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第四章
Ⅳ
しおりを挟む連絡先…?を、聞いてきた?
「……」
「……」
あまりの衝撃になにも考えられない。
「………おい、」
「あっ、はい!」
「……」
あっ返事待ちか。
「あっ、だ、大丈夫です。」
慌てて携帯を取り出す。
トークアプリを出して龍海さんに見せる。
トーク相手が追加された。
龍海さんのアイコンはどこかの海の写真だった。
「たつみ」と名前が表記されている。
「……」
龍海さんも携帯の画面を見ている。
「…また、連絡する。」
携帯をしまいながら龍海さんが言う。
「はい…」
「呼び止めて悪かった。」
「いえ…えっと、おやすみなさい…」
「…あぁ。」
今度こそ、家に入る。
扉を閉める瞬間、まだ龍海さんはこちらをみていた。
「やぁ、翠ちゃん。久しぶりだねぇ。」
「…」
「あ、獅音さん、龍海さん、こんにちは。」
あれから。
龍海さんに連絡先を聞かれて三日程経つころ、龍海さんから連絡が来た。
今週末の仕事後に会えるか、と。
獅音さんが来るのだろう。
『大丈夫です』
『分かった』
トーク画面にはスクロールを必要としない程、淡々としたやり取りが残っている。
「元気だった?」
「はい、ありがとうございます。」
相変わらず柔らかく笑う人だ。
「龍海さんも来てくださったんですね。
この前はありがとうございました。」
龍海さんにも挨拶する。
「あぁ。」
「もう、お前はまたそんな無愛想な返事して。」
「…兄さん。」
「はいはい。」
…兄弟、だなぁ。
「翠ちゃん、久しぶりにご飯行かない?」
「え?いえ、えっと」
「今日は何の気分?因みに僕はパスタ。」
「獅音さん、」
「そっかそっか、翠ちゃんもパスタの気分か~
じゃあ行こっか。龍海、行くよ。」
また獅音さんの勢いに圧されて挙動不審になる私に行くぞ、と龍海さんが声をかけた。
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