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第八章
Ⅳ
しおりを挟む「新しいバックが欲しかったんじゃないのか?
いいのか?」
「うん。なんか実物見るとちょっと違った。
次のシーズンでいいや。」
今日は琥珀と隣町のショッピングモールに来ていた。
「あ、あの雑貨屋さん、ちょっと見ていい?」
「あぁ。」
「いいものあったら買ってくるから、鞄。」
「あぁ。」
預かっていた琥珀の鞄を返す。
鞄を受け取った琥珀は店へ入っていった。
雑貨屋をぼーっと眺める。
…あ、あの時計。彼女の家に色違いがあった。
この店で買ったのか?
いや、どこにでもあるか。
彼女もこのショッピングモールに来たことはあるだろうか。
隣町だし、あり得る。
今度は普通に買い物に誘うのもいいかもしれない。
「たっくん、ごめん~お待たせ!」
琥珀が戻ってきた。
「あぁ」
特に何か買った様子はない。
「もう良いのか?」
「うん、ありがとう~」
「じゃあ飯に行くか。」
琥珀の鞄を預かり、レストラン街へ向かう。
「…あ、花屋だ。」
途中で通り掛かった花屋に、琥珀が反応する。
「欲しいのか?」
「ガーベラがね。でも旬なのはちょっと後かなぁ」
「そうか。また買ってやる。」
「ありがとー」
…腹が減ったな。
「ただいま。」
「ただいま~!聞いてよ獅音兄さん!
いつものショッピングモールのパスタ屋さん、韓国料理屋さんに変わってた!
あのパスタ屋さんサラダバー付いてて気に入ってたのにぃ~」
「おかえり。
そうなの、琥珀。残念だったねぇ。」
兄さんに泣きつく琥珀の頭を、よしよしと兄さんが撫でている。
「…そういえば、翠ちゃんは今日何をしてるのかなぁ。」
「食料品を買いに行くと言っていた。
毎週、一週間分のおかずを作り置きしてるらしい。」
「へぇ…隣町まで?」
「いや、聞いてないが…
近くのスーパーだろう。
どうしたんだ、兄さん。」
「うーん…いいや。なんでもない。」
兄さんはたまに脈絡のない話をする。
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