79 / 83
79 決戦の舞台へ
しおりを挟む
とうとうガントシティに到着した。
ガント王国でクーデターを起こそうとした第三王子ガリキシが、追い詰められている。
ガリキシの挙兵を寸前で止めたのは、第一王子中心に、第二王子、第四王子の連合軍。
そして、国の南部に第三王子が用意したボウクンペンギンと2500人の脅威は、私とメルカで潰した。
私のことは未公開。だから、南の脅威を止めたのは第一王女トコブシ配下・槍のメルカとなった。
これでトコブシ姫の評価も上がり、メルカは英雄となる。
メルカ自身は「直感」スキルで浮かんだトコブシ姫の死亡ルートを1個ずつ潰していっただけだが、結果としてはこうなる。
「メルカ、ガントシティに入ったら、別に動くよ。さすがに目立ちすぎる」
「残念ですが、ギャラリーも多すぎますしね」
「けど、第三王子も見てみたいし、近くにはいると思う。私を見つけても無視して。トコブシちゃん達にも言っておいて」
「承知しました。必ず伝えます」
そして私は第三王子を捕獲して、沼様に貢ぐ。
「あんたのスキルによると、あと一つの災いを潰せば、トコブシ姫の「死亡ルート」全滅でしょ」
「はい」
「じゃあ、明日の朝にでも、報酬をちょうだい」
「いえ、今のうちにこれを。色んなものが混雑しそうだから、会えなかったら大変ですから」
布の袋を渡された。
「この中に紙を入れてます。今後、サーシャさんが行った方がいい場所をスキル「直感」が教えてくれた通りに書きました」
「終わったら、見せてもらうよ」
気になっていることが、ひとつある。メルカの表情が少し固い。
「メルカ、トコブシにまとわりついてる死神は、これで諦めるの?」
「・・」
「しつこいのね」
「実は、あと一つ、誰かの力を借りたいことが・・」
第三王子の捕縛は午後から。本人は街の西にある王立演劇ホールに追い詰めてある。兵士も大半が逃げるか投降しており、多くの第一王子の軍勢で取り囲んでいる。
「第一王子をはじめとする王子3人、トコブシ姫が演劇ホール前の階段上に立ち、引きずり出された第三王子を受け取るのです」
「王子達みずから? 王城で待っていればいいじゃん」
「ガントの国民は勇敢な戦士を好みます。そんな場面で城の中に隠れている臆病な王族がいたら、国民に総スカンです」
「そういうお国柄か」
「今回に関しては、私からしたら余計な慣習です」
「トコブシ姫が到着して、街を通る、ホール前の階段上に立つ。帰路もあるから、誰かが襲ってくる可能性は大きいね」
「・・刺客が1度に2人来るのです」
「場所と方角は?」
「場所は恐らく目立つ所です。姫の左右から剣が襲いかかってくるビジョンが浮かんでいます」
「あんた独りで対処しても、トコブシ、死んじゃうじゃん」
「分かりません」
「分からないって・・」
「今までは、姫が血の海の中で死神に抱えられるシーンまでがワンセットでした。今回に限って見えるのは、斬りかかられるまで。恐らくそれは・・」
「私の影響だね」
「多分。ここまで、死神に魅入られた姫を生かしてくれたサーシャさんと「闇精霊様」のお陰です。ギリギリで姫が生き残る方法かあると思うのです」
「普通なら、妄想っぽいね」
思わず呟いた。
メルカがやってきた「フラグ回避」だけど、実際には致命的な災いが起こっていない。
未然に襲撃を回避してるから何も起こらない。そう言われても、嘘つき呼ばわりされてもおかしくない状況が続いた。
私も少し疑念を持ち出していた。
けど、今日は「2人の襲撃者がトコブシを襲う」という具体的な話が出た。敵がトコブシの左右から来るなら、「直感」は本物だ。
俄然、興味が沸いている。
「メルカ、協力する。襲撃ポイントと考えられる演劇ホールの階段右側でも警戒してるよ」
「・・良かった。「強い方」にサーシャさんが対処してくれるなら、何とかなりそうです」
あからさまに安心した顔だ。
◆◆
ガントシティに入ったとたん、メルカは多くの人に囲まれ、馬に乗せられた。
ボウクンペンギンの脅威を止め、南から攻めようとした第三王子軍を壊滅させた英雄だ。
傷だらけの姿も絵になっている。
馬に乗せられ、迎えの護衛20人の警戒のもと、第一王子や第一王女トコブシが待つ「最終決戦地」に向かった。
◆◆
ホール前は人だらけ。
逃げ回った挙げ句に、演劇ホールに立て籠った第三王子ガリキシの捕縛劇を見ようと人が詰めかけている。
私はメルカから30メートルほど離されながら、一行に付いていった。
人垣が割れると、大きな劇場が見える。階段があり、どデカイ扉に続いている。
扉は破壊されていて、縄を巻かれた男が引きずり出された。恐らく第三王子ガリキシだろう。下を向いている。
勇気を示すため、ガリキシを捕まえにきた王子3人は2人ずつの護衛しか連れていない。
トコブシ姫は、ダンジョンで会ったメルカ以外の4人を連れている。
うつむくガリキシに向かい、第一王子が怒声をあげた。
「ガリキシ、国民を守るべき王族でありながら、王位を奪う私欲のため、人々を危険にさらした。許さぬぞ!」
一件落着だ。メルカも階段の上にいるトコブシ姫まで10メートルの距離まで近づいた。
「姫、久しぶり」
「メルカ、ありがとう」
「姫、何のこと?」
「あなたのスキルの・・」
トコブシ姫が言いかけたとき、第一王子が再び大声をあげた。
「貴様、誰だ。ガリキシはどこに行った」
顔を伏せていた「ガリキシと思われた男」が顔を上げていた。
どうやら似せた別人だったようだ。
その時。
メルカと約束した通り、ホールに入り口を前にして、右側にいた私の横を誰かが通り抜けた。
群衆の中から抜け出した男を追った。
群衆の人混みを抜け出すと、反対側にもトコブシ姫に向かっている影がいた。
その前には、メルカが立ちはだかっている。
私は顔を隠している。
目の前の襲撃者は追い付いて殴ればいいし、メルカも敵に対して構えている。
トコブシの死亡フラグが折れると思うと同時に、メルカの「直感」スキルが本物だと確信した。
ガント王国でクーデターを起こそうとした第三王子ガリキシが、追い詰められている。
ガリキシの挙兵を寸前で止めたのは、第一王子中心に、第二王子、第四王子の連合軍。
そして、国の南部に第三王子が用意したボウクンペンギンと2500人の脅威は、私とメルカで潰した。
私のことは未公開。だから、南の脅威を止めたのは第一王女トコブシ配下・槍のメルカとなった。
これでトコブシ姫の評価も上がり、メルカは英雄となる。
メルカ自身は「直感」スキルで浮かんだトコブシ姫の死亡ルートを1個ずつ潰していっただけだが、結果としてはこうなる。
「メルカ、ガントシティに入ったら、別に動くよ。さすがに目立ちすぎる」
「残念ですが、ギャラリーも多すぎますしね」
「けど、第三王子も見てみたいし、近くにはいると思う。私を見つけても無視して。トコブシちゃん達にも言っておいて」
「承知しました。必ず伝えます」
そして私は第三王子を捕獲して、沼様に貢ぐ。
「あんたのスキルによると、あと一つの災いを潰せば、トコブシ姫の「死亡ルート」全滅でしょ」
「はい」
「じゃあ、明日の朝にでも、報酬をちょうだい」
「いえ、今のうちにこれを。色んなものが混雑しそうだから、会えなかったら大変ですから」
布の袋を渡された。
「この中に紙を入れてます。今後、サーシャさんが行った方がいい場所をスキル「直感」が教えてくれた通りに書きました」
「終わったら、見せてもらうよ」
気になっていることが、ひとつある。メルカの表情が少し固い。
「メルカ、トコブシにまとわりついてる死神は、これで諦めるの?」
「・・」
「しつこいのね」
「実は、あと一つ、誰かの力を借りたいことが・・」
第三王子の捕縛は午後から。本人は街の西にある王立演劇ホールに追い詰めてある。兵士も大半が逃げるか投降しており、多くの第一王子の軍勢で取り囲んでいる。
「第一王子をはじめとする王子3人、トコブシ姫が演劇ホール前の階段上に立ち、引きずり出された第三王子を受け取るのです」
「王子達みずから? 王城で待っていればいいじゃん」
「ガントの国民は勇敢な戦士を好みます。そんな場面で城の中に隠れている臆病な王族がいたら、国民に総スカンです」
「そういうお国柄か」
「今回に関しては、私からしたら余計な慣習です」
「トコブシ姫が到着して、街を通る、ホール前の階段上に立つ。帰路もあるから、誰かが襲ってくる可能性は大きいね」
「・・刺客が1度に2人来るのです」
「場所と方角は?」
「場所は恐らく目立つ所です。姫の左右から剣が襲いかかってくるビジョンが浮かんでいます」
「あんた独りで対処しても、トコブシ、死んじゃうじゃん」
「分かりません」
「分からないって・・」
「今までは、姫が血の海の中で死神に抱えられるシーンまでがワンセットでした。今回に限って見えるのは、斬りかかられるまで。恐らくそれは・・」
「私の影響だね」
「多分。ここまで、死神に魅入られた姫を生かしてくれたサーシャさんと「闇精霊様」のお陰です。ギリギリで姫が生き残る方法かあると思うのです」
「普通なら、妄想っぽいね」
思わず呟いた。
メルカがやってきた「フラグ回避」だけど、実際には致命的な災いが起こっていない。
未然に襲撃を回避してるから何も起こらない。そう言われても、嘘つき呼ばわりされてもおかしくない状況が続いた。
私も少し疑念を持ち出していた。
けど、今日は「2人の襲撃者がトコブシを襲う」という具体的な話が出た。敵がトコブシの左右から来るなら、「直感」は本物だ。
俄然、興味が沸いている。
「メルカ、協力する。襲撃ポイントと考えられる演劇ホールの階段右側でも警戒してるよ」
「・・良かった。「強い方」にサーシャさんが対処してくれるなら、何とかなりそうです」
あからさまに安心した顔だ。
◆◆
ガントシティに入ったとたん、メルカは多くの人に囲まれ、馬に乗せられた。
ボウクンペンギンの脅威を止め、南から攻めようとした第三王子軍を壊滅させた英雄だ。
傷だらけの姿も絵になっている。
馬に乗せられ、迎えの護衛20人の警戒のもと、第一王子や第一王女トコブシが待つ「最終決戦地」に向かった。
◆◆
ホール前は人だらけ。
逃げ回った挙げ句に、演劇ホールに立て籠った第三王子ガリキシの捕縛劇を見ようと人が詰めかけている。
私はメルカから30メートルほど離されながら、一行に付いていった。
人垣が割れると、大きな劇場が見える。階段があり、どデカイ扉に続いている。
扉は破壊されていて、縄を巻かれた男が引きずり出された。恐らく第三王子ガリキシだろう。下を向いている。
勇気を示すため、ガリキシを捕まえにきた王子3人は2人ずつの護衛しか連れていない。
トコブシ姫は、ダンジョンで会ったメルカ以外の4人を連れている。
うつむくガリキシに向かい、第一王子が怒声をあげた。
「ガリキシ、国民を守るべき王族でありながら、王位を奪う私欲のため、人々を危険にさらした。許さぬぞ!」
一件落着だ。メルカも階段の上にいるトコブシ姫まで10メートルの距離まで近づいた。
「姫、久しぶり」
「メルカ、ありがとう」
「姫、何のこと?」
「あなたのスキルの・・」
トコブシ姫が言いかけたとき、第一王子が再び大声をあげた。
「貴様、誰だ。ガリキシはどこに行った」
顔を伏せていた「ガリキシと思われた男」が顔を上げていた。
どうやら似せた別人だったようだ。
その時。
メルカと約束した通り、ホールに入り口を前にして、右側にいた私の横を誰かが通り抜けた。
群衆の中から抜け出した男を追った。
群衆の人混みを抜け出すと、反対側にもトコブシ姫に向かっている影がいた。
その前には、メルカが立ちはだかっている。
私は顔を隠している。
目の前の襲撃者は追い付いて殴ればいいし、メルカも敵に対して構えている。
トコブシの死亡フラグが折れると思うと同時に、メルカの「直感」スキルが本物だと確信した。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる