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第二十九話 死の影
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「虎も来てくれたのか、いや送ってくれたんだ……」
公一は感謝の気持ちをこめ感謝の呪文を呟いた。
赤く燃えるムカデは丘全体に巻き付き、丘の頂上には虎が座り潜む者を射すくめる様に見つめてる。
「いつから……」
潜む者は絶句してそれ以上の言葉が続かなかった。
「何時からって、俺が礼拝した時からだよ。ちゃんと見てなかったようだな。自分よりデカい物は居ないとでも思っていたのか。デカすぎて目に入らなかったか?」
唖然として食い入るように丘を見つめている潜む者の耳には、公一の声は届いていない。潜む者がする荒い息遣いだけが響くだけだった。
「さて、俺を切り刻んでいる暇があるか考えるんだな」
公一の言葉の意味を考えた潜む者に一瞬の隙が生まれ公一を狙っていた剣先がわずかに乱れた。
刹那、公一は飛び上がり難なく潜む者が作っていたとぐろから抜け出してみせた。
「逃がすか」
潜む者が再び公一を捕らえようと体を伸ばした瞬間、静かに様子を見ていた「お使いの」両者が動いた。
大きく顎を開いたムカデは火の粉を辺りにまきちらしながら潜む者に飛びかかった。大顎は潜む者の胴体を捉えた瞬間に金属音に近い音を立てて閉じ二つに断ち切ってしまった。
「ぐはっ……」
潜む者の口からは胃の中に残っていた物が吐き出された。
潜む者はの体は勢いよく身体を伸ばした瞬間だったこともあり、ちぎれ飛び空中で回転しながら大きく宙を舞った。
虎は宙に舞う潜む者に向かってしなやかに体を躍らせ、その鋭い牙でガッチリと咥えこみ音も無く床に降り立つ。
潜む者はまだ逃げるだけの力が残っていたようで残った手足を激しく動かした。
が、虎は放すどころか一層強く咥えこみ激しく頭を振って潜む者を痛めつけた。
潜む者は観念したのかか細い声が公一の耳に届いた。
「殺さないでえええ……」
成り行きを見守っていた公一は慌てて虎の「お使いに」声をかけた。
「お願いです。まだ殺さないでください。こいつには、まだやらなければならない事が残っているのです」
虎は声をかけた公一に一瞥をくれると潜む者を咥えた口の隙間から唸り声を漏らした。
虎は目を細め公一の言う事に耳を傾けてくれた。
「有難うございます。お聞き届けいただけますか? 私も約定を果たさなければなりません」
虎の「お使い」は公一の目前にまで近づき頭を垂れた。
咥えていた潜む者の腕がだらんと垂れ下がりぶらぶらと揺れいていた。
「た、確かに生きています。はい、急がないと間に合いません」
心強い援軍だったがいささか力が強すぎだった。潜む者は虫の息で今にもお迎えがやってきそうな状態になっていた。
「これは、やっちまったかもしれん…… 退治はしなくてはいけないが、あの人がやらなくちゃ意味が無い」
「厚かましいお願いですが、そいつを、あの人、いえ、老猿のもとに運んでください」
公一は自分の辿って来た方向に指をさした。
潜む者の胴体を焼き尽くし終えたムカデの「お使い」は巻き付いていた胴体を放して公一の指さした方向に身体をうねらせ進み始めた。
ムカデの「お使いが」身体をくねらせる度に火の粉をまき散らし、飛び散った火の粉はあちこちで盛大な炎を上げた。
潜む者が血で汚した道を炎で清めながらの移動になった。
虎の「お使い」も瀕死の潜む者を咥えたまま燃え上がる道に駆けこんで入った。
公一も何の疑いも無く燃え上がる炎の中に続けて飛び込んだ。
「やっぱりだ! 師匠の言った通り熱くない。炎であっても浄化の炎は命有る物には害を及ばさないんだ」
「お使い」達と公一は浄化の炎の流となりながら道を急いだ。
公一達が時折出くわす意志の無い赤い小鬼達はたちまち炎に焼かれ砂となって崩れ落ちてしまった。
しばらく進むと見覚えのある石の塚が立ち並ぶ広間に行き当った。
「ノイ様、ただいま戻りました。返事をしてください」
「おお、公一戻ったか。早くこっちへ来てくれ。サルがな変なんだ」
公一は急ぎ声のする方に向かいノイ達の姿を見つけることが出来た。
公一の目に最初に飛び込んだものはノイが屈みこんで下を見る心配そうな横顔だった。ノイの視線の先には老猿の横たわる姿だった。
「どうしたんですか? その人は」
公一が尋ねた瞬間ノイは公一にしがみついて来た。
「こいつ、もう歳なんだ。じきに死んでしまう」
公一はノイをそっと横にどけると老猿の横に跪いて首筋に手をやって脈を探った。
老猿の脈は規則正しい打ち方ではなく激しく振動している状態だった。
老猿は胸を押さえ時折苦しそうなうめき声を上げていた。
「ポンコツのエンジンみたいな打ち方だ。心房細動って奴か……」
「サルはもうだめだ。時間が無い。私がいくら祝福を与えても良くはならないんだ」
ノイは老衰をまるで自分の責任だと言わんばかりに、うなだれてしょげかえった。
「そうだ公一こいつらはお前が呼んだんだな。サルの敵はどうした? 首尾はどうだった」
公一は「お使い」を見上げて言った。
「こちらの方々の助成によって何とか連れてくることができました。ですが、こっちも死にかかりです」
虎の「お使い」は公一の方に向かって咥えていた潜む者を投げよこした。
公一は感謝の気持ちをこめ感謝の呪文を呟いた。
赤く燃えるムカデは丘全体に巻き付き、丘の頂上には虎が座り潜む者を射すくめる様に見つめてる。
「いつから……」
潜む者は絶句してそれ以上の言葉が続かなかった。
「何時からって、俺が礼拝した時からだよ。ちゃんと見てなかったようだな。自分よりデカい物は居ないとでも思っていたのか。デカすぎて目に入らなかったか?」
唖然として食い入るように丘を見つめている潜む者の耳には、公一の声は届いていない。潜む者がする荒い息遣いだけが響くだけだった。
「さて、俺を切り刻んでいる暇があるか考えるんだな」
公一の言葉の意味を考えた潜む者に一瞬の隙が生まれ公一を狙っていた剣先がわずかに乱れた。
刹那、公一は飛び上がり難なく潜む者が作っていたとぐろから抜け出してみせた。
「逃がすか」
潜む者が再び公一を捕らえようと体を伸ばした瞬間、静かに様子を見ていた「お使いの」両者が動いた。
大きく顎を開いたムカデは火の粉を辺りにまきちらしながら潜む者に飛びかかった。大顎は潜む者の胴体を捉えた瞬間に金属音に近い音を立てて閉じ二つに断ち切ってしまった。
「ぐはっ……」
潜む者の口からは胃の中に残っていた物が吐き出された。
潜む者はの体は勢いよく身体を伸ばした瞬間だったこともあり、ちぎれ飛び空中で回転しながら大きく宙を舞った。
虎は宙に舞う潜む者に向かってしなやかに体を躍らせ、その鋭い牙でガッチリと咥えこみ音も無く床に降り立つ。
潜む者はまだ逃げるだけの力が残っていたようで残った手足を激しく動かした。
が、虎は放すどころか一層強く咥えこみ激しく頭を振って潜む者を痛めつけた。
潜む者は観念したのかか細い声が公一の耳に届いた。
「殺さないでえええ……」
成り行きを見守っていた公一は慌てて虎の「お使いに」声をかけた。
「お願いです。まだ殺さないでください。こいつには、まだやらなければならない事が残っているのです」
虎は声をかけた公一に一瞥をくれると潜む者を咥えた口の隙間から唸り声を漏らした。
虎は目を細め公一の言う事に耳を傾けてくれた。
「有難うございます。お聞き届けいただけますか? 私も約定を果たさなければなりません」
虎の「お使い」は公一の目前にまで近づき頭を垂れた。
咥えていた潜む者の腕がだらんと垂れ下がりぶらぶらと揺れいていた。
「た、確かに生きています。はい、急がないと間に合いません」
心強い援軍だったがいささか力が強すぎだった。潜む者は虫の息で今にもお迎えがやってきそうな状態になっていた。
「これは、やっちまったかもしれん…… 退治はしなくてはいけないが、あの人がやらなくちゃ意味が無い」
「厚かましいお願いですが、そいつを、あの人、いえ、老猿のもとに運んでください」
公一は自分の辿って来た方向に指をさした。
潜む者の胴体を焼き尽くし終えたムカデの「お使い」は巻き付いていた胴体を放して公一の指さした方向に身体をうねらせ進み始めた。
ムカデの「お使いが」身体をくねらせる度に火の粉をまき散らし、飛び散った火の粉はあちこちで盛大な炎を上げた。
潜む者が血で汚した道を炎で清めながらの移動になった。
虎の「お使い」も瀕死の潜む者を咥えたまま燃え上がる道に駆けこんで入った。
公一も何の疑いも無く燃え上がる炎の中に続けて飛び込んだ。
「やっぱりだ! 師匠の言った通り熱くない。炎であっても浄化の炎は命有る物には害を及ばさないんだ」
「お使い」達と公一は浄化の炎の流となりながら道を急いだ。
公一達が時折出くわす意志の無い赤い小鬼達はたちまち炎に焼かれ砂となって崩れ落ちてしまった。
しばらく進むと見覚えのある石の塚が立ち並ぶ広間に行き当った。
「ノイ様、ただいま戻りました。返事をしてください」
「おお、公一戻ったか。早くこっちへ来てくれ。サルがな変なんだ」
公一は急ぎ声のする方に向かいノイ達の姿を見つけることが出来た。
公一の目に最初に飛び込んだものはノイが屈みこんで下を見る心配そうな横顔だった。ノイの視線の先には老猿の横たわる姿だった。
「どうしたんですか? その人は」
公一が尋ねた瞬間ノイは公一にしがみついて来た。
「こいつ、もう歳なんだ。じきに死んでしまう」
公一はノイをそっと横にどけると老猿の横に跪いて首筋に手をやって脈を探った。
老猿の脈は規則正しい打ち方ではなく激しく振動している状態だった。
老猿は胸を押さえ時折苦しそうなうめき声を上げていた。
「ポンコツのエンジンみたいな打ち方だ。心房細動って奴か……」
「サルはもうだめだ。時間が無い。私がいくら祝福を与えても良くはならないんだ」
ノイは老衰をまるで自分の責任だと言わんばかりに、うなだれてしょげかえった。
「そうだ公一こいつらはお前が呼んだんだな。サルの敵はどうした? 首尾はどうだった」
公一は「お使い」を見上げて言った。
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