転生したら王族だった

第一章 - 出会いと成長

４５話 ルフィナがいない！？

　翌朝、レイニーが目を覚ますと、隣で寝ていたはずのルフィアの姿が見当たらなかった。朝早くから宿屋の手伝いをしているのだろうかと思い、宿屋の店主にルフィアのことを確認してみた。

「ルフィア？　彼女は今朝早くに、あなたたちのために森に食材を採りに行ったよ」店主はそう答えた。

　レイニーはルフィアの気配を探ると、数人の獣人と一緒に同じ場所に集められているのを感じた。

「……これって、昨日の話にあった拐われるってやつじゃないの？」レイニーは焦りながら心の中で思った。

　急いで皆の部屋に声を掛け、事情を説明した。「ルフィアが危ないかも！　昨日の話にあったように、獣人たちが拐われているかもしれないんだよ。すぐに救出に向かわないと……せっかく笑顔になってくれたのに！」

　仲間たちはすぐに行動を開始した。リリスが隠密行動の指示を出し、セラフィーナが救出作戦の戦略を練り、ロディーが先行して状況を確認することにした。

　森に入ると、静寂の中に不穏な気配が漂っていた。ロディーが先行して敵の位置を確認し、リリスが槍を構え警戒を怠らなかった。

「レイニーくん、あそこに捕らえられているのがルフィアたちよ」セラフィーナが指をさしながら囁いた。

「わかった。リリス、隠密行動で近づいて、敵の注意を引いてくれ。ロディーとセラフィーナは側面から攻撃の準備を」レイニーは指示を出し、リリスが姿を消して動き出した。

　リリスが敵の注意を引きつけた瞬間、ロディーとセラフィーナが素早く動き、捕らえられている獣人たちの元へと駆け寄った。ルフィアもその中におり、驚きながらも安堵の表情を浮かべた。

「お兄ちゃんたち……！」ルフィアが涙を浮かべながら叫んだ。

「大丈夫だよ、ルフィア。もう心配しなくていいからね」レイニーは優しく微笑み、彼女を抱きしめた。

　捕らえていた敵を全員無力化し、無事にルフィアと他の獣人たちを救出することができた。村へ戻ると、村人たちはレイニーたちに感謝の意を示し、暖かく迎えてくれた。

「本当にありがとう。君たちのおかげで、また平和を取り戻せたよ」村長が感謝の意を表した。

「うん、俺たちはただ力を尽くしただけだし。それに可愛い妹を助けただけだしねぇ～」レイニーは微笑みながら答え、ルフィアの頭を撫でた。


　数日間、レイニーと彼の冒険者パーティは獣人の村に滞在し、村の周辺を探索した。自然豊かなこの地域には、美しい森林や川が流れており、様々な動植物が生息していた。

「この辺りは本当に美しいわね。でも、危険も多いから注意が必要だよ。」セラフィーナが冷静に言った。

「そうだね。ルフィアも一緒にいるし、特に気をつけないとね！」レイニーは頷きながら答えた。

　探索の途中、彼らは盗賊の残党に遭遇することがあった。盗賊たちは、村を襲おうとしていたが、レイニーたちの存在に気づき逃げ出した。

「逃がさないぞ！」リリスが叫び、槍を構えて追いかけ始めた。

「ルフィア、僕たちについて来て！　嗅覚を使って逃走経路を追って！」レイニーが指示を出すと、ルフィアは頷いて素早く動き出した。

「わかった！　お兄ちゃんについていくね！」ルフィアは笑顔を見せながら、逃げる盗賊の匂いを追跡した。

　盗賊たちは森の奥深くに逃げ込もうとしていたが、ルフィアの鋭い嗅覚とレイニーたちの迅速な行動で次々と捕らえられた。

「捕まえたっ！　もう逃げられないよ！」ロディーが敵を縛り上げながら言った。

「スゴイね。ルフィアのおかげで盗賊たちを捕まえれたね」レイニーはルフィアを褒めた。

「うん、お兄ちゃんの役に立ててうれしい！」ルフィアは誇らしげに微笑んだ。

　また、魔物の討伐も行った。村の周辺には様々な魔物が現れ、村人たちを脅かしていた。レイニーたちは魔物を見つけるたびに、その討伐に向かった。

「また魔物が現れたわね。気をつけて討伐しに行きましょうか」セラフィーナが冷静に言った。

「はぁい！みんな、準備はいいかなぁ？」レイニーが声を掛けると、仲間たちは一斉に頷いた。

　魔物との戦いでは、ロディーが前線で戦い、セラフィーナが回復魔法で支援し、リリスが魔法で攻撃をして俺が指示を出す。ルフィアもその素早さを活かして魔物の注意を引き、レイニーがその隙を突いて攻撃を仕掛ける。

「これで、おーわりっ♪」レイニーは剣を振り下ろし、最後の魔物を倒した。

「みんな、お疲れ様。これで村も少しは平和になったかなっ」レイニーは息をつきながら言った。

「そうね。これで村人たちも安心して暮らせるとおもうわよ」セラフィーナが優しく微笑んだ。

　村もだいぶ平和になり魔物の数も減ったので、レイニーたちは村を離れることを決めた。ルフィアにそのことを告げると、悲しむかと思いきや、「わかったぁ」と軽く答え、ニコニコしていた。

　翌日、旅立つ準備をしていると、ルフィアが大きなリュックを背負い当たり前のように彼らの準備を待っていた。

「次は、どこに行くのかなぁ？」と可愛く聞いてきた。宿屋の店主がそれを聞き苦笑いをして言った。

「……良い子なんだ、お前さんが良ければ面倒を見てやってくれないか？うちの宿屋では養うのが厳しいんだ」

　そう言われ、ルフィアに確認をした。「えっと……この村には、しばらく帰ってこれないと思うけど？」

「うん。寂しいけど……ここには、わたしの居場所がないから……迷惑かけちゃうし」ルフィアは悲しそうな表情をして答えた。

「レイニー様が良ければ、わたしは仲間に加えても良いと思うぞ。」リリスがルフィアを見ながら言った。他のみんなも頷いた。

　レイニーも、このまま放ってはおけないと思っていた。「よし、ルフィア、これからは一緒に冒険しようか。新しい仲間ができたっ！」

　ルフィアは満面の笑みを浮かべ、「やったぁ！　お兄ちゃん、大好き！」と叫び、レイニーに飛びついてきた。

　こうして、新たなる仲間が加わり、レイニーたちの冒険はさらに賑やかで充実したものになり。次なる目的地へと心躍らせながら、彼らは旅を続けるのであった……。だが……まず、城へ帰らなければ……。そう……無断外泊なんだよね……あはは。はぁ……。