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ばんがいへん
愛執 2
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「なあ、あんた、見かけない顔だな」
四人の少年に囲まれ、アリスは戸惑う。
「ここは初めてか?名前は何て言うんだ」
一人の少年が、逃がすまいとするかのように、アリスの手を掴んだ。アリスは恐怖に震える。
「あ、あの、離して、ください」
泣きそうになりながら、アリスは抵抗する。少年たちはゴクリと喉を鳴らした。
「随分綺麗な顔と声だ。なあ、何の用事で来たんだ?」
「お、お願いします、もう、帰らなくては」
震えるアリスの様子に、そのか弱さに、少年たちは興奮した。
「そう怖がらないでくれ。何も捕って食おうってワケじゃない。まだ昼じゃないか。飯はこれからか?いいところ知ってるから案内するぜ。奢るから好きなモン食えよ」
「おい」
頭上から声がかかった。少年たちが声の主を見てギョッとした。
誰もが美しいと賞賛し、誰もが冷たいと震える。その人間味のなささえ、美貌を引き立てる要因の一つ。この都で知らない者はいない、美しすぎる少年エリアスト。嘘か真か、エリアストの噂を聞きつけたこの国の王女が、強くエリアストを望んでいると聞く。そんな誰をも惹きつける、美しく恐ろしいエリアストが、絶対零度の目で馬上から見下ろしていた。
「誰の許可を得て俺のモノに触れた」
エリアストは軽い身のこなしで馬から下りる。少年たちは、ガクガクと震えていた。誰も、逆らうことなど出来ない。凍てつくオーラを放ちながら近付くエリアスト。少年たちは、逃げることは愚か、動くことすら出来ないでいる。
アリスの手を掴んでいる少年の手を、エリアストは掴んだ。少年は喉の奥で悲鳴を上げる。ギリ、とエリアストの手に力が込められると、少年の手がアリスから離れた。だが、エリアストは少年の手を離さない。さらに力を込める。骨が、無数に折れる音がした。少年の悲鳴が辺りに響き渡る。だが、誰も手を出せない。あまりのことに、見ていた者たちは動くことが出来なかった。
「次は腕を折るだけではない。その命を差し出す覚悟があるなら、同じことをするといい」
そう言い捨て、もう少年たちに気を向けることはなかった。
「エルシィ。勝手にその体を他の人間に触れさせるな。不快だ」
「エル様、申し訳ありません」
アリスは少年の一人に掴まれた左手を、右手で握る。カタカタと体が震えている。エリアストは、アリスの左手を掴み上げた。そして、ベロリとその手を舐める。
「え、る、さま」
「黙れ。消毒だ」
淫靡な水音が耳を犯し、熱い吐息が手を犯す。指の一本一本、爪の先まで、エリアストの舌がなぞる。アリスは眩暈がした。エリアストの異常な執着のせいか、それを嬉しいと感じる自分の狂気に気付いたせいか。
「エルシィ、俺から離れるな。そうすれば、怖い思いをしなくて済む。いいな。わかったな」
手にくちづけながら、エリアストの狂気に満ちた目が、アリスを強く見ている。
「はい、はい、エル様」
バラ色に染まるアリスの頬に、エリアストの手が触れる。アリスはふるりと体を震わせた。
「他は。他に、消毒が必要な場所はどこだ、エルシィ」
唇に触れそうなほど、エリアストが近付く。
「いいえ、ありません、エル様」
「嘘をつくな」
間髪入れずにエリアストは否定する。
「あのガキの、声を聞いただろう、エルシィ」
頬に触れていた手が、するりとアリスの耳を撫でた。
「エルシィの、耳が、汚れる」
耳全体を甘く噛まれ、アリスは息を飲んだ。そしてあろうことか、エリアストの舌がアリスの耳の中を舐った。
「エルッ様っ」
羞恥に震え、アリスはもう立っていられなかった。アリスの膝から力が抜ける。それを、エリアストは難なく支えた。そのまま抱き上げ、耳を解放する。
「もう片方は、家に帰ったら消毒してやる。きちんと掴まっていろ、エルシィ」
アリスを抱えたままエリアストは馬に跨がると、その場を後にした。
一部始終を見ていた者たちは、全員顔が真っ赤だ。倒れる者も、続出した。この都で騒がれている、誰にも興味を示すことのなかった美しすぎる少年の、狂気に満ちた偏愛。この出来事により、アリスという存在は不可侵の領域となる。
「なぜ、一人で街へ行った、アリス」
帰るなり、エリアストはアリスをベッドに少々乱暴に押し倒す。アリスの顔の横で、その両手をエリアストの両手が拘束する。
「あの、エル様に、お礼が、したくて」
「礼?」
エリアストは眉を顰める。
「助けてくださったお礼、と、いつも、守ってくださる、お礼、と、あの、名前、の、」
噛みつくように、エリアストの唇がアリスの言葉を塞いだ。
ようやく離れた唇は、だが名残惜しそうに銀の糸を引いている。
「ああ、もう片方、消毒していなかったな」
ペロリと自身の唇を舐めると、アリスの耳の中を蹂躙し始めた。
「あ、あ、える、さま、違、んんっ」
暫く堪能した後、アリスの耳元で笑った。
「ああ、こちらはさっき消毒したな。反対だった」
ワザとだ。羞恥に震えるアリスを、見たいだけ。
「俺が、おまえを、欲しくて、やった。そう言っただろう」
一語一語、強調して耳に注ぎ込む。
「俺の側にいろと言った。聞けないおまえへの罰だ」
それは、とてもとても、甘美な罰。
「わからないおまえに、何度でも教えてやる」
ぐ、と握る手に力が込められる。
「おまえは、俺のモノだ」
激しく唇が重なった。
*3へつづく*
四人の少年に囲まれ、アリスは戸惑う。
「ここは初めてか?名前は何て言うんだ」
一人の少年が、逃がすまいとするかのように、アリスの手を掴んだ。アリスは恐怖に震える。
「あ、あの、離して、ください」
泣きそうになりながら、アリスは抵抗する。少年たちはゴクリと喉を鳴らした。
「随分綺麗な顔と声だ。なあ、何の用事で来たんだ?」
「お、お願いします、もう、帰らなくては」
震えるアリスの様子に、そのか弱さに、少年たちは興奮した。
「そう怖がらないでくれ。何も捕って食おうってワケじゃない。まだ昼じゃないか。飯はこれからか?いいところ知ってるから案内するぜ。奢るから好きなモン食えよ」
「おい」
頭上から声がかかった。少年たちが声の主を見てギョッとした。
誰もが美しいと賞賛し、誰もが冷たいと震える。その人間味のなささえ、美貌を引き立てる要因の一つ。この都で知らない者はいない、美しすぎる少年エリアスト。嘘か真か、エリアストの噂を聞きつけたこの国の王女が、強くエリアストを望んでいると聞く。そんな誰をも惹きつける、美しく恐ろしいエリアストが、絶対零度の目で馬上から見下ろしていた。
「誰の許可を得て俺のモノに触れた」
エリアストは軽い身のこなしで馬から下りる。少年たちは、ガクガクと震えていた。誰も、逆らうことなど出来ない。凍てつくオーラを放ちながら近付くエリアスト。少年たちは、逃げることは愚か、動くことすら出来ないでいる。
アリスの手を掴んでいる少年の手を、エリアストは掴んだ。少年は喉の奥で悲鳴を上げる。ギリ、とエリアストの手に力が込められると、少年の手がアリスから離れた。だが、エリアストは少年の手を離さない。さらに力を込める。骨が、無数に折れる音がした。少年の悲鳴が辺りに響き渡る。だが、誰も手を出せない。あまりのことに、見ていた者たちは動くことが出来なかった。
「次は腕を折るだけではない。その命を差し出す覚悟があるなら、同じことをするといい」
そう言い捨て、もう少年たちに気を向けることはなかった。
「エルシィ。勝手にその体を他の人間に触れさせるな。不快だ」
「エル様、申し訳ありません」
アリスは少年の一人に掴まれた左手を、右手で握る。カタカタと体が震えている。エリアストは、アリスの左手を掴み上げた。そして、ベロリとその手を舐める。
「え、る、さま」
「黙れ。消毒だ」
淫靡な水音が耳を犯し、熱い吐息が手を犯す。指の一本一本、爪の先まで、エリアストの舌がなぞる。アリスは眩暈がした。エリアストの異常な執着のせいか、それを嬉しいと感じる自分の狂気に気付いたせいか。
「エルシィ、俺から離れるな。そうすれば、怖い思いをしなくて済む。いいな。わかったな」
手にくちづけながら、エリアストの狂気に満ちた目が、アリスを強く見ている。
「はい、はい、エル様」
バラ色に染まるアリスの頬に、エリアストの手が触れる。アリスはふるりと体を震わせた。
「他は。他に、消毒が必要な場所はどこだ、エルシィ」
唇に触れそうなほど、エリアストが近付く。
「いいえ、ありません、エル様」
「嘘をつくな」
間髪入れずにエリアストは否定する。
「あのガキの、声を聞いただろう、エルシィ」
頬に触れていた手が、するりとアリスの耳を撫でた。
「エルシィの、耳が、汚れる」
耳全体を甘く噛まれ、アリスは息を飲んだ。そしてあろうことか、エリアストの舌がアリスの耳の中を舐った。
「エルッ様っ」
羞恥に震え、アリスはもう立っていられなかった。アリスの膝から力が抜ける。それを、エリアストは難なく支えた。そのまま抱き上げ、耳を解放する。
「もう片方は、家に帰ったら消毒してやる。きちんと掴まっていろ、エルシィ」
アリスを抱えたままエリアストは馬に跨がると、その場を後にした。
一部始終を見ていた者たちは、全員顔が真っ赤だ。倒れる者も、続出した。この都で騒がれている、誰にも興味を示すことのなかった美しすぎる少年の、狂気に満ちた偏愛。この出来事により、アリスという存在は不可侵の領域となる。
「なぜ、一人で街へ行った、アリス」
帰るなり、エリアストはアリスをベッドに少々乱暴に押し倒す。アリスの顔の横で、その両手をエリアストの両手が拘束する。
「あの、エル様に、お礼が、したくて」
「礼?」
エリアストは眉を顰める。
「助けてくださったお礼、と、いつも、守ってくださる、お礼、と、あの、名前、の、」
噛みつくように、エリアストの唇がアリスの言葉を塞いだ。
ようやく離れた唇は、だが名残惜しそうに銀の糸を引いている。
「ああ、もう片方、消毒していなかったな」
ペロリと自身の唇を舐めると、アリスの耳の中を蹂躙し始めた。
「あ、あ、える、さま、違、んんっ」
暫く堪能した後、アリスの耳元で笑った。
「ああ、こちらはさっき消毒したな。反対だった」
ワザとだ。羞恥に震えるアリスを、見たいだけ。
「俺が、おまえを、欲しくて、やった。そう言っただろう」
一語一語、強調して耳に注ぎ込む。
「俺の側にいろと言った。聞けないおまえへの罰だ」
それは、とてもとても、甘美な罰。
「わからないおまえに、何度でも教えてやる」
ぐ、と握る手に力が込められる。
「おまえは、俺のモノだ」
激しく唇が重なった。
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