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第四十七話 仇討 その十五 下へ行く道
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「そもそも人間の言うことを聞きますかね?」
「じゃあ、お前の言うことを、私がハイハイと聞くか?」
「じゃあノイ様、おんぶしますから私の背に乗ってください」
公一はノイの前に背中を見せて座る。
ノイは何のためらいもなく公一の首に手を廻して身を任せた。
「立ちますから暴れないでくださいね」
「で、これ何の意味がある?」
「ノイ様、すぐに言うことを聞いてくれましたね」
「お前って奴は私を騙したのか。こうしてやる」
ノイは公一の首に絡めた腕に冗談半分で力を込めた。
「これです。ノイ様、好きな事なら聞いてくれますよね。お願いとか」
「ま、まあ。そうだな」
ノイは公一の耳に息を吹きかけたり首筋の匂いを嗅いでいた。
「んー、気に入らなければ。こうやって首を絞めたり暴れだりだ」
「ズンダ暴れたりすると、どうなりますか」
「奴が暴れた後、ほったらかしにすると不毛で呪われた土地にしかならない」
「ノイ様の力が、この世界に必要な理由ですね」
ノイは我が意を得たりと公一の頭をくしゃくしゃとなぜた。
「ああ、そたうだ。我が母なる神の使いとして世界の形を保ち、その時々に合わせて形を変えていく。そこで生まれた者たちを愛で育てていく。それが私の仕事だ。だが勝手は出来ないし、もちろん初めからは作れないよ」
「ズンタの本当の役目は、お前たち人間や他の知恵を持つ者に厄を与え警告するの事だった」
「元々は形があるものでも無かったし、まして人に近い形をとることは無かった。
だが私と戦った時は人に似た形をとっていた。しかも自分の意志で動く手下どもまで持っていた」
「ズンダが人間に崇拝されだしたからでしょうか? ノイ様を裏切った人間がいたんですから。ノイ様が知らないうちにズンダに対しての崇拝が広がったかもしれません」
「それが一番の理由だろう。自分の一族を持つ事を許されたのは同じ神の僕でも私だけだった」
「ああむ……」
ノイは首筋をひと舐めした。
「いきなりなんです。ノイ様くすぐったいです。舐めたりしたら汚いですよ」
「褒美だよ。透明な者は仕事はサボらないから汚くはない。うん甘い味だ公一の匂いと舌触りは絶対に忘れない……」
「……忘れるもんか…」
「私のこと最後には食べたりしないでしょうね」
「食べないよ。そんなことあるか」
ノイは公一の頭をひっぱたいた。
「あ、痛ったあ……」
「これは私の体がこうしろと言ってるんだ。私には止められないよ」
と、また舐め、今度は甘噛みまでした。
「お前がさっき私の膝で泣いたのと同じさ、泣き虫さん」
公一が文句を言おうとしたが先を越されてしまった。
こっちにも泣き虫って言葉があるんだ……
さらノイの言葉は公一に追い打ちをかけた。
「今度は私の番だ。思いっきり好きにさせてもらうぞ。それにしても、首から上がやけに赤いし、熱っぽいなあ? どうしてかなあ?」
「……さっきのことを思い出して恥ずかしいんです……」
ノイは公一の返事にまんざらでなく耳元で囁く。
「なあ公一お前の胸の音が、私の胸まで届いているぞ」
ノイは公一の背中に強く胸を押し当てた。
「目を閉じると、お前の見ている世界と考えが手に取るように分かる。もう私は一人ではないのだな……」
「スンダは……」
「ああ一人きりさ、ずっとな。今思うに不憫な奴だった。人間に恐れられ崇め始められて、自分の力とは別なものを欲するようになったんだな」
「ノイ様、ズンダはどこに行ったんでしょうか? 反対側にでも抜けたかな」
「どこぞの玉座に収まっているか、私みたいに閉じ込められているかだ」
ノイはキッパリと言い切った。
「あれが大人しくできるはずもない」
ノイは公一の背中に顔を押し付けた。
「お前には少しだけ不満がある。私だけを見ていないことだ。確かに今お前の心の中には、この先の者まで見えている様だが、何か納得できん」
そう言うとノイは公一の頭を軽く小突いた。
「じゃあ、お前の言うことを、私がハイハイと聞くか?」
「じゃあノイ様、おんぶしますから私の背に乗ってください」
公一はノイの前に背中を見せて座る。
ノイは何のためらいもなく公一の首に手を廻して身を任せた。
「立ちますから暴れないでくださいね」
「で、これ何の意味がある?」
「ノイ様、すぐに言うことを聞いてくれましたね」
「お前って奴は私を騙したのか。こうしてやる」
ノイは公一の首に絡めた腕に冗談半分で力を込めた。
「これです。ノイ様、好きな事なら聞いてくれますよね。お願いとか」
「ま、まあ。そうだな」
ノイは公一の耳に息を吹きかけたり首筋の匂いを嗅いでいた。
「んー、気に入らなければ。こうやって首を絞めたり暴れだりだ」
「ズンダ暴れたりすると、どうなりますか」
「奴が暴れた後、ほったらかしにすると不毛で呪われた土地にしかならない」
「ノイ様の力が、この世界に必要な理由ですね」
ノイは我が意を得たりと公一の頭をくしゃくしゃとなぜた。
「ああ、そたうだ。我が母なる神の使いとして世界の形を保ち、その時々に合わせて形を変えていく。そこで生まれた者たちを愛で育てていく。それが私の仕事だ。だが勝手は出来ないし、もちろん初めからは作れないよ」
「ズンタの本当の役目は、お前たち人間や他の知恵を持つ者に厄を与え警告するの事だった」
「元々は形があるものでも無かったし、まして人に近い形をとることは無かった。
だが私と戦った時は人に似た形をとっていた。しかも自分の意志で動く手下どもまで持っていた」
「ズンダが人間に崇拝されだしたからでしょうか? ノイ様を裏切った人間がいたんですから。ノイ様が知らないうちにズンダに対しての崇拝が広がったかもしれません」
「それが一番の理由だろう。自分の一族を持つ事を許されたのは同じ神の僕でも私だけだった」
「ああむ……」
ノイは首筋をひと舐めした。
「いきなりなんです。ノイ様くすぐったいです。舐めたりしたら汚いですよ」
「褒美だよ。透明な者は仕事はサボらないから汚くはない。うん甘い味だ公一の匂いと舌触りは絶対に忘れない……」
「……忘れるもんか…」
「私のこと最後には食べたりしないでしょうね」
「食べないよ。そんなことあるか」
ノイは公一の頭をひっぱたいた。
「あ、痛ったあ……」
「これは私の体がこうしろと言ってるんだ。私には止められないよ」
と、また舐め、今度は甘噛みまでした。
「お前がさっき私の膝で泣いたのと同じさ、泣き虫さん」
公一が文句を言おうとしたが先を越されてしまった。
こっちにも泣き虫って言葉があるんだ……
さらノイの言葉は公一に追い打ちをかけた。
「今度は私の番だ。思いっきり好きにさせてもらうぞ。それにしても、首から上がやけに赤いし、熱っぽいなあ? どうしてかなあ?」
「……さっきのことを思い出して恥ずかしいんです……」
ノイは公一の返事にまんざらでなく耳元で囁く。
「なあ公一お前の胸の音が、私の胸まで届いているぞ」
ノイは公一の背中に強く胸を押し当てた。
「目を閉じると、お前の見ている世界と考えが手に取るように分かる。もう私は一人ではないのだな……」
「スンダは……」
「ああ一人きりさ、ずっとな。今思うに不憫な奴だった。人間に恐れられ崇め始められて、自分の力とは別なものを欲するようになったんだな」
「ノイ様、ズンダはどこに行ったんでしょうか? 反対側にでも抜けたかな」
「どこぞの玉座に収まっているか、私みたいに閉じ込められているかだ」
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「あれが大人しくできるはずもない」
ノイは公一の背中に顔を押し付けた。
「お前には少しだけ不満がある。私だけを見ていないことだ。確かに今お前の心の中には、この先の者まで見えている様だが、何か納得できん」
そう言うとノイは公一の頭を軽く小突いた。
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