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そんな夜会開始から暫くすると、伝令役が近衛騎士に耳打ちをした。その内容に、顔を強ばらせた近衛騎士は、急ぎ国王の側に控える近衛隊長に報告をする。
侵入者あり、現在確認できるだけで二十。他にも潜伏している可能性あり。
近衛隊長はすぐに国王に伝えると、国王は鋭く視線を外へとやった。
「あいわかった。すぐ皆を避難させよう」
国王は立ち上がると、良く響く声を張り上げた。
「皆の者、落ち着いて聞け。これから騎士たちの誘導に従い動け。従わぬ者の保障はない。いいな。落ち着いて行動せよ。侵入者だ」
王族が避難し、次に国の重鎮たちが避難しようとした直後。
大きな破壊音と共に、閉ざされていたメインの入り口が瓦礫と化す。そこから次々と侵入者がなだれ込む。訓練された兵士のように統率の取れた侵入者たちの動きに隙はない。あっという間にすべての出入り口を占領され、逃げ出すことが出来なくなった。
混乱する人々は、それでも侵入者から距離を取ろうと、自然と各扉から一番離れた隅に集まる形となった。会場にいた騎士半数が、貴族たちを背に、各扉の侵入者たちから守るべく剣を構え、残りは捕縛すべく剣を交えている。
貴族たちは怯えながらその光景を見つめ、ある者は祈るように手を組み、ある者はどこかに逃げ道はないかと視線を彷徨わせ、またある者は、いざという時に動けるよう周囲を警戒した。
破壊された扉の方で交戦していた騎士たちが、徐々に圧され始めた。それを見て取り、貴族を背に守っていた騎士が、一人、また一人と応援に駆けていく。徐々に薄くなる守りに、貴族たちの不安が色濃くなったとき、それは起こった。
騎士たちとの戦闘を抜けた侵入者数人が、貴族たちに向かって来た。守りの騎士たちがそれを防ぐ。だが、別の侵入者が、薄くなった守りの箇所を狙って突っ込んで行く。
「クソ!間に合え!」
気付いた騎士が、相手の意識を刈り取り即座に走り出す。
いやに体が動かない。もどかしい。すべてがひどくスローモーションだ。
それでも、焦燥に駆られながら、懸命に足を前に出す。
逃げようにも逃げ場のない貴族たち。助けを呼ぶ声や悲鳴さえ、ひどく間延びして聞こえる。
何かが動いた。
貴族たちの前に、悠然と立ちはだかるその姿に、誰もが目を見開く。
「ふぉふぉふぉふぉふごっ。楽しい夜会に水を差すのは誰かしらぁ?」
醜いブタと嗤われ、蔑まれてきた白ブタ令嬢が、剣を片手に立ちはだかっていた。
「レグホーン、嬢?」
騎士が呆然と呟く。
「邪魔だ、ブタ!退け!」
侵入者の男は容赦なくオルベスタに突っ込んだ。
「レグホーン嬢!」
騎士が叫ぶのと、オルベスタが男の剣を弾くのは同時だった。
騎士は驚きに目を丸くする。それは、騎士だけではない。オルベスタを見ていた貴族たちも、だ。
「え、お、オル、ベスタ、レグホーン?」
誰かの呟きが、喧噪の中だというのに、妙に響いた。そんな異変に気付いた者たちも、オルベスタの方に視線が移る。
剣を手にして侵入者と対峙するオルベスタの姿に、誰もが言葉を失う中、侵入者の男は口元に笑みを浮かべた。
「へえ。やるじゃねぇか。少しは楽しめそうだ」
「ふぉふぉ。あたくしも同意見ですわ」
オルベスタは、再度男に片手のみで剣を向けると、
「さて、騎士のみなさま。ここはわたくしにお任せ下さいな。尊い国の民たちを守ることにご専念遊ばしませ」
そう言って、いつも外すことのない仮面に手をかける。
その手から、仮面が床に落とされた。
*つづく*
侵入者あり、現在確認できるだけで二十。他にも潜伏している可能性あり。
近衛隊長はすぐに国王に伝えると、国王は鋭く視線を外へとやった。
「あいわかった。すぐ皆を避難させよう」
国王は立ち上がると、良く響く声を張り上げた。
「皆の者、落ち着いて聞け。これから騎士たちの誘導に従い動け。従わぬ者の保障はない。いいな。落ち着いて行動せよ。侵入者だ」
王族が避難し、次に国の重鎮たちが避難しようとした直後。
大きな破壊音と共に、閉ざされていたメインの入り口が瓦礫と化す。そこから次々と侵入者がなだれ込む。訓練された兵士のように統率の取れた侵入者たちの動きに隙はない。あっという間にすべての出入り口を占領され、逃げ出すことが出来なくなった。
混乱する人々は、それでも侵入者から距離を取ろうと、自然と各扉から一番離れた隅に集まる形となった。会場にいた騎士半数が、貴族たちを背に、各扉の侵入者たちから守るべく剣を構え、残りは捕縛すべく剣を交えている。
貴族たちは怯えながらその光景を見つめ、ある者は祈るように手を組み、ある者はどこかに逃げ道はないかと視線を彷徨わせ、またある者は、いざという時に動けるよう周囲を警戒した。
破壊された扉の方で交戦していた騎士たちが、徐々に圧され始めた。それを見て取り、貴族を背に守っていた騎士が、一人、また一人と応援に駆けていく。徐々に薄くなる守りに、貴族たちの不安が色濃くなったとき、それは起こった。
騎士たちとの戦闘を抜けた侵入者数人が、貴族たちに向かって来た。守りの騎士たちがそれを防ぐ。だが、別の侵入者が、薄くなった守りの箇所を狙って突っ込んで行く。
「クソ!間に合え!」
気付いた騎士が、相手の意識を刈り取り即座に走り出す。
いやに体が動かない。もどかしい。すべてがひどくスローモーションだ。
それでも、焦燥に駆られながら、懸命に足を前に出す。
逃げようにも逃げ場のない貴族たち。助けを呼ぶ声や悲鳴さえ、ひどく間延びして聞こえる。
何かが動いた。
貴族たちの前に、悠然と立ちはだかるその姿に、誰もが目を見開く。
「ふぉふぉふぉふぉふごっ。楽しい夜会に水を差すのは誰かしらぁ?」
醜いブタと嗤われ、蔑まれてきた白ブタ令嬢が、剣を片手に立ちはだかっていた。
「レグホーン、嬢?」
騎士が呆然と呟く。
「邪魔だ、ブタ!退け!」
侵入者の男は容赦なくオルベスタに突っ込んだ。
「レグホーン嬢!」
騎士が叫ぶのと、オルベスタが男の剣を弾くのは同時だった。
騎士は驚きに目を丸くする。それは、騎士だけではない。オルベスタを見ていた貴族たちも、だ。
「え、お、オル、ベスタ、レグホーン?」
誰かの呟きが、喧噪の中だというのに、妙に響いた。そんな異変に気付いた者たちも、オルベスタの方に視線が移る。
剣を手にして侵入者と対峙するオルベスタの姿に、誰もが言葉を失う中、侵入者の男は口元に笑みを浮かべた。
「へえ。やるじゃねぇか。少しは楽しめそうだ」
「ふぉふぉ。あたくしも同意見ですわ」
オルベスタは、再度男に片手のみで剣を向けると、
「さて、騎士のみなさま。ここはわたくしにお任せ下さいな。尊い国の民たちを守ることにご専念遊ばしませ」
そう言って、いつも外すことのない仮面に手をかける。
その手から、仮面が床に落とされた。
*つづく*
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