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第三十二話 消える炎
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「おい、サル大丈夫か?」
ノイの声が辺りに響いた。
がっくりと肩を落とし力なく座り込んだ老猿に声をかけたのだった。
「こっちは二度と悪さは出来ないようにします。その人の様子を見ていて下さい」
公一は潜む者の死体を調らべると浄化の炎をはなつ。炎は一瞬で潜む者の死体を包み灰に変えてしまった。
灰になった潜む者を見て老猿は安心したのか、そのばに横たわってしまった。
「具合はどうですか」
公一はノイの足元に横たわっている老猿の首筋に手を当てたり、指先を触って体温を調べた。
公一の背後では潜む者の死体を始末した残り火が三人の陰を揺らしていた。
「相当無理をしてきたんですね。息も脈も乱れていますし、血のめぐりも悪くて指全体が冷たくなってきました」
公一は自分の指先にふれる老猿の脈を診ながらノイを沈痛な面持ちで見上げた。
「そうか… やっぱりこいつも歳には勝てないのか。もう私の力の及ぶところではないな。さっきはなんとか呼び戻せたんだが」
「そうだったんですか……」
公一は老猿の大きな手をさすってやった。老猿の手は冷たく、公一には老猿の冷たくなりつつある血が暖かさを求めているのがよくわかった。
ノイも公一に倣って座り老猿の手を優しくさすっている。
「よくやった。お前はとても強い戦士だ。立派な族長でもあったぞ」
老猿はノイの語りかけた言葉に返事の代わりに二人のさする手を握った。
閉じていた目を開き公一に目線で訴えた。
「ああ、判ります。持ってきますから、少しだけ待って下さい」
公一の脳裏には、何を、誰を待たせているのか浮かんでしまい、舌打ちしたい気持ちを自分の心の奥に押し込んだ。
老猿の視線は公一を通り越し長年の相棒である大剣に向けられてた。
公一は大剣の柄を握り天井に向かい大きく振り上げた。大剣の刃は潜む者を焼き尽くした残りの炎で赤く輝いていた。
老猿の僅かに開かれてた瞳に大剣の赤い光が映った。
公一は老猿のそばにより大剣の柄が老猿の胸元に来るようにそっと置いた。
ノイはさすっていた老猿の手を柄の場所まで持っていき握らせた。
「公一、そっちの手を柄のところまで持ってやれ。握りやすいようにしてやれよ」
「ええ、承知してますよ」
公一が老猿の手を持とうとすると、何故か振り払われてしまった。
「自分で握りたいのですか?」
老猿はしっかりとした表情を取戻し自らの力で手を大剣の所まで持っていき、
両手で大剣を愛おしそうに撫でまわした。
老猿は公一を見ながら体験を二度軽く叩いた後、自分を人差し指で差した。
「ええ、貴方は一番の使い手ですよ」
公一は槍を手に取り
「でも、これの一番は譲れないですよ」
「しししっ……」
老猿は目を閉じ歯の隙間から笑い声を絞り出す。
老猿は深く息を吸い込み静に息を吐き出した。
もう一度、息を吸うために開かれた口は二度と息を吸い込むことなく身体に残っていた最後の息だけを吐き出した
公一はハッとした表情してノイを見た。
ノイは自分の口元まで上に向けた手のひらを掲げて、両の手のひらに向かって息を吹きかけた。
「公一、戦士の旅立ちだ、お前も私の真似をして送ってやれ」
公一も慌ててノイにならい両手を自分の顔の前にやり息を吹きかけた。
「船頭よ丁重にしてくれ、勇敢なる戦士の旅立ちなんだからな。頼むぞ」
ノイは公一の見えぬ誰かに声をかけた。
「逝ってしまわれましたか」
公一は見えぬ船を目で追いながらノイに尋ねた。
「ああ逝ったよ、サルは生者には見えぬ大河を下っていく。次はどこに流れ着くのであろうかな。それは誰にもわからない事さ」
ノイは横たわっている大猿の亡骸を見て公一を呼んだ。
「おい公一、このサルを苦しめていた奴を探し出さなくてはならんな。お前が引っ張ってきたやつは、誰の手先かはわかるか?」
「何者かは判りませんが、あれを猿の形から変えた奴がいます。力と引き換えだそうです」
「フン……。他には?」
「肉は自分に、皮は貢物にするとか言ってました」
「あと死んだ小鬼が働いてました。簡単な事をするだけで、こちらには敵意は見せません出した。ただ働かせられているだけでしたね」
ノイは老猿を見つめながら何かを考えている様子だった。
「なあ公一、その貢物を取りに誰が来ると思う……?」
「いきなり大物がノコノコで出来ないでしょう。せいぜいあれと同じ位の奴でしょうね」
「そうだな行けばわかるか。案内は出来るな」
「ええ大丈夫です。道はしっかり覚えています。迷子にはなりません。色々と目印が残っています。焼けた小鬼ですが」
「あまり良い道しるべとは言えないな。まあ良いか、案内しろ」
ノイは立ち上がる前に老猿の顔をなぜた。
「さらば戦士よ。お前は汚されことは無い。あとは自然、ここの理に従うだけだ。さあ公一、行くぞ」
「判りました。俺にも挨拶させて下さい」
公一は老猿の足もとに立つと深々と頭を下げた。
ノイは立ち上がり公一の横に立ち顔を覗き込み黙って公一の尻を思いっきりひっぱたいた。
「いてて、痛いって。何するんですかいきなり! ノイ様の平手は痛いんだから」
「ああ良い音だ。こいつも音を上げてたな。少しは元気でたか?」
「出ましたよ。行きましょう。この人の敵討ですよ」
二人は猿山を目指して歩き出した
ノイの声が辺りに響いた。
がっくりと肩を落とし力なく座り込んだ老猿に声をかけたのだった。
「こっちは二度と悪さは出来ないようにします。その人の様子を見ていて下さい」
公一は潜む者の死体を調らべると浄化の炎をはなつ。炎は一瞬で潜む者の死体を包み灰に変えてしまった。
灰になった潜む者を見て老猿は安心したのか、そのばに横たわってしまった。
「具合はどうですか」
公一はノイの足元に横たわっている老猿の首筋に手を当てたり、指先を触って体温を調べた。
公一の背後では潜む者の死体を始末した残り火が三人の陰を揺らしていた。
「相当無理をしてきたんですね。息も脈も乱れていますし、血のめぐりも悪くて指全体が冷たくなってきました」
公一は自分の指先にふれる老猿の脈を診ながらノイを沈痛な面持ちで見上げた。
「そうか… やっぱりこいつも歳には勝てないのか。もう私の力の及ぶところではないな。さっきはなんとか呼び戻せたんだが」
「そうだったんですか……」
公一は老猿の大きな手をさすってやった。老猿の手は冷たく、公一には老猿の冷たくなりつつある血が暖かさを求めているのがよくわかった。
ノイも公一に倣って座り老猿の手を優しくさすっている。
「よくやった。お前はとても強い戦士だ。立派な族長でもあったぞ」
老猿はノイの語りかけた言葉に返事の代わりに二人のさする手を握った。
閉じていた目を開き公一に目線で訴えた。
「ああ、判ります。持ってきますから、少しだけ待って下さい」
公一の脳裏には、何を、誰を待たせているのか浮かんでしまい、舌打ちしたい気持ちを自分の心の奥に押し込んだ。
老猿の視線は公一を通り越し長年の相棒である大剣に向けられてた。
公一は大剣の柄を握り天井に向かい大きく振り上げた。大剣の刃は潜む者を焼き尽くした残りの炎で赤く輝いていた。
老猿の僅かに開かれてた瞳に大剣の赤い光が映った。
公一は老猿のそばにより大剣の柄が老猿の胸元に来るようにそっと置いた。
ノイはさすっていた老猿の手を柄の場所まで持っていき握らせた。
「公一、そっちの手を柄のところまで持ってやれ。握りやすいようにしてやれよ」
「ええ、承知してますよ」
公一が老猿の手を持とうとすると、何故か振り払われてしまった。
「自分で握りたいのですか?」
老猿はしっかりとした表情を取戻し自らの力で手を大剣の所まで持っていき、
両手で大剣を愛おしそうに撫でまわした。
老猿は公一を見ながら体験を二度軽く叩いた後、自分を人差し指で差した。
「ええ、貴方は一番の使い手ですよ」
公一は槍を手に取り
「でも、これの一番は譲れないですよ」
「しししっ……」
老猿は目を閉じ歯の隙間から笑い声を絞り出す。
老猿は深く息を吸い込み静に息を吐き出した。
もう一度、息を吸うために開かれた口は二度と息を吸い込むことなく身体に残っていた最後の息だけを吐き出した
公一はハッとした表情してノイを見た。
ノイは自分の口元まで上に向けた手のひらを掲げて、両の手のひらに向かって息を吹きかけた。
「公一、戦士の旅立ちだ、お前も私の真似をして送ってやれ」
公一も慌ててノイにならい両手を自分の顔の前にやり息を吹きかけた。
「船頭よ丁重にしてくれ、勇敢なる戦士の旅立ちなんだからな。頼むぞ」
ノイは公一の見えぬ誰かに声をかけた。
「逝ってしまわれましたか」
公一は見えぬ船を目で追いながらノイに尋ねた。
「ああ逝ったよ、サルは生者には見えぬ大河を下っていく。次はどこに流れ着くのであろうかな。それは誰にもわからない事さ」
ノイは横たわっている大猿の亡骸を見て公一を呼んだ。
「おい公一、このサルを苦しめていた奴を探し出さなくてはならんな。お前が引っ張ってきたやつは、誰の手先かはわかるか?」
「何者かは判りませんが、あれを猿の形から変えた奴がいます。力と引き換えだそうです」
「フン……。他には?」
「肉は自分に、皮は貢物にするとか言ってました」
「あと死んだ小鬼が働いてました。簡単な事をするだけで、こちらには敵意は見せません出した。ただ働かせられているだけでしたね」
ノイは老猿を見つめながら何かを考えている様子だった。
「なあ公一、その貢物を取りに誰が来ると思う……?」
「いきなり大物がノコノコで出来ないでしょう。せいぜいあれと同じ位の奴でしょうね」
「そうだな行けばわかるか。案内は出来るな」
「ええ大丈夫です。道はしっかり覚えています。迷子にはなりません。色々と目印が残っています。焼けた小鬼ですが」
「あまり良い道しるべとは言えないな。まあ良いか、案内しろ」
ノイは立ち上がる前に老猿の顔をなぜた。
「さらば戦士よ。お前は汚されことは無い。あとは自然、ここの理に従うだけだ。さあ公一、行くぞ」
「判りました。俺にも挨拶させて下さい」
公一は老猿の足もとに立つと深々と頭を下げた。
ノイは立ち上がり公一の横に立ち顔を覗き込み黙って公一の尻を思いっきりひっぱたいた。
「いてて、痛いって。何するんですかいきなり! ノイ様の平手は痛いんだから」
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