっ広い。そして、迷った。お花があるーと思って、タタッと走って行ったら見事に迷った。広っ!広すぎ!

歩き回っていたら、深く入ってしまったのか、ますます、わからなくなってしまった。
疲れてしまい、地面にぺたん、と座った。

よく考えてみた。ここは、魔法世界レジェル。だから、魔法が使える!リーナだった時には、魔法を使っていたし、ベンゼント家は、優秀な魔法使いの家系。使えるハズ!でも、魔法が使えるようになるのは、早くて7歳。私は4ちゃい。・・・物は試しだ‼︎

今どこにいるかを調べるために、空を飛んでみるか。頭の中でイメージをして・・・
飛翔フライ‼︎」
身体から温かいものが飛び出て、身体全体にゴゥ!と風が巻きついた。
ブアッ‼︎という、大きい音がして上空に飛び上がった・・・って飛び上がりすぎーーー!!
みるみる、私が住んでいる家が街が、みるみる小さくなっていく。

「うわわあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
えっ⁉︎ヤバい‼︎だ、だ、誰か、助けてー!!

パニックになっているところに、どこからか声が聞こえてくる。

(マリーヌ。「止まれ」って強く念じてみろ)

誰か知らんけど、言われた通りにする。

「と、と、止まれーーーー!!!!」

ピタッ

あっ止まった。よかった。と思ったら、に急降下。
「うわあああああああああああーーーーーーー!!」

(ハアー、馬鹿なの?じゃ、今度は「ゆっくり降りろ」って強く思え)
再び声が聞こえてくる。誰!?でも、今は!!
「わ、分かった!ゆ、ゆっくり、お、降りろーーー!!」

だんだんとスピードが落ちて来た。そして、我が家にとうーちゃく!

「あの、ありがとうおしえてくれて。えっとあなたのなまえは?」

と言い声が聞こえて来た方に顔を上げた。そこには、黒髪黒目の男の子がいた。身体が半分透けている・・・⁈
ユ、ユウレイ⁉︎

(身体のことは気にするな)

えっ?めっちゃ、気になる。

(俺は◆◆◆◆だ。・・・まぁ俺はお前だ)
最後に、意味ありげなことを呟いて消えてしまった。あと、名前が何言っているのか、分からなかった。
しばらく、呆然としていたら、
「マリーヌ!大丈夫か!?」というバルトの声が聞こえて来た。
走って駆け寄って来た。私の肩に手を置いて、怪我がない事を確かめている。

そして、私の顔を見て
「何をしたのか、じっくり話しようじゃないか?」

物凄い笑顔で、言われてしまった。いや、あの、気のせいかな・・・背後に般若が見えるんだけど・・・ヤバい・・・終わった。チーン

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...