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11.噂の真相
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「そう。メリオラーザ様が憂いたからですわ」
シャラが広げた扇を口元に持っていき、冷たく笑った。
「“これでは大変ですわね”、“これは大丈夫なのでしょうか”。ティシモ嬢がそう言っていたことをカダージュが聞き及んで、解決策を考案したんだよ。あは。知らなかったの?」
ラウェージュも笑うが、その目は笑っていない。
「まあ、一見怠惰に見える、と言うか、怠惰だが」
クツクツとレヴェージュが笑う。
カダージュが、もう一つの顔を晒した。篩の役割を終えることを意味する。メリオラーザを守る存在となるということ。
ならば、もう、何も隠すことはない。
「そうねえ。お誕生日もわたくしたちが祝ってくれるだけでいいって。祝ってくれる気持ちが本当なら、家族で過ごしたいって言う僕のお願い聞いてくれるよね、何て言われたら」
ほくほくと嬉しそうな皇妃。
「実際が、ただ面倒だから、ということだとしても、嬉しいですよね」
セダージュもデレている。怠惰な気持ちも、家族で過ごしたいという気持ちも、どちらも本物だとわかっている。
「でも、先日のわたくしのお誕生日に、疲れたからメリオラーザちゃんに癒されたいって途中退場しないでよ、もう」
「レヴェージュが呆れたように許可していたが、そういうことか」
頬を膨らませる皇妃に、皇帝が呆れた顔をする。
「成人の儀と婚約発表を一緒にしてしまう辺りも、カダージュらしいよね」
「怠惰にもほどがあるな」
「もう、お父様ったら。わかってらっしゃるのにそんな意地の悪いことを仰って」
からかうようなラウェージュに皇帝が頷くと、フィラがプリプリとそう言った。
「そうですわ。カダージュの可愛らしいワガママではありませんか」
シャラがクスクスと笑う。
「でも、メリオラーザちゃんを衆目に晒したくなくて、短時間で終わるようにしたとは言え、もっと着飾らせたかったのにぃ」
「それでもティシモ嬢を見せたくなくて、ティシモ嬢を隠すように立っていたことには呆れたけど」
「その後の夜会も、同じくティシモ嬢を見せたくないからと帰るなんてないですよね。主役だというのに」
皇妃の言葉に、シャラとフィラは、それは同意だと不満そうに頷き、ラウェージュとセダージュが溜め息と共にそう漏らす。
「それを言うなら、継承権についても不満だ」
レヴェージュもカダージュへの不満を口にする。
「カダージュが嫌がるから、皇位継承権を外した。これまでの功績を認めてくれるなら外してくれと言われたら、外さないわけにはいかない」
まだ納得をしていない、と言うようにレヴェージュが眉を寄せる。
「貴族の爵位もいらないと言われましたねぇ」
「さすがに泣きそうでしたわ、わたくし」
セダージュが苦笑すると、フィラが思い出し泣きをしそうになっている。
「猛反対したら、それなら男爵で、なんて言うものだから参っちゃうよね」
ラウェージュが肩を竦める。
「皇族にかかわることは、皇族以外は大公にしか出来ませんでしょう?全員で泣き落としましたのよ」
皇妃が扇の内側で楽しそうに笑う。
せめて側にいてくれと泣く皇族に、カダージュはとても不満そうに、ずるいなあ、と大公位に渋々承諾したのだ。
次々明るみになる噂の真相に、大部分は顔を青くし、ある者は苦笑いをし、またある者は呆れたように笑う。
苦笑いをした者、呆れたように笑った者たちは、皇族の側近や侍女など、非常に近しい職を与えられた者たちだった。カダージュという篩にかけられ、残った者たち。
「そんなカダージュが結婚を望んだ人なのよ、メリオラーザ様は」
「何にも執着をしないカダージュが、突然ティシモ嬢を嫁にしたいと言ったときの衝撃は、今でも忘れん」
何故か勝ち誇るように言うフィラと、ニヤリと笑う皇帝。
「そうですわ。本気になれないことに、カダージュは決して手を出しませんもの」
シャラは優雅に笑う。
「カダージュが皇帝になったら、この国は百年分の進歩を一年で遂げるでしょう」
皇帝になる、とは、即ち国に、民に本気で向き合うと言うこと。そうなった時、セダージュの言ったことは現実のものとなるだろう。
「もしティシモ嬢が、世界が欲しい、と言ったら、カダージュは笑ってティシモ嬢に世界を贈るだろう」
レヴェージュは、迷うことなくそう言い切った。
*最終話につづく*
シャラが広げた扇を口元に持っていき、冷たく笑った。
「“これでは大変ですわね”、“これは大丈夫なのでしょうか”。ティシモ嬢がそう言っていたことをカダージュが聞き及んで、解決策を考案したんだよ。あは。知らなかったの?」
ラウェージュも笑うが、その目は笑っていない。
「まあ、一見怠惰に見える、と言うか、怠惰だが」
クツクツとレヴェージュが笑う。
カダージュが、もう一つの顔を晒した。篩の役割を終えることを意味する。メリオラーザを守る存在となるということ。
ならば、もう、何も隠すことはない。
「そうねえ。お誕生日もわたくしたちが祝ってくれるだけでいいって。祝ってくれる気持ちが本当なら、家族で過ごしたいって言う僕のお願い聞いてくれるよね、何て言われたら」
ほくほくと嬉しそうな皇妃。
「実際が、ただ面倒だから、ということだとしても、嬉しいですよね」
セダージュもデレている。怠惰な気持ちも、家族で過ごしたいという気持ちも、どちらも本物だとわかっている。
「でも、先日のわたくしのお誕生日に、疲れたからメリオラーザちゃんに癒されたいって途中退場しないでよ、もう」
「レヴェージュが呆れたように許可していたが、そういうことか」
頬を膨らませる皇妃に、皇帝が呆れた顔をする。
「成人の儀と婚約発表を一緒にしてしまう辺りも、カダージュらしいよね」
「怠惰にもほどがあるな」
「もう、お父様ったら。わかってらっしゃるのにそんな意地の悪いことを仰って」
からかうようなラウェージュに皇帝が頷くと、フィラがプリプリとそう言った。
「そうですわ。カダージュの可愛らしいワガママではありませんか」
シャラがクスクスと笑う。
「でも、メリオラーザちゃんを衆目に晒したくなくて、短時間で終わるようにしたとは言え、もっと着飾らせたかったのにぃ」
「それでもティシモ嬢を見せたくなくて、ティシモ嬢を隠すように立っていたことには呆れたけど」
「その後の夜会も、同じくティシモ嬢を見せたくないからと帰るなんてないですよね。主役だというのに」
皇妃の言葉に、シャラとフィラは、それは同意だと不満そうに頷き、ラウェージュとセダージュが溜め息と共にそう漏らす。
「それを言うなら、継承権についても不満だ」
レヴェージュもカダージュへの不満を口にする。
「カダージュが嫌がるから、皇位継承権を外した。これまでの功績を認めてくれるなら外してくれと言われたら、外さないわけにはいかない」
まだ納得をしていない、と言うようにレヴェージュが眉を寄せる。
「貴族の爵位もいらないと言われましたねぇ」
「さすがに泣きそうでしたわ、わたくし」
セダージュが苦笑すると、フィラが思い出し泣きをしそうになっている。
「猛反対したら、それなら男爵で、なんて言うものだから参っちゃうよね」
ラウェージュが肩を竦める。
「皇族にかかわることは、皇族以外は大公にしか出来ませんでしょう?全員で泣き落としましたのよ」
皇妃が扇の内側で楽しそうに笑う。
せめて側にいてくれと泣く皇族に、カダージュはとても不満そうに、ずるいなあ、と大公位に渋々承諾したのだ。
次々明るみになる噂の真相に、大部分は顔を青くし、ある者は苦笑いをし、またある者は呆れたように笑う。
苦笑いをした者、呆れたように笑った者たちは、皇族の側近や侍女など、非常に近しい職を与えられた者たちだった。カダージュという篩にかけられ、残った者たち。
「そんなカダージュが結婚を望んだ人なのよ、メリオラーザ様は」
「何にも執着をしないカダージュが、突然ティシモ嬢を嫁にしたいと言ったときの衝撃は、今でも忘れん」
何故か勝ち誇るように言うフィラと、ニヤリと笑う皇帝。
「そうですわ。本気になれないことに、カダージュは決して手を出しませんもの」
シャラは優雅に笑う。
「カダージュが皇帝になったら、この国は百年分の進歩を一年で遂げるでしょう」
皇帝になる、とは、即ち国に、民に本気で向き合うと言うこと。そうなった時、セダージュの言ったことは現実のものとなるだろう。
「もしティシモ嬢が、世界が欲しい、と言ったら、カダージュは笑ってティシモ嬢に世界を贈るだろう」
レヴェージュは、迷うことなくそう言い切った。
*最終話につづく*
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