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二章
お人好しな貴女は
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カリーナ様が亡くなられて半年。
屋敷は静かになった気がする。
それは、カリーナ様が居なくなったのもあるが、カトレア様が部屋にこもってしまったのも関係している。
仕方ないと、ご飯は食べてくれているからいいと思っていたがそろそろ我慢の限界である。むしろ、3ヶ月も待った事を賞賛したい。
「カトレア様、今直ぐここを開けないのでしたら、ドアをぶち破ります。」
部屋から返事はない。
ガイはドアを蹴破ろうと足を上げた時ドアが勢いよく開いた。
「やっと!やっとできた!ガイ、今直ぐ街に届けにいくわよ。」
「……落ち着いてください。3ヶ月も部屋に籠られて何をしていたんですか。」
カトレアはガイの前に小瓶を見せるようにあげる。
中には透明な液体が入っていた。
「これは?」
「これは病の特効薬よ!」
ずっとこの人はこれを作っていたのか?
母親が死んで悲しいはずなのに辛いはずなのに他人の為に。
才能があるとは思っていたがここまでとは思っていなかった。
「どうやって、そんな早く。」
「この子が手伝ってくれたの。」
目の前にいるのは、人じゃない。猫2匹だ。黒猫と白猫。
「猫ですか?」
「えぇ、そうよ。白い猫がミケで黒い猫がティナよ。」
「にゃぁ~、にゃぁ。にゃ。」
「そんな事ないわよ。すごく優しんだから。」
どうやらカトレア様には猫の話している言葉がわかるらしい。
ガイには何を言っていたかわからなかったが、ただ何か失礼な事を言われたことは分かった。
白猫は明らかに馬鹿にした目でこちらを見ている。
黒猫は興味がなさそうにしている。
「…カトレア様。俺にはただの猫に見えるのですが。」
「にゃ!にゃにゃ。にゃぁー。」
白猫が心外そうになく。
「何と言ってるんですか?」
「ガイには分からないの?」
「はい。」
カトレア今初めて気がついたのか目を見開いて猫達に話しかけている。
「…えっと、この子達偉い人の使いみたいな。うーん。なんて言ったらいんだろ。」
「つまり、妖精か何かですか?」
妖精には動物や植物の姿をしている者もいると聞く。
「にゃ、にゃにゃ。」
あ、どうやら違うらしい。
ガイは何となく目この言うことがわかってきた。
「妖精よりも偉大らしいわ。私も初めは妖精さんかと思ったんだけどね。」
「そうですか。」
カトレア様に危害を加え何のならいい。
ただこの人はいつも警戒心が足りない。それが心配なのだ。
「今はとにかくこれを届けに行くわよ!」
「カトレア様いけません。これは我々が届けます。ですからしっかり休んで下さい。」
元気に見えるが、カトレアの目の下にはうっすらとクマもあるし、あの頃よりも確実に痩せてしまっている。
「…ダメ。私自身で届けたいの。ちゃんと皆んなが助かるか確認したいの。」
「…何を言っても行くんでよう。……分かりました。その代わり無茶はしない事。もし、無茶をするようなら無理やりでもやめさせます。」
「ありがとう!ガイ。」
自分はとことんカトレア様に甘い。
「その前にまずはご飯を食べて着替えて下さい。」
カトレアとガイは支度を終わらせアルベルトの元へ向かう。
「お父様、失礼します。」
「カトレア、薬の事はセバスチャンから聞いたよ。それは本当に病気を治せるのかい?」
「はい。それは問題ありません。」
「そうか。それなら、まず、カトレアその特効薬の作り方を教えて欲しい。僕の信頼してる魔法薬剤師に任せるから。それから薬を届ける経路は国王にもう頼んであるから安全だ。ガイ達は先に街に行きなさい。カトレアはそれが書き終わったらガイ達と合流しなさい。ここからは、時間との勝負だ。」
流石は宰相大臣、行動が早く的確だ。
一切の隙がない。
みんながそれぞれ動き出す。
「カトレア様、無茶はしないで下さい。」
それだけ言うとガイはカトレアの返事を聞くことなく馬車に向かう。
どれだけこっちが心配してもあの人は無茶をしてしまう。だったら、俺が見ていればいい。カトレア様を助けるのも守るのも止めるのも俺でありたい。
この感情が何なのかまだ分からないがこれだけは分かる俺にとってカトレア様は大切な存在で目が離せないことそして、この感情に向き合うのが怖いということだ。
「ガイさんつきましたよ。」
「えぇ。」
ガイはサラに呼ばれ、馬車から出る。
久しぶりに来た街はあのお祭りの時の活気が嘘のように静かだ。
ここまでとは思わなかった。
「……酷いですね。」
「そうですね。これじゃ、カトレア様が悲しまれる。あの人は超が付くお人好しですからね。」
「そうですね。」
だから、今は目の前のことに集中しよう。
屋敷は静かになった気がする。
それは、カリーナ様が居なくなったのもあるが、カトレア様が部屋にこもってしまったのも関係している。
仕方ないと、ご飯は食べてくれているからいいと思っていたがそろそろ我慢の限界である。むしろ、3ヶ月も待った事を賞賛したい。
「カトレア様、今直ぐここを開けないのでしたら、ドアをぶち破ります。」
部屋から返事はない。
ガイはドアを蹴破ろうと足を上げた時ドアが勢いよく開いた。
「やっと!やっとできた!ガイ、今直ぐ街に届けにいくわよ。」
「……落ち着いてください。3ヶ月も部屋に籠られて何をしていたんですか。」
カトレアはガイの前に小瓶を見せるようにあげる。
中には透明な液体が入っていた。
「これは?」
「これは病の特効薬よ!」
ずっとこの人はこれを作っていたのか?
母親が死んで悲しいはずなのに辛いはずなのに他人の為に。
才能があるとは思っていたがここまでとは思っていなかった。
「どうやって、そんな早く。」
「この子が手伝ってくれたの。」
目の前にいるのは、人じゃない。猫2匹だ。黒猫と白猫。
「猫ですか?」
「えぇ、そうよ。白い猫がミケで黒い猫がティナよ。」
「にゃぁ~、にゃぁ。にゃ。」
「そんな事ないわよ。すごく優しんだから。」
どうやらカトレア様には猫の話している言葉がわかるらしい。
ガイには何を言っていたかわからなかったが、ただ何か失礼な事を言われたことは分かった。
白猫は明らかに馬鹿にした目でこちらを見ている。
黒猫は興味がなさそうにしている。
「…カトレア様。俺にはただの猫に見えるのですが。」
「にゃ!にゃにゃ。にゃぁー。」
白猫が心外そうになく。
「何と言ってるんですか?」
「ガイには分からないの?」
「はい。」
カトレア今初めて気がついたのか目を見開いて猫達に話しかけている。
「…えっと、この子達偉い人の使いみたいな。うーん。なんて言ったらいんだろ。」
「つまり、妖精か何かですか?」
妖精には動物や植物の姿をしている者もいると聞く。
「にゃ、にゃにゃ。」
あ、どうやら違うらしい。
ガイは何となく目この言うことがわかってきた。
「妖精よりも偉大らしいわ。私も初めは妖精さんかと思ったんだけどね。」
「そうですか。」
カトレア様に危害を加え何のならいい。
ただこの人はいつも警戒心が足りない。それが心配なのだ。
「今はとにかくこれを届けに行くわよ!」
「カトレア様いけません。これは我々が届けます。ですからしっかり休んで下さい。」
元気に見えるが、カトレアの目の下にはうっすらとクマもあるし、あの頃よりも確実に痩せてしまっている。
「…ダメ。私自身で届けたいの。ちゃんと皆んなが助かるか確認したいの。」
「…何を言っても行くんでよう。……分かりました。その代わり無茶はしない事。もし、無茶をするようなら無理やりでもやめさせます。」
「ありがとう!ガイ。」
自分はとことんカトレア様に甘い。
「その前にまずはご飯を食べて着替えて下さい。」
カトレアとガイは支度を終わらせアルベルトの元へ向かう。
「お父様、失礼します。」
「カトレア、薬の事はセバスチャンから聞いたよ。それは本当に病気を治せるのかい?」
「はい。それは問題ありません。」
「そうか。それなら、まず、カトレアその特効薬の作り方を教えて欲しい。僕の信頼してる魔法薬剤師に任せるから。それから薬を届ける経路は国王にもう頼んであるから安全だ。ガイ達は先に街に行きなさい。カトレアはそれが書き終わったらガイ達と合流しなさい。ここからは、時間との勝負だ。」
流石は宰相大臣、行動が早く的確だ。
一切の隙がない。
みんながそれぞれ動き出す。
「カトレア様、無茶はしないで下さい。」
それだけ言うとガイはカトレアの返事を聞くことなく馬車に向かう。
どれだけこっちが心配してもあの人は無茶をしてしまう。だったら、俺が見ていればいい。カトレア様を助けるのも守るのも止めるのも俺でありたい。
この感情が何なのかまだ分からないがこれだけは分かる俺にとってカトレア様は大切な存在で目が離せないことそして、この感情に向き合うのが怖いということだ。
「ガイさんつきましたよ。」
「えぇ。」
ガイはサラに呼ばれ、馬車から出る。
久しぶりに来た街はあのお祭りの時の活気が嘘のように静かだ。
ここまでとは思わなかった。
「……酷いですね。」
「そうですね。これじゃ、カトレア様が悲しまれる。あの人は超が付くお人好しですからね。」
「そうですね。」
だから、今は目の前のことに集中しよう。
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