47 / 51
第四十七話 仇討 その十五 下へ行く道
しおりを挟む
「そもそも人間の言うことを聞きますかね?」
「じゃあ、お前の言うことを、私がハイハイと聞くか?」
「じゃあノイ様、おんぶしますから私の背に乗ってください」
公一はノイの前に背中を見せて座る。
ノイは何のためらいもなく公一の首に手を廻して身を任せた。
「立ちますから暴れないでくださいね」
「で、これ何の意味がある?」
「ノイ様、すぐに言うことを聞いてくれましたね」
「お前って奴は私を騙したのか。こうしてやる」
ノイは公一の首に絡めた腕に冗談半分で力を込めた。
「これです。ノイ様、好きな事なら聞いてくれますよね。お願いとか」
「ま、まあ。そうだな」
ノイは公一の耳に息を吹きかけたり首筋の匂いを嗅いでいた。
「んー、気に入らなければ。こうやって首を絞めたり暴れだりだ」
「ズンダ暴れたりすると、どうなりますか」
「奴が暴れた後、ほったらかしにすると不毛で呪われた土地にしかならない」
「ノイ様の力が、この世界に必要な理由ですね」
ノイは我が意を得たりと公一の頭をくしゃくしゃとなぜた。
「ああ、そたうだ。我が母なる神の使いとして世界の形を保ち、その時々に合わせて形を変えていく。そこで生まれた者たちを愛で育てていく。それが私の仕事だ。だが勝手は出来ないし、もちろん初めからは作れないよ」
「ズンタの本当の役目は、お前たち人間や他の知恵を持つ者に厄を与え警告するの事だった」
「元々は形があるものでも無かったし、まして人に近い形をとることは無かった。
だが私と戦った時は人に似た形をとっていた。しかも自分の意志で動く手下どもまで持っていた」
「ズンダが人間に崇拝されだしたからでしょうか? ノイ様を裏切った人間がいたんですから。ノイ様が知らないうちにズンダに対しての崇拝が広がったかもしれません」
「それが一番の理由だろう。自分の一族を持つ事を許されたのは同じ神の僕でも私だけだった」
「ああむ……」
ノイは首筋をひと舐めした。
「いきなりなんです。ノイ様くすぐったいです。舐めたりしたら汚いですよ」
「褒美だよ。透明な者は仕事はサボらないから汚くはない。うん甘い味だ公一の匂いと舌触りは絶対に忘れない……」
「……忘れるもんか…」
「私のこと最後には食べたりしないでしょうね」
「食べないよ。そんなことあるか」
ノイは公一の頭をひっぱたいた。
「あ、痛ったあ……」
「これは私の体がこうしろと言ってるんだ。私には止められないよ」
と、また舐め、今度は甘噛みまでした。
「お前がさっき私の膝で泣いたのと同じさ、泣き虫さん」
公一が文句を言おうとしたが先を越されてしまった。
こっちにも泣き虫って言葉があるんだ……
さらノイの言葉は公一に追い打ちをかけた。
「今度は私の番だ。思いっきり好きにさせてもらうぞ。それにしても、首から上がやけに赤いし、熱っぽいなあ? どうしてかなあ?」
「……さっきのことを思い出して恥ずかしいんです……」
ノイは公一の返事にまんざらでなく耳元で囁く。
「なあ公一お前の胸の音が、私の胸まで届いているぞ」
ノイは公一の背中に強く胸を押し当てた。
「目を閉じると、お前の見ている世界と考えが手に取るように分かる。もう私は一人ではないのだな……」
「スンダは……」
「ああ一人きりさ、ずっとな。今思うに不憫な奴だった。人間に恐れられ崇め始められて、自分の力とは別なものを欲するようになったんだな」
「ノイ様、ズンダはどこに行ったんでしょうか? 反対側にでも抜けたかな」
「どこぞの玉座に収まっているか、私みたいに閉じ込められているかだ」
ノイはキッパリと言い切った。
「あれが大人しくできるはずもない」
ノイは公一の背中に顔を押し付けた。
「お前には少しだけ不満がある。私だけを見ていないことだ。確かに今お前の心の中には、この先の者まで見えている様だが、何か納得できん」
そう言うとノイは公一の頭を軽く小突いた。
「じゃあ、お前の言うことを、私がハイハイと聞くか?」
「じゃあノイ様、おんぶしますから私の背に乗ってください」
公一はノイの前に背中を見せて座る。
ノイは何のためらいもなく公一の首に手を廻して身を任せた。
「立ちますから暴れないでくださいね」
「で、これ何の意味がある?」
「ノイ様、すぐに言うことを聞いてくれましたね」
「お前って奴は私を騙したのか。こうしてやる」
ノイは公一の首に絡めた腕に冗談半分で力を込めた。
「これです。ノイ様、好きな事なら聞いてくれますよね。お願いとか」
「ま、まあ。そうだな」
ノイは公一の耳に息を吹きかけたり首筋の匂いを嗅いでいた。
「んー、気に入らなければ。こうやって首を絞めたり暴れだりだ」
「ズンダ暴れたりすると、どうなりますか」
「奴が暴れた後、ほったらかしにすると不毛で呪われた土地にしかならない」
「ノイ様の力が、この世界に必要な理由ですね」
ノイは我が意を得たりと公一の頭をくしゃくしゃとなぜた。
「ああ、そたうだ。我が母なる神の使いとして世界の形を保ち、その時々に合わせて形を変えていく。そこで生まれた者たちを愛で育てていく。それが私の仕事だ。だが勝手は出来ないし、もちろん初めからは作れないよ」
「ズンタの本当の役目は、お前たち人間や他の知恵を持つ者に厄を与え警告するの事だった」
「元々は形があるものでも無かったし、まして人に近い形をとることは無かった。
だが私と戦った時は人に似た形をとっていた。しかも自分の意志で動く手下どもまで持っていた」
「ズンダが人間に崇拝されだしたからでしょうか? ノイ様を裏切った人間がいたんですから。ノイ様が知らないうちにズンダに対しての崇拝が広がったかもしれません」
「それが一番の理由だろう。自分の一族を持つ事を許されたのは同じ神の僕でも私だけだった」
「ああむ……」
ノイは首筋をひと舐めした。
「いきなりなんです。ノイ様くすぐったいです。舐めたりしたら汚いですよ」
「褒美だよ。透明な者は仕事はサボらないから汚くはない。うん甘い味だ公一の匂いと舌触りは絶対に忘れない……」
「……忘れるもんか…」
「私のこと最後には食べたりしないでしょうね」
「食べないよ。そんなことあるか」
ノイは公一の頭をひっぱたいた。
「あ、痛ったあ……」
「これは私の体がこうしろと言ってるんだ。私には止められないよ」
と、また舐め、今度は甘噛みまでした。
「お前がさっき私の膝で泣いたのと同じさ、泣き虫さん」
公一が文句を言おうとしたが先を越されてしまった。
こっちにも泣き虫って言葉があるんだ……
さらノイの言葉は公一に追い打ちをかけた。
「今度は私の番だ。思いっきり好きにさせてもらうぞ。それにしても、首から上がやけに赤いし、熱っぽいなあ? どうしてかなあ?」
「……さっきのことを思い出して恥ずかしいんです……」
ノイは公一の返事にまんざらでなく耳元で囁く。
「なあ公一お前の胸の音が、私の胸まで届いているぞ」
ノイは公一の背中に強く胸を押し当てた。
「目を閉じると、お前の見ている世界と考えが手に取るように分かる。もう私は一人ではないのだな……」
「スンダは……」
「ああ一人きりさ、ずっとな。今思うに不憫な奴だった。人間に恐れられ崇め始められて、自分の力とは別なものを欲するようになったんだな」
「ノイ様、ズンダはどこに行ったんでしょうか? 反対側にでも抜けたかな」
「どこぞの玉座に収まっているか、私みたいに閉じ込められているかだ」
ノイはキッパリと言い切った。
「あれが大人しくできるはずもない」
ノイは公一の背中に顔を押し付けた。
「お前には少しだけ不満がある。私だけを見ていないことだ。確かに今お前の心の中には、この先の者まで見えている様だが、何か納得できん」
そう言うとノイは公一の頭を軽く小突いた。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる