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番外編
学園でのヒトコマ
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今回のお話は、甘々?エル様とアリスの学園でのお話。
よろしかったらお付き合いください。
∽~∽~∽~∽~∽
昼休みの時間帯、学園の中庭は学生たちの憩いの場となるのだが、本日は静まり返っていた。天気も晴れ渡り、心地よい風が吹いている。季節の花が彩り、優しく風に揺れる木の葉が囁く、絶好の日和。
だというのに、人影が見当たらない。
木陰にあるベンチに、一組の男女がいるだけ。
中庭が閑散としている原因、エリアスト・カーサ・ディレイガルドと、アリス・コーサ・ファナトラタだった。
二人は何をするわけでもなく、ただ寄り添って座り、時々視線を交わして微笑み合う。
その姿を、中庭が見える校舎の窓から眺める人々は、声にならない悲鳴を上げながら、近くにいる者たち同士で肩や背中をバシバシと叩き合っていた。紳士淑女にあるまじき行為だが、咎める者などいるはずもない。
吐息で囁くように叫ぶ声があちらこちらで聞こえる。器用なものである。
そんな周囲から隔絶された世界のエリアストとアリスは、二人の時間を楽しむ。
暫くすると、エリアストは校舎から覗く人々に殺気を飛ばす。人々は青ざめ、中には腰を抜かしたり倒れる者も。周囲の反応は早かった。慌てて倒れた者や腰を抜かした者たちを運びながら、その場を去る。アリスが攫われる事件があってから、ディレイガルドの影も学園内に十数名潜ませているが、その影たちも二人を見ないよう体勢を取る。
それと同時に、エリアストはそっとアリスの肩を支えるように寄せ、アリス側の自身の肩を少し下げた。その肩に、アリスの頭がこてんと乗る。
うららかな日差しに、ちょうどお腹も満たされており、尚且つ絶対的に安心出来る存在が側にいる。その気持ちから、アリスはうたた寝をしてしまったのだ。
眠りそうだと気付いたエリアストは、誰にもアリスの寝顔を見せるはずもなく。小さなアリスが眠りやすいように肩を下げ。愛しくその頭にくちづけを落とす。
安心しきったアリスの寝顔に、どうしようもないほどの愛しさが込み上げる。
その顔をさせていることが、何よりも幸せだった。
「ま、まあっ。申し訳ありません、エル様っ」
少しして目覚めたアリスは、失態に赤くなり、慌ててエリアストの肩から頭を上げる。けれど、エリアストの手が伸びて、アリスを元の位置に戻す。
「もう少し、このまま。エルシィ」
再び肩に乗せられたアリスの頭に、エリアストは、すり、と頬を寄せた。
「エ、エル様。はい」
アリスの肩を抱き寄せていたエリアストの手が、照れて真っ赤になるアリスの頬に、柔らかく触れる。
「体勢、つらくないか、エルシィ」
「いいえ、まったく問題ありませんわ、エル様。エル様こそ、わたくしにあわせていらっしゃって大変でしょう。いつもありがとうございます、エル様」
「大変なことなどあるはずがない。どんなことでもエルシィが頼ってくれるなら、すべて私の喜びとなる」
アリスが楽な体勢になれるよう、エリアストこそが体勢を崩しているのだ。それをおくびにも出さず、優雅に座っているように見せるのだから大したものだ。実際、超人エリアストからしたら何でもないことなのだろう。あらゆること、それはもう本当にありとあらゆるすべてのことが、アリスさえ側にいればいいのだから。
「ふふ。エル様の優しさに甘えすぎてしまいそうです」
「もっと甘えてくれ、エルシィ。それは私の幸せでしかない」
頬に触れていた手をスルリと顎へ移動させて軽く持ち上げ、美しい黎明の瞳と見つめ合う。
「はい、エル様。たくさんたくさん甘えさせていただきますわ。わたくしのことも、頼ってくださいね、エル様」
「ああ、たくさん甘えてくれ、エルシィ。そして、今まで以上に頼らせて、エルシィ」
そっと唇が重なった。
さて、アリスに激甘というか、アリスしか目に入らないエリアストのアリスだけに見せるその姿に、そんなエリアストのすべてを受け入れる穏やかなアリスの姿に、周囲に変化が見られるようになった。
婚約者が学園にいる者同士は、互いを尊重するようになった。
人前ではなかなか難しいが、二人でいるときは、きちんと想いを伝え合うようになった。
そのおかげだろう。
エリアストとアリスの有り方を一年見てきた者たちの夫婦仲は、驚くほどに良い。だがそのことを、当事者である夫婦たちは、以外と気付いていなかったりもする。比べてしまう身近な対象が、エリアストとアリスであることが要因と思われる。
余談だが、この副産物のおかげで、エリアストたちの世代は多くの子宝に恵まれるという、さらに嬉しい出来事に恵まれたのだった。
*おしまい*
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こんな学園生活もありましたよ、というほんわか?な部分をピックアップしてみました。
再びエル様たちに会える機会を作って下さったすべての読者様に、心より感謝申し上げます。R7.7/3
今回のお話は、甘々?エル様とアリスの学園でのお話。
よろしかったらお付き合いください。
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昼休みの時間帯、学園の中庭は学生たちの憩いの場となるのだが、本日は静まり返っていた。天気も晴れ渡り、心地よい風が吹いている。季節の花が彩り、優しく風に揺れる木の葉が囁く、絶好の日和。
だというのに、人影が見当たらない。
木陰にあるベンチに、一組の男女がいるだけ。
中庭が閑散としている原因、エリアスト・カーサ・ディレイガルドと、アリス・コーサ・ファナトラタだった。
二人は何をするわけでもなく、ただ寄り添って座り、時々視線を交わして微笑み合う。
その姿を、中庭が見える校舎の窓から眺める人々は、声にならない悲鳴を上げながら、近くにいる者たち同士で肩や背中をバシバシと叩き合っていた。紳士淑女にあるまじき行為だが、咎める者などいるはずもない。
吐息で囁くように叫ぶ声があちらこちらで聞こえる。器用なものである。
そんな周囲から隔絶された世界のエリアストとアリスは、二人の時間を楽しむ。
暫くすると、エリアストは校舎から覗く人々に殺気を飛ばす。人々は青ざめ、中には腰を抜かしたり倒れる者も。周囲の反応は早かった。慌てて倒れた者や腰を抜かした者たちを運びながら、その場を去る。アリスが攫われる事件があってから、ディレイガルドの影も学園内に十数名潜ませているが、その影たちも二人を見ないよう体勢を取る。
それと同時に、エリアストはそっとアリスの肩を支えるように寄せ、アリス側の自身の肩を少し下げた。その肩に、アリスの頭がこてんと乗る。
うららかな日差しに、ちょうどお腹も満たされており、尚且つ絶対的に安心出来る存在が側にいる。その気持ちから、アリスはうたた寝をしてしまったのだ。
眠りそうだと気付いたエリアストは、誰にもアリスの寝顔を見せるはずもなく。小さなアリスが眠りやすいように肩を下げ。愛しくその頭にくちづけを落とす。
安心しきったアリスの寝顔に、どうしようもないほどの愛しさが込み上げる。
その顔をさせていることが、何よりも幸せだった。
「ま、まあっ。申し訳ありません、エル様っ」
少しして目覚めたアリスは、失態に赤くなり、慌ててエリアストの肩から頭を上げる。けれど、エリアストの手が伸びて、アリスを元の位置に戻す。
「もう少し、このまま。エルシィ」
再び肩に乗せられたアリスの頭に、エリアストは、すり、と頬を寄せた。
「エ、エル様。はい」
アリスの肩を抱き寄せていたエリアストの手が、照れて真っ赤になるアリスの頬に、柔らかく触れる。
「体勢、つらくないか、エルシィ」
「いいえ、まったく問題ありませんわ、エル様。エル様こそ、わたくしにあわせていらっしゃって大変でしょう。いつもありがとうございます、エル様」
「大変なことなどあるはずがない。どんなことでもエルシィが頼ってくれるなら、すべて私の喜びとなる」
アリスが楽な体勢になれるよう、エリアストこそが体勢を崩しているのだ。それをおくびにも出さず、優雅に座っているように見せるのだから大したものだ。実際、超人エリアストからしたら何でもないことなのだろう。あらゆること、それはもう本当にありとあらゆるすべてのことが、アリスさえ側にいればいいのだから。
「ふふ。エル様の優しさに甘えすぎてしまいそうです」
「もっと甘えてくれ、エルシィ。それは私の幸せでしかない」
頬に触れていた手をスルリと顎へ移動させて軽く持ち上げ、美しい黎明の瞳と見つめ合う。
「はい、エル様。たくさんたくさん甘えさせていただきますわ。わたくしのことも、頼ってくださいね、エル様」
「ああ、たくさん甘えてくれ、エルシィ。そして、今まで以上に頼らせて、エルシィ」
そっと唇が重なった。
さて、アリスに激甘というか、アリスしか目に入らないエリアストのアリスだけに見せるその姿に、そんなエリアストのすべてを受け入れる穏やかなアリスの姿に、周囲に変化が見られるようになった。
婚約者が学園にいる者同士は、互いを尊重するようになった。
人前ではなかなか難しいが、二人でいるときは、きちんと想いを伝え合うようになった。
そのおかげだろう。
エリアストとアリスの有り方を一年見てきた者たちの夫婦仲は、驚くほどに良い。だがそのことを、当事者である夫婦たちは、以外と気付いていなかったりもする。比べてしまう身近な対象が、エリアストとアリスであることが要因と思われる。
余談だが、この副産物のおかげで、エリアストたちの世代は多くの子宝に恵まれるという、さらに嬉しい出来事に恵まれたのだった。
*おしまい*
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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