本当は、愛してる

双子のたまご

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第二章

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「あの…お疲れ様です…」

「…ああ。」

獅音さんに反して、龍海さんとはほぼ何も話さない。
迎えに来たときの挨拶、それから

「あの…今日もありがとうございました…」

「ああ。」

送ってもらったことへのお礼。
それに対しての龍海さんの返事。以上。
初めは沈黙が気まず過ぎたが、今はただ龍海さんの背中を見つめて歩いている。
今日は疲れているみたいだな、くらいは分かるようになった気がする。

龍海さんは獅音さんの指示で迎えに来てるんだろうな…
そうなると獅音さんのことがいよいよわからない。
本当に、何のために私に構い続けるのか…
そんなことを考えていると

「おい。何を考えている」

「…え?」

「今日は何を考え込んでいる」

「え?…えっと…」

そんなにぼんやりしていただろうか。
龍海さんの後ろを歩いているのだから、こちらの様子は分からないはずなのに。

「あー、えっと…獅音さんより龍海さんが送ってくれることの方が多いなぁ、って…」

なんでこんなことを言ってしまったのだろう。
獅音さんの方が忙しい、とかだろう。
そもそも龍海さん、私のお迎えとかしたくないでしょ!
気を悪くさせてしまっ…

「嫌なのか」

「え…」

「嫌なのかと聞いている」

「え、そ、そんなこと…ない、です…」

「…そうか」

龍海さんはそう言ってまた歩き出す。
前言撤回。
やっぱり龍海さんもよく分からない。
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