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結婚編
1
新章開始です。ご都合主義に進みますので、笑って許して下さるとありがたいです。
*~*~*~*~*
国の筆頭公爵家、ディレイガルドの嫡男の結婚式には、王族はもちろん、近隣諸国からも錚々たる顔ぶれが集まる。
ディレイガルド公爵家嫡男、エリアスト・カーサ・ディレイガルドと、ファナトラタ伯爵家長女、アリス・コーサ・ファナトラタの結婚式まで、あと三ヶ月となった。
一日でも早く結婚をしたいエリアストの意向により、アリスが十八になるその日に式を挙げる。アリスの誕生日はデビュタントより前なので、王族へのお披露目より先に結婚をすることになる。これは異例のことだ。十八で確かに結婚は認められるが、通常は十八を迎えても、デビュタントより後に式は行う。決まりはないが、王族への礼儀として、貴族たちはそうしている。だが、この結婚に関して言えば、エリアストを知る者たちは、当然のことと受け入れていた。
国を挙げての祝い事に等しい式。通常であれば、各所への連絡や準備などに大わらわのはずだ。けれど、ディレイガルド公爵家とアリスは、以外とのんびりしていた。理由として、婚約を結んだ当初から、アリスを逃がす気のない公爵家が着々と準備をしていたからだ。あと残ったことと言えば、式に着るドレスの最終採寸のみ。これは、式の一月前に行われるので、本当にいつも通りの日々を送るだけだ。
「やっとアリスちゃんがウチの子になるのね。長かったわあ」
夫人の言葉に、一緒にお茶をしていたアリスは微笑んだ。
「ありがとうございます、お義母様。わたくしも、心待ちにしておりました」
夫人は優雅に微笑む。
「本当にあの子、見る目だけはあったわねぇ」
感心感心、と夫人は嬉しそうに言った。最初こそは、本当にどうなることかと思った。息子がとんでもない生き物に見えた。ディレイガルドは代々奇人変人の集まりだが、うまくそれを共存させていた。だがエリアストは違う。剥き出しだった。それを、こうもうまく包んでくれる存在を見つけるとは。
「アリスちゃんは凄いわ。あの子と会ったの十三歳でしょ?わたくしだったら逃げ出していたわ。あんな怖いモノから」
自分の息子にそれはあんまりな言い方ではないだろうか。アリスは苦笑する。
「そうですね、なんでしょう。上手く言えないのですが、突然わかった気がしたのです」
「わかった?」
「はい。エル様は、無垢すぎたのだと思います」
無垢、なんて、あの息子からかけ離れすぎていないだろうか。
夫人は微妙な表情を浮かべる。それを見てアリスは困ったように笑った。
「善意も悪意もわからないまま、すべてを受け入れてしまうように感じました」
「うーん、そうなの?うーん、息子のことなのにわからないわ」
首を傾げる夫人は、どこか少女のようで愛らしかった。
「まあいいわ。アリスちゃん、あの子のこと、これからもよろしくね」
「はい。わたくしもエル様と一緒に成長できるよう努力して参ります」
夫人とアリスは微笑み合った。
*~*~*~*~*
「え、何あの子。女神?」
「殿下!」
「いやいやいやいや、見てよ、レンフィ。マジ女神」
「言葉が乱れ過ぎです!それに騎士服とは言え身軽に動き過ぎです!」
「わかったわかった。血圧上がるよ、レンフィ」
「殿下!」
「ララ殿下、そろそろ戻りましょう。団長が鬼になっていそうです」
「だねぇ。ま、ディレイガルドの花嫁も見られたし、今日はここらで帰るとしよう。あー、あの女神様は人妻になっちゃうのかぁ。残念だなぁ」
「ララ殿下が人妻とか言うといかがわしいですね」
「シャール隊長!」
「ほらほら、レンフィが倒れちゃうから帰ろっか」
*つづく*
*~*~*~*~*
国の筆頭公爵家、ディレイガルドの嫡男の結婚式には、王族はもちろん、近隣諸国からも錚々たる顔ぶれが集まる。
ディレイガルド公爵家嫡男、エリアスト・カーサ・ディレイガルドと、ファナトラタ伯爵家長女、アリス・コーサ・ファナトラタの結婚式まで、あと三ヶ月となった。
一日でも早く結婚をしたいエリアストの意向により、アリスが十八になるその日に式を挙げる。アリスの誕生日はデビュタントより前なので、王族へのお披露目より先に結婚をすることになる。これは異例のことだ。十八で確かに結婚は認められるが、通常は十八を迎えても、デビュタントより後に式は行う。決まりはないが、王族への礼儀として、貴族たちはそうしている。だが、この結婚に関して言えば、エリアストを知る者たちは、当然のことと受け入れていた。
国を挙げての祝い事に等しい式。通常であれば、各所への連絡や準備などに大わらわのはずだ。けれど、ディレイガルド公爵家とアリスは、以外とのんびりしていた。理由として、婚約を結んだ当初から、アリスを逃がす気のない公爵家が着々と準備をしていたからだ。あと残ったことと言えば、式に着るドレスの最終採寸のみ。これは、式の一月前に行われるので、本当にいつも通りの日々を送るだけだ。
「やっとアリスちゃんがウチの子になるのね。長かったわあ」
夫人の言葉に、一緒にお茶をしていたアリスは微笑んだ。
「ありがとうございます、お義母様。わたくしも、心待ちにしておりました」
夫人は優雅に微笑む。
「本当にあの子、見る目だけはあったわねぇ」
感心感心、と夫人は嬉しそうに言った。最初こそは、本当にどうなることかと思った。息子がとんでもない生き物に見えた。ディレイガルドは代々奇人変人の集まりだが、うまくそれを共存させていた。だがエリアストは違う。剥き出しだった。それを、こうもうまく包んでくれる存在を見つけるとは。
「アリスちゃんは凄いわ。あの子と会ったの十三歳でしょ?わたくしだったら逃げ出していたわ。あんな怖いモノから」
自分の息子にそれはあんまりな言い方ではないだろうか。アリスは苦笑する。
「そうですね、なんでしょう。上手く言えないのですが、突然わかった気がしたのです」
「わかった?」
「はい。エル様は、無垢すぎたのだと思います」
無垢、なんて、あの息子からかけ離れすぎていないだろうか。
夫人は微妙な表情を浮かべる。それを見てアリスは困ったように笑った。
「善意も悪意もわからないまま、すべてを受け入れてしまうように感じました」
「うーん、そうなの?うーん、息子のことなのにわからないわ」
首を傾げる夫人は、どこか少女のようで愛らしかった。
「まあいいわ。アリスちゃん、あの子のこと、これからもよろしくね」
「はい。わたくしもエル様と一緒に成長できるよう努力して参ります」
夫人とアリスは微笑み合った。
*~*~*~*~*
「え、何あの子。女神?」
「殿下!」
「いやいやいやいや、見てよ、レンフィ。マジ女神」
「言葉が乱れ過ぎです!それに騎士服とは言え身軽に動き過ぎです!」
「わかったわかった。血圧上がるよ、レンフィ」
「殿下!」
「ララ殿下、そろそろ戻りましょう。団長が鬼になっていそうです」
「だねぇ。ま、ディレイガルドの花嫁も見られたし、今日はここらで帰るとしよう。あー、あの女神様は人妻になっちゃうのかぁ。残念だなぁ」
「ララ殿下が人妻とか言うといかがわしいですね」
「シャール隊長!」
「ほらほら、レンフィが倒れちゃうから帰ろっか」
*つづく*
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