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73 新生活を模索中
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◎心は普通の人間でも、神がかったスキルを手にしたユリナ◎
彼女は最近、出会った人を治療したり、助けたりしている。
原動力は気まぐれ。
あまり難しいことも考えていない。
最近のトピックスは、エールの美味しさを知ったこと。
そんなユリナに助けられた人達が、ユリナの行き当たりばったりの行動に、尊い理由を付けてしまった。
不可解なスキルと、不可解な行動。
「神の導き」と勘違いした人達が、ユリナを勝手に聖女認定した。
そうしてオルシマの街の隠れた有力者スマトラを筆頭に「スモールシルバー」ができあがった。
そんなこと、ユリナ自身は知らねーー。
◆◆◆◆
ユリナです。
オルシマに来た。
新拠点だけど、ほぼ2か月ぶりで、まだ2回目。
目の治療をしたスマトラさんが門の外で出迎えてくれた。
そこに彼の冒険者仲間アルバさん、サルバさん、メルバさん、ジェルバさんの4人合流。
4人は兄弟だそうで30歳前後の彫りが深いハンサムばかり。
治して良かった、目の保養。
「あのときは仮面で分からなかったけど、アルバさんの顔の怪我、治ったよね」
「はいユリナ様、この通りです」
「ほい、失礼」
「な、なにを・・」
手を取れば、全身の異常が分かる。スキルを得て、この感知ができるようになった。
「もう、脈も乱れてない。大丈夫だね」
「は、はい。もう大丈夫です」
街の門をくぐり、やっと冒険者ギルドに向かった。スマトラさんとは、ギルドの入り口前で別れた。
今日は戦闘もないと思い、綿のワンピースとブーツだ。
念のために中に極細な鉄の鎖かたびらは着用。
「久々の朝の喧噪だ」
私もカナワにいた頃、薬草採取以外にも率のいい仕事がないか探した。
朝早くからモナ達と交代で、依頼ボードを見にいっていた。
恐らく今日が登録から60日目。Dランク昇級の手続きだけやる。あとはフリー。
ギルド併設の食堂で、エールを飲みながら待っていよう。酔っても『超回復』を使えば元に戻る。
それにしても最近、エールがおいしい。気が付くと4杯も飲んでしまった。
2時間ほど待って、受け付けに。登録から、ぴったり2か月。
Cランク昇格も見越して、中級ダンジョンのウズラ、チキン、ターキー、4~4・5メートルダチョウをランダムに30匹ずつ出した。
追加して上級ダンジョンのオークと豚を各50ずつ。
Cランクの納品条件、早くも満たせた。試験は4ヶ月後。
Cランクに昇格してから、Bランクまでは最短6か月。
試験官の前でオーガかシルバーベアの制圧。盗賊や戦闘職犯罪者の殺害。この2つが課題となる。
「殺害」はBランクから受けられる、要人警護依頼の必須項目だからだ。
話を聞くと、調査などがあるCランク試験の方が、私には面倒に感じる。
説明する受付嬢さんには、私にはハードルが高いと言われた。
善意である。
実は、Bランク試験の課題、どちらともクリアしているとも言えない。
親友の仇を仕留めている。
オーガも、特級のダルクダンジョン9階のやつを倒している。
ま、倒しかたに注文を付けられない限り、10か月後にはBランク。
それを考えると『超回復』の強さを改めて実感する。
「何はともあれDランクた。森に行って次のダンジョン行きに備えて、有機物集めでもやるかな」
門を出ようとギルドを出た。ちょうど、12~13歳くらいの男女4人と同じタイミングになった。
この雰囲気は前の街の顔見知りにもいた。
恐らく孤児院の子供だ。
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「薬草採取だよね。 私はユリナ。この街は初めてだから、私も一緒に行っていい?」
「まあいいけど・・。交代で見張りながらやるんだ」
「ゴブリンが出たら、逃げるんだぞ」
「この辺って、草原にもゴブリンが出るんだ」
オルシマの周りは薬草も豊富でウサギなんかも多いそうだ。
稼ぎやすいけど、ウサギを狙うゴブリンも意外に出没するという。
「そうだカナワを出たから、モナの代わりの寄付をしばらくしてない」
孤児院に行って、カナワ孤児院に送金してもらおう。オルシマの孤児院にも寄付しよう。
さっきギルドで出した獲物が、2000万ゴールドくらいになる。
カルナ、ウイン、盗賊からもらった物資は山ほどある。
ミスリルワンピースとエールを買うのに幾らか残して、残りは寄付。
今は物欲も少ない。
モナ、アリサ、ナリスたちと希望を持ってたときは、金がなかった。
「金が稼げるようになってみたら、目標が定まらない。こんなもんかね・・」
「さあ着いたぜ。ユリナさんはどうする?」
「初回だから、私が警戒役をやるわ」
「ゴブリンが出ても腰抜かすなよ」
「あらアラン君、これでも今日から私、Dランクなのよ」
「へえ、じゃあ頼むよ」
ギルドでレベル測定を忘れたが、さすがに40はあるだろう。
右手に流星錘、腰にナイフ。そのスタイルで、動きに切れが増している。
ウサギが出て、初めて流星錘で仕留めた。格段の進歩だ。
「すげ。ユリナさん」
彼らが薬草を摘んだのは2時間。
その間にウサギ4匹、ゴブリン2匹を流星錘で仕留めた。
その合間に、雑草、木の枝を収納指輪に詰めまくった。
「ありがとう、ユリナさん。お陰で短時間でたくさん薬草が採れたよ」
「あなた方の家は?」
「教会にくっついてる孤児院」
「やっぱりそうなんだ」
「やっぱり?」
「私も友達がカナワの孤児院出身。そこの子達も、大人になる前から薬草採取をしてたわ」
「ふ~ん」
「教会に連れて行って」
「お祈りに来るの?」
「教会に寄付して、お世話になったカナワのシスターにもお金を送ってもらうの」
オルシマの教会に行くことにした。
彼女は最近、出会った人を治療したり、助けたりしている。
原動力は気まぐれ。
あまり難しいことも考えていない。
最近のトピックスは、エールの美味しさを知ったこと。
そんなユリナに助けられた人達が、ユリナの行き当たりばったりの行動に、尊い理由を付けてしまった。
不可解なスキルと、不可解な行動。
「神の導き」と勘違いした人達が、ユリナを勝手に聖女認定した。
そうしてオルシマの街の隠れた有力者スマトラを筆頭に「スモールシルバー」ができあがった。
そんなこと、ユリナ自身は知らねーー。
◆◆◆◆
ユリナです。
オルシマに来た。
新拠点だけど、ほぼ2か月ぶりで、まだ2回目。
目の治療をしたスマトラさんが門の外で出迎えてくれた。
そこに彼の冒険者仲間アルバさん、サルバさん、メルバさん、ジェルバさんの4人合流。
4人は兄弟だそうで30歳前後の彫りが深いハンサムばかり。
治して良かった、目の保養。
「あのときは仮面で分からなかったけど、アルバさんの顔の怪我、治ったよね」
「はいユリナ様、この通りです」
「ほい、失礼」
「な、なにを・・」
手を取れば、全身の異常が分かる。スキルを得て、この感知ができるようになった。
「もう、脈も乱れてない。大丈夫だね」
「は、はい。もう大丈夫です」
街の門をくぐり、やっと冒険者ギルドに向かった。スマトラさんとは、ギルドの入り口前で別れた。
今日は戦闘もないと思い、綿のワンピースとブーツだ。
念のために中に極細な鉄の鎖かたびらは着用。
「久々の朝の喧噪だ」
私もカナワにいた頃、薬草採取以外にも率のいい仕事がないか探した。
朝早くからモナ達と交代で、依頼ボードを見にいっていた。
恐らく今日が登録から60日目。Dランク昇級の手続きだけやる。あとはフリー。
ギルド併設の食堂で、エールを飲みながら待っていよう。酔っても『超回復』を使えば元に戻る。
それにしても最近、エールがおいしい。気が付くと4杯も飲んでしまった。
2時間ほど待って、受け付けに。登録から、ぴったり2か月。
Cランク昇格も見越して、中級ダンジョンのウズラ、チキン、ターキー、4~4・5メートルダチョウをランダムに30匹ずつ出した。
追加して上級ダンジョンのオークと豚を各50ずつ。
Cランクの納品条件、早くも満たせた。試験は4ヶ月後。
Cランクに昇格してから、Bランクまでは最短6か月。
試験官の前でオーガかシルバーベアの制圧。盗賊や戦闘職犯罪者の殺害。この2つが課題となる。
「殺害」はBランクから受けられる、要人警護依頼の必須項目だからだ。
話を聞くと、調査などがあるCランク試験の方が、私には面倒に感じる。
説明する受付嬢さんには、私にはハードルが高いと言われた。
善意である。
実は、Bランク試験の課題、どちらともクリアしているとも言えない。
親友の仇を仕留めている。
オーガも、特級のダルクダンジョン9階のやつを倒している。
ま、倒しかたに注文を付けられない限り、10か月後にはBランク。
それを考えると『超回復』の強さを改めて実感する。
「何はともあれDランクた。森に行って次のダンジョン行きに備えて、有機物集めでもやるかな」
門を出ようとギルドを出た。ちょうど、12~13歳くらいの男女4人と同じタイミングになった。
この雰囲気は前の街の顔見知りにもいた。
恐らく孤児院の子供だ。
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「薬草採取だよね。 私はユリナ。この街は初めてだから、私も一緒に行っていい?」
「まあいいけど・・。交代で見張りながらやるんだ」
「ゴブリンが出たら、逃げるんだぞ」
「この辺って、草原にもゴブリンが出るんだ」
オルシマの周りは薬草も豊富でウサギなんかも多いそうだ。
稼ぎやすいけど、ウサギを狙うゴブリンも意外に出没するという。
「そうだカナワを出たから、モナの代わりの寄付をしばらくしてない」
孤児院に行って、カナワ孤児院に送金してもらおう。オルシマの孤児院にも寄付しよう。
さっきギルドで出した獲物が、2000万ゴールドくらいになる。
カルナ、ウイン、盗賊からもらった物資は山ほどある。
ミスリルワンピースとエールを買うのに幾らか残して、残りは寄付。
今は物欲も少ない。
モナ、アリサ、ナリスたちと希望を持ってたときは、金がなかった。
「金が稼げるようになってみたら、目標が定まらない。こんなもんかね・・」
「さあ着いたぜ。ユリナさんはどうする?」
「初回だから、私が警戒役をやるわ」
「ゴブリンが出ても腰抜かすなよ」
「あらアラン君、これでも今日から私、Dランクなのよ」
「へえ、じゃあ頼むよ」
ギルドでレベル測定を忘れたが、さすがに40はあるだろう。
右手に流星錘、腰にナイフ。そのスタイルで、動きに切れが増している。
ウサギが出て、初めて流星錘で仕留めた。格段の進歩だ。
「すげ。ユリナさん」
彼らが薬草を摘んだのは2時間。
その間にウサギ4匹、ゴブリン2匹を流星錘で仕留めた。
その合間に、雑草、木の枝を収納指輪に詰めまくった。
「ありがとう、ユリナさん。お陰で短時間でたくさん薬草が採れたよ」
「あなた方の家は?」
「教会にくっついてる孤児院」
「やっぱりそうなんだ」
「やっぱり?」
「私も友達がカナワの孤児院出身。そこの子達も、大人になる前から薬草採取をしてたわ」
「ふ~ん」
「教会に連れて行って」
「お祈りに来るの?」
「教会に寄付して、お世話になったカナワのシスターにもお金を送ってもらうの」
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