7 / 24
6.
しおりを挟む
「はて。私はシスティアを監視しているわけではないからな。行動の逐一を把握しておらん。何せあの子はとても特別な子だ。あの子であれば、どんなことでも起こり得るだろうからな」
国王の側近であるユーリは、執務の合間に王女システィアとシーナの関係を尋ねた。すると、国王は不思議そうな顔をしながらも、そう笑ったと言う。
侯爵も宰相補佐という立場から、国王と接触する機会は多い。ユーリのようにそれとなく聞いてみるも、「これからも仲良くやってくれ」と言われただけだった。
あまりしつこく訊いて不審に思われたら、堪ったものではない。
システィアが、どこまでシーナのことを知っているのか。その上で、どこまで国王たちにシーナのことを話しているのか。あまりにも情報がないため、迂闊なことが言えない。今までは病弱で通せたが、元々違う。ここで病弱を理由に断ろうとして、システィアを通して今の姿を知られていたら、王族、まして国王への虚言として、不敬罪となる。
本当であれば、システィアに会い、話を聞きたかった。しかし先日のような偶然でもなければ、いくら宰相補佐とは言え、王女に会うには許可が必要だ。交友関係のことが聞きたいなどと、プライベートなことを聞くために許可を得ることが出来ようはずもない。さらにとても間の悪いことに、システィアは学園に入ってより忙しくなる前にと、招待された数カ国へ外遊に出てしまっていた。
結果、何の情報もないまま、シーナの入学の時が迫っている。
出仕のため馬車に乗り込むと、二人は溜め息を吐くことが日課のようになっていた。
「父上、シーナが学園に通うとなると、また侯爵家の空気が悪くなります。使用人たちの仕事にも差し障る。寮に入れて我々の目が届かないと、何をやらかすかもわからない。領地なら構いませんが、王都では致命的な醜聞になりかねない。今更別邸を建てるにも時間がない。お手上げです」
「本当に忌々しい出来損ないだ。おまえやラーナの十分の一でも出来ていれば、もう少し何とかなったというのに」
侯爵家は、出来損ないと蔑むシーナのことで時間を取られ、煩わされることが、非常に不快だった。
*~*~*~*~*
王女システィアが、とても特別な子、と言われるには、当然理由がある。
現王家に、精霊の加護を持つものはいない。
それは、国民誰もが知っていた。
そんな中、激震が走る。
なんと、王女システィアが、精霊の加護持ちであると発表がなされた。
生まれたときにすぐに加護の鑑定を受けることは、王家ももちろん例外ではない。
精霊は、生まれたばかりの真新しい生命を好む。その時に加護を与えられなかった者が、時と共に精霊からの加護を与えられるなど考えられないことだったからだ。
だが国民たちは、王家が発表したのならそうなのだろう、とめでたいと喜ぶだけであったが、その現場を目撃した貴族たちは、感涙に噎び、システィアと、その存在に平伏した。
それは、王女システィアの十四歳の誕生パーティーでの出来事。
祝いに集まる貴族たち。
システィアが会場に姿を現すと、それは起こった。
………
……
…
「システィア殿下も来年は学園か」
「いやはや、どれほどこの時を待ったか。殿下はなかなか人前に姿を見せませぬ故」
「貴殿の次男は同年でしたな。あれほどの美貌が毎日拝めるとは、いやはや、羨ましい限りだ」
「誰が殿下のお心を射止めるか、気が気でないわ」
「ほんにほんに。いくら殿下たちには伴侶は自由にとは言っても、ある程度素養のあるものを見初めていただかねば国が沈む」
「幸い今までそのようなことはなかった。だが、これからもそうとは限らん。せめて高位貴族の中から選んで欲しいものよ」
そんなことを密やかに口にする者たちもいる。
だが、偶然今まで無事だった、ということではない。王家の人を見る目は確か。
それをわからない者が、そう口にするのだ。
*つづく*
国王の側近であるユーリは、執務の合間に王女システィアとシーナの関係を尋ねた。すると、国王は不思議そうな顔をしながらも、そう笑ったと言う。
侯爵も宰相補佐という立場から、国王と接触する機会は多い。ユーリのようにそれとなく聞いてみるも、「これからも仲良くやってくれ」と言われただけだった。
あまりしつこく訊いて不審に思われたら、堪ったものではない。
システィアが、どこまでシーナのことを知っているのか。その上で、どこまで国王たちにシーナのことを話しているのか。あまりにも情報がないため、迂闊なことが言えない。今までは病弱で通せたが、元々違う。ここで病弱を理由に断ろうとして、システィアを通して今の姿を知られていたら、王族、まして国王への虚言として、不敬罪となる。
本当であれば、システィアに会い、話を聞きたかった。しかし先日のような偶然でもなければ、いくら宰相補佐とは言え、王女に会うには許可が必要だ。交友関係のことが聞きたいなどと、プライベートなことを聞くために許可を得ることが出来ようはずもない。さらにとても間の悪いことに、システィアは学園に入ってより忙しくなる前にと、招待された数カ国へ外遊に出てしまっていた。
結果、何の情報もないまま、シーナの入学の時が迫っている。
出仕のため馬車に乗り込むと、二人は溜め息を吐くことが日課のようになっていた。
「父上、シーナが学園に通うとなると、また侯爵家の空気が悪くなります。使用人たちの仕事にも差し障る。寮に入れて我々の目が届かないと、何をやらかすかもわからない。領地なら構いませんが、王都では致命的な醜聞になりかねない。今更別邸を建てるにも時間がない。お手上げです」
「本当に忌々しい出来損ないだ。おまえやラーナの十分の一でも出来ていれば、もう少し何とかなったというのに」
侯爵家は、出来損ないと蔑むシーナのことで時間を取られ、煩わされることが、非常に不快だった。
*~*~*~*~*
王女システィアが、とても特別な子、と言われるには、当然理由がある。
現王家に、精霊の加護を持つものはいない。
それは、国民誰もが知っていた。
そんな中、激震が走る。
なんと、王女システィアが、精霊の加護持ちであると発表がなされた。
生まれたときにすぐに加護の鑑定を受けることは、王家ももちろん例外ではない。
精霊は、生まれたばかりの真新しい生命を好む。その時に加護を与えられなかった者が、時と共に精霊からの加護を与えられるなど考えられないことだったからだ。
だが国民たちは、王家が発表したのならそうなのだろう、とめでたいと喜ぶだけであったが、その現場を目撃した貴族たちは、感涙に噎び、システィアと、その存在に平伏した。
それは、王女システィアの十四歳の誕生パーティーでの出来事。
祝いに集まる貴族たち。
システィアが会場に姿を現すと、それは起こった。
………
……
…
「システィア殿下も来年は学園か」
「いやはや、どれほどこの時を待ったか。殿下はなかなか人前に姿を見せませぬ故」
「貴殿の次男は同年でしたな。あれほどの美貌が毎日拝めるとは、いやはや、羨ましい限りだ」
「誰が殿下のお心を射止めるか、気が気でないわ」
「ほんにほんに。いくら殿下たちには伴侶は自由にとは言っても、ある程度素養のあるものを見初めていただかねば国が沈む」
「幸い今までそのようなことはなかった。だが、これからもそうとは限らん。せめて高位貴族の中から選んで欲しいものよ」
そんなことを密やかに口にする者たちもいる。
だが、偶然今まで無事だった、ということではない。王家の人を見る目は確か。
それをわからない者が、そう口にするのだ。
*つづく*
267
あなたにおすすめの小説
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
魅了魔法の正しい使い方
章槻雅希
ファンタジー
公爵令嬢のジュリエンヌは年の離れた妹を見て、自分との扱いの差に愕然とした。家族との交流も薄く、厳しい教育を課される自分。一方妹は我が儘を許され常に母の傍にいて甘やかされている。自分は愛されていないのではないか。そう不安に思うジュリエンヌ。そして、妹が溺愛されるのはもしかしたら魅了魔法が関係しているのではと思いついたジュリエンヌは筆頭魔術師に相談する。すると──。
レイブン領の面倒姫
庭にハニワ
ファンタジー
兄の学院卒業にかこつけて、初めて王都に行きました。
初対面の人に、いきなり婚約破棄されました。
私はまだ婚約などしていないのですが、ね。
あなた方、いったい何なんですか?
初投稿です。
ヨロシクお願い致します~。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
素直になる魔法薬を飲まされて
青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。
王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。
「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」
「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」
わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。
婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。
小説家になろうにも投稿しています。
持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる