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63 素材集めにオーク祭り

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夜の森。

次のダンジョンに向かって走り出している。

予測では、29から幾らかレベルが上がっている。以前より足が速い。

道は悪い。だけど走れる。

ノカヤ上級ダンジョンには二時間も走れば到着しそうだ。

そこも、二足歩行のオーク、四足歩行の豚とダブルで肉祭りのダンジョン。

人気があり、前の中級ダンジョン前と同じく、ギルドが簡易出張所を設置。

割高ホテルも3軒ある。

ペルセ中級ダンジョンには、登録初日から12日目潜って、再びアタック。

二度目が19日。

あと1ヶ月弱で、でDランクの審査が受けられる。

依頼書に沿ってダチョウ、チキン、ウズラを10羽ずつ出せば、昇格。

私の収納指輪には、十分すぎる素材が入っている。

余剰分を出しても、無駄にはならない。次のCランク審査の素材納入に加算される。

私はドラゴンパピーも持ってるし、すでに基準を満たせる。

Dランク昇格から4ヶ月すれば、Cランク試験も受けられる可能性大。

BランクはCランクになって、最低でも半年して受験。

条件はCランクになってから確認する。


今から行くダンジョンの推奨レベルは40以上。

全50階。10階まではレベル30~35の敵しか出ない。

そのため、Cランク冒険者が多く、良質の肉を持って帰って稼ぎにしている。

20階から敵のレベルが上がる。

肉の味が増す戦闘豚、オークソルジャーが出るのは、32階以降。

ダンジョンボスは、技巧としぶとさを兼ね備え、レベル75オークジェネラル。

「要するに、10階を過ぎれば、冒険者が減るのか。よし、そこから下を狩り場にしよう」

20分後、注意力散漫で走ってたら、何かにぶつかった。

どんっ。オークが3匹いる。そこで気付いた。

「そうだ。等価交換用の素材が空だった。とりあえず低レベルオーク、ゴブリン、落ちてる枝の収集だな」

地力が幾分か上がっていても、私は弱い。
地上オーク3体なのに、等価交換を使った。


「さてさて、2メートルオーク3体はごちそうだね。あれ?」

私も女。

匂いを嗅ぎ付けて、さらにオークが2体も走ってきた。

「次のエンカウントが早すぎない?」

さくっと倒して収納。

次から次に沸いてくるオーク。

以前は縁がなかった、オーク集落にたどり着けるかも。

集落発生を証明してくれる冒険者が、走ってきた。

「ごめん、何かあったの?」

「え、こんな夜更けに女が一人か。あんた逃げろ。オークの集落が発生してる」

「わ~お。オーク祭りだ~」

「何を呑気なことを言ってるんだ。100匹規模の大集落だ。3人で偵察に来て、オークに見つかっちまった」

「残り2人は?」

「1人が足を怪我をして木の上に逃れて。もう1人は・・はぐれた」

恐らく、彼がギルドに報告すれば2、3日で討伐隊が組まれる。

100匹のオーク。

次のダンジョン攻略の「栄養」として申し分ない。

やる気が出た。

「ちなみにはぐれた人って、どんな人?」

「・・女だ」

胸がぎゅっとした。

ふざけた自分を反省。

女がオークに捕まったら、犯されたあとに食われる。

「行くわ。その人を助けてあげる」

「やめろ。俺らは冒険者なんてやってるから、覚悟してる」

「私も冒険者。オルシマのEランクでユリナ」

直後に駆け出した。

人助けして自己満足、そんなもんでいい。


しばらく走ると、オーク3匹が木を揺すっていた。見ると、地上5メートルの枝のとこに誰かいる。

男性。苦しそうにしている。オークの1匹が木に体当たりをすると、木がたわんで、男性が落ちた。

だけど、私はすでに射程距離まで迫ってた。

全開走りと『超回復』の繰り返しで、身長10センチ減。

1匹のオークの首に大剣をたたき込んだ。
2匹目も大剣の餌食。

3匹目は目元に等価交換。皮になった顔面をザックリ。

木から落ちた男性を治療。かなりの怪我だった。

「しっかりして、傷は治した」

「え?あれ、足も治ってる。かたじけない」

「それより、はぐれた女の人は?」

「・・すまねえ。ここから100メートルくらいのとこで悲鳴が聞こえた。恐らく、ルナはオークに捕まった」

「助けるわ。巣は直進すればいい?」

「無茶だ。確認しただけでオーク100体。ソルジャー、サージェントもいたぞ」

「オークの祭典ね。情報ありがと」

「等価交換」で体を戻さず、全力走行で10分進んだ。

治療と合わせ、身長10センチ減。

到着した。

そこには廃村を利用し、丸太の杭に囲まれたオーク集落があった。

暗いが、村の真ん中に大きな木があるのが分かる。

門は開いていた。所々にかがり火があり、視界はなんとかなる。

真っ直ぐ突っ込む。門番役の反応も遅れ、単身突入。

簡素な木の掘っ立て小屋が10軒くらいで、オーク、オーク、オーク。

集落の中央。大きな木の根元。

オーク4匹に手足を押さえつけられた女性がいる。

ピンチだけど、まだ服を着ている。

大剣を出し、女性を押さえたオーク4体の頭を向けて振った。

眼前の木には、地上10メートル位置に、大きな枝が張り出している。

長く丈夫なドラゴンパピー流星錘を出した。太い枝に向かって投ると、うまく引っかけた。

準備万端だ。


驚く女性を立たせた。

流星錘の端の輪っかに彼女の手を絡ませ、反対側を一気に引っ張った。

彼女の体が一気に持ち上がり、枝の上につかまった。

避難完了。

彼女は、顔や足にひどい傷を負っていた。

「あとで、傷を治してあげるから、木の上に避難していて!」

「え、それだとあなたが・・」

「私はユリナ。あなたはルナで間違いない?」

「そうだけど」

「助けに来たよ」

「そんな笑顔で・・呑気な」

「降りちゃダメよ。もう大丈夫だからね」

私がオーク100匹のど真ん中に立っている。

オークに囲まれた。

だけど、今の私には、こいつらが、上級ダンジョン攻略のための道具にしか見えない。

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