最深部からのダンジョン攻略 此処の宝ものは、お転婆過ぎる

aradoar234v30

文字の大きさ
49 / 51

第四十九話 仇討 その十七 再会

しおりを挟む
言うや否や大龍の牙の剣を振りかぶった。
「消え失せろ。無礼者め!」
 雄たけびと共に振り下ろされた剣は頭上でピタリと止まり、ビクとも動かなくなってしまった。

 ノイは振り下ろされた剣を指三本で軽くつまんでいた。
「お前、近くで見たら先の奴とよく似てるな。公一、そう思わんか?」
「そうですね。口の裂けた感じが似ますね。こっちは少し白髪交じり心なし大きい
 かんじですか」

 ノイは剣をつまんだ剣を少しだけ持ち上げた。つられて、ハイエナの親玉の足も浮かび上がった。

「お、おい! 離せ、離さんか!」
 こうなってしまえば、どんな怒鳴り声を上げても虚勢を張っていることにしかならない。
「さっさと離せ、今だったら許してやる。じきに別の番人も戻ってくるんだぞ」

「見張りとか番人とか言っているな。公一、さっきの奴かな?」

 公一が口を開く前にノイに向かって怒声を浴びせた。

「さっきの奴とは誰だ? 誰に合った?」

「お前に関係がない事だ。どっちが無礼者だ、話の邪魔をするんじゃない」
 ノイはじろりと相手をにらみつけ、冷たく言い放った。
「それにしても随分と我が一族、我友を粗末に扱ってくれたな。こともあろに
 尻に敷くとはな。お前は絶対に許さん」
 

 少し冷静になったハイエナの親玉はあざ笑って言った。
「確かにお前は力が有りそうだが、この剣を持ったままで何が出来る?」


「この私を舐めてもらっては困るな」
 語尾には若干の怒気が含まれていた。

「その馬鹿力で投げ飛ばすとでもいうのか?」

「ノイ様こいつ時間稼ぎ始めてますよ」
 公一は横でぼそりと声をかけた。

 ノイは呆れた表情で、
「お前、それで時間稼ぎってるつもりなのか? 教えてやるが、お前に似た奴は毛皮になって壁を飾っているぞ」

「頭の悪そうなお前にも分かるように言ってやる。お前を助ける奴は誰もいないってことだ」

 ハイエナの親玉の喉ぼとけが大きく動ごいた。
「……」

「本来なら、お前の名誉の為にも、直に相手をしてやるところだが……」
「私がやりますか?」
「いや、少し試したいことがある。横に立って手を繋いでくれ」
「何をなさるんですか?」
「は・や・く・し・ろ!」
 ノイは開いた手を上下に激しく振り公一をせかした。

 慌てて公一はノイの横たちノイの手を握ろうとした。
「違う。指を絡ませるんだ。こう、うん。それで、あの無礼者に向かって腕を突き出せ」
 ノイは公一と指を絡ませ繋いだ手をハイエナの親玉に突き出し叫んだ。

「ノイ・モーント・ドラッヘが命じる。ここに眠りし大龍インテンジィバ・ストムよ。無念を晴らすときは来た。今一度起き上がり、怒りの咆哮をもって汝の屈辱を晴らせ」
 ノイの呼びかけの叫びは大闘技場に木霊を残しながら消えていった。

 一瞬の沈黙を破りハイエナの親玉の胴間声が響く。

「何を言っている。大龍とはいえ、ただの骨に何が出来るのか?」
 ハイエナの親玉はノイに持ち上げられた剣の柄にしがみついていた手を離し床に足をつけた。

「何もおこらんなあ。掛け声だけかあ? 骨が動き出すことも、ましてや生き返ることもないではないか」
 声には嘲りも交じっている

「ノイ様、こいつホントに一番の使い手ですかね? 手より口数のほうが多いですよ」
 公一は口を少しだけ開け耳を塞いだ。

 ハイエナの親玉の顔は横面を殴られたように歪み、一層残忍な表情となった。

「お前らなど剣など使う必要もない。最初から己が牙と爪の餌食にしてしまえばよかったのだ」

「お前は本当に鈍感だな。聞こえんか?」

 ハイエナの親玉は首を傾げ目の前の人間の言っていること警戒した。

「ほれ、来たぞ」
 ノイはハイエナの親玉に一瞥をくれた。

「何が……」
 これがハイエナの親玉の最後の言葉になった。

 突然の辺りは光に包まれ爆発音が轟きハイエナの親玉は火柱となり、火花を散らして消し飛んだ。

「鈍い奴だったな。おい公一、口開けて何を見てる。上にまだ何かいるのか?」

「いえ、敵はいませんが、あの光の点はここの出入り口ですか?」
「ああ、そうだ。出口だ。だが今はあそこには用事はない。インテンジィバ・ストムを見てくれ」

「ええ、それにしても大きいですね」
「ちがうぞー これを見てくれ。これだインテンジィバ・ストムが来たんだよ」
 ノイは公一に両手を椀を持つような形にして差し出した。

 公一の目に映ったのはノイの両手の中で陽炎のように揺らめく何かだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...