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ジュリアが死んだと聞いて、ものすごく動揺した。間違いなく私が死因を作ったのにだ。
なぜなのか。やっと分かった。
私は初めて人を「殺しに行った」のだ。
大切な仲間3人をジュリア達6人に殺された。そのあと復讐だ、腹を決めただ、色んなことを叫びながら戦った。だけど風のカルナに始まり、敵討ち以外も含め、全てが迎撃だったことに気付いた。
殺さなければ「風のカルナ」に殺される。殺さなければ「水のウイン」に拘束される。殺さなければ「火剣アグニ」に大切なものを奪われる。みんなそんな形だった。
罪悪感が薄れる動機で戦闘に臨み、本当の戦いに身を投じた気になっていた。
今回だけは違った。私から殺しに行った。
明確な意思を持って、ジュリアを襲った。ジュリアの周囲で幸せになれたかも知れない人間の顔も見て、どん底に落とした。
必ずやると誓った復讐だけど、本当にこんな形で良かったのか。モナ、ナリス、アリサに問いかけながら寝た。
横にいた、間違って齧った干からびたゴブリンにも問いかけた。
魔王に復讐する勇者の物語では、主人公は迷わず敵を倒していった。勇者とは、とんでもない精神力の持ち主なのだろうか。
◆◆◆
気持ちの折り合いがつかないまま、酒を飲んで数日を過ごした。試験内容は知らされたが、対策も考えずCランク試験の日を迎えてしまった。
試験は2か月に1回。
冒険者登録から半年以上が過ぎ、一定の討伐履歴を満たしていることが最低条件。私は偶然にもぴったり半年で試験を受けられる。
ちなみにA、Bランクはパーティーランクがあるが、Cまでは個人ランクのみ。Cランクパーティーという呼び方は正式にはないそうだ。
盗賊、犯罪者など敵対する人間への対応が試験となる。適当な対象が見つからないときは、試験官との「高度な鬼ごっこ」などになり、内容は直前まで分からない。
今回は事前に3泊4日の野営の準備を言われている。試験はオルシマから25キロ北東にある海岸近く盗賊団の砦の調査。盗賊の人数、武器、できれば戦闘職、魔法職などの色分けが望ましいとされる。人質はいないと説明を受けた。
内容的に私にもっとも向いていない試験だ。
試験を受けに来たのは男子14人、女子6人。6人、6人、5人、2人の4パーティーと、ソロの私で20人。
私が話したことがあるのは2人しかいない。それは私の活動範囲が原因か。
私は街の子供達の手伝いで初級ダンジョンの浅い層に潜る。だけど、ソロで動くときは、中級ダンジョンの最下層付近か上級ダンジョンにしか行っていない。初級ダンジョン下層から中級ダンジョンの上中層をメインに活動するDランク冒険者に会わないのだ。
試験官は個人的に知っている斥候職のBランク2人だけど、馴れ合いをなくすためにゼル試験官、モエバ試験官と呼ばされる。
◆
「今から3泊4日でCランク昇格試験を行う。俺たち試験官が口を出すのは出発前まで。あらかじめ課題として聞いている任務を自分たちなりに成功させてくれ」
「それでだ。ここには4パーティーとソロ1人で20人がいる。合同での調査、護衛などで当たり前にやることだが、今回のリーダーを決めてくれ」
「通常の依頼では、ランクが一番高い人間がリーダーを引き受けるが、ここにいるのは全員がDランク。自分たちで選出するんだ」
「はいゼル試験官、いい案があります」
「炎の誓い」のリーダー、ガノン君が提案した。自信たっぷりだ。
「ここは、個人討伐履歴の順番でリーダー、副リーダーを決めませんか」
まずい。
「ユリナ受験生です。それはダメ。他の方法で決めて」
私を知っている2人、「ツインズ」を作っているサリーとメリーは、私に賛成してくれた。
だけど残り17人は私を敵意の目で見ている。鎖かたびら1枚にサンダルで弱そうな女が、187センチの戦士ガノン君に反発したと思われた。
「なんだ、俺の意見に不満なのかよ」
「うちのリーダーの意見を聞くのは嫌なのかよ!」
「ガノンは3・5メートルダチョウを単独で倒してるぞ」
げ、和気藹々にギリギリ合格をテーマに来たのに、最初からヘイトを一気に集めている。
一度、中級ダンジョンで『超回復』をかけたサリーとメリーが助け船を出してくれた。
「ねえ、ガノンさん。試験官さんに討伐履歴を比べてもらいましょ」
「言い合いするより、正確な記録を見てから考えればいいじゃない」
モエバ試験官が苦笑いしている。
「受験生ユリナ、いいかね」
「できれば、適度なやつを1個くらいでとどめて」
「へっ。もったいぶってオーク1匹くらいじゃねえよな。試験官、早くお願いします」
「あ~、ガノン受験生。ユリナの討伐履歴中で1個だけだな。分かりやすいのがあった。数ヶ月前のゴブリンキングはユリナの単独討伐だ」
「なんだゴブリンかよ・・。キング?」
「ああ、あの騒動になったゴブリンのキングだ」
私のせいではない・・と思う。
「あ、あれってソロの女冒険者が倒したって聞いたけど」
「キングだけでなく、400匹近い大きな巣だってって話だった」
「安っぽい装備に貧相な顔・・。ユリナって「噂のユリナ様」だ」
変なものを見る目で見られているが、納得してもらうしかない。
「ゴブリンなキングは倒せたけど、相手に見つからない行動とかは苦手なの。ガノン君にリーダーをお願いしていいかな」
「・・はい。喜んで」
細めの街道を18キロ歩いてチェックポイントに到着。7キロほどの林道で森に入ることになったが、私は普段通りの無防備運行。
いきなり減点対象となった。
なぜなのか。やっと分かった。
私は初めて人を「殺しに行った」のだ。
大切な仲間3人をジュリア達6人に殺された。そのあと復讐だ、腹を決めただ、色んなことを叫びながら戦った。だけど風のカルナに始まり、敵討ち以外も含め、全てが迎撃だったことに気付いた。
殺さなければ「風のカルナ」に殺される。殺さなければ「水のウイン」に拘束される。殺さなければ「火剣アグニ」に大切なものを奪われる。みんなそんな形だった。
罪悪感が薄れる動機で戦闘に臨み、本当の戦いに身を投じた気になっていた。
今回だけは違った。私から殺しに行った。
明確な意思を持って、ジュリアを襲った。ジュリアの周囲で幸せになれたかも知れない人間の顔も見て、どん底に落とした。
必ずやると誓った復讐だけど、本当にこんな形で良かったのか。モナ、ナリス、アリサに問いかけながら寝た。
横にいた、間違って齧った干からびたゴブリンにも問いかけた。
魔王に復讐する勇者の物語では、主人公は迷わず敵を倒していった。勇者とは、とんでもない精神力の持ち主なのだろうか。
◆◆◆
気持ちの折り合いがつかないまま、酒を飲んで数日を過ごした。試験内容は知らされたが、対策も考えずCランク試験の日を迎えてしまった。
試験は2か月に1回。
冒険者登録から半年以上が過ぎ、一定の討伐履歴を満たしていることが最低条件。私は偶然にもぴったり半年で試験を受けられる。
ちなみにA、Bランクはパーティーランクがあるが、Cまでは個人ランクのみ。Cランクパーティーという呼び方は正式にはないそうだ。
盗賊、犯罪者など敵対する人間への対応が試験となる。適当な対象が見つからないときは、試験官との「高度な鬼ごっこ」などになり、内容は直前まで分からない。
今回は事前に3泊4日の野営の準備を言われている。試験はオルシマから25キロ北東にある海岸近く盗賊団の砦の調査。盗賊の人数、武器、できれば戦闘職、魔法職などの色分けが望ましいとされる。人質はいないと説明を受けた。
内容的に私にもっとも向いていない試験だ。
試験を受けに来たのは男子14人、女子6人。6人、6人、5人、2人の4パーティーと、ソロの私で20人。
私が話したことがあるのは2人しかいない。それは私の活動範囲が原因か。
私は街の子供達の手伝いで初級ダンジョンの浅い層に潜る。だけど、ソロで動くときは、中級ダンジョンの最下層付近か上級ダンジョンにしか行っていない。初級ダンジョン下層から中級ダンジョンの上中層をメインに活動するDランク冒険者に会わないのだ。
試験官は個人的に知っている斥候職のBランク2人だけど、馴れ合いをなくすためにゼル試験官、モエバ試験官と呼ばされる。
◆
「今から3泊4日でCランク昇格試験を行う。俺たち試験官が口を出すのは出発前まで。あらかじめ課題として聞いている任務を自分たちなりに成功させてくれ」
「それでだ。ここには4パーティーとソロ1人で20人がいる。合同での調査、護衛などで当たり前にやることだが、今回のリーダーを決めてくれ」
「通常の依頼では、ランクが一番高い人間がリーダーを引き受けるが、ここにいるのは全員がDランク。自分たちで選出するんだ」
「はいゼル試験官、いい案があります」
「炎の誓い」のリーダー、ガノン君が提案した。自信たっぷりだ。
「ここは、個人討伐履歴の順番でリーダー、副リーダーを決めませんか」
まずい。
「ユリナ受験生です。それはダメ。他の方法で決めて」
私を知っている2人、「ツインズ」を作っているサリーとメリーは、私に賛成してくれた。
だけど残り17人は私を敵意の目で見ている。鎖かたびら1枚にサンダルで弱そうな女が、187センチの戦士ガノン君に反発したと思われた。
「なんだ、俺の意見に不満なのかよ」
「うちのリーダーの意見を聞くのは嫌なのかよ!」
「ガノンは3・5メートルダチョウを単独で倒してるぞ」
げ、和気藹々にギリギリ合格をテーマに来たのに、最初からヘイトを一気に集めている。
一度、中級ダンジョンで『超回復』をかけたサリーとメリーが助け船を出してくれた。
「ねえ、ガノンさん。試験官さんに討伐履歴を比べてもらいましょ」
「言い合いするより、正確な記録を見てから考えればいいじゃない」
モエバ試験官が苦笑いしている。
「受験生ユリナ、いいかね」
「できれば、適度なやつを1個くらいでとどめて」
「へっ。もったいぶってオーク1匹くらいじゃねえよな。試験官、早くお願いします」
「あ~、ガノン受験生。ユリナの討伐履歴中で1個だけだな。分かりやすいのがあった。数ヶ月前のゴブリンキングはユリナの単独討伐だ」
「なんだゴブリンかよ・・。キング?」
「ああ、あの騒動になったゴブリンのキングだ」
私のせいではない・・と思う。
「あ、あれってソロの女冒険者が倒したって聞いたけど」
「キングだけでなく、400匹近い大きな巣だってって話だった」
「安っぽい装備に貧相な顔・・。ユリナって「噂のユリナ様」だ」
変なものを見る目で見られているが、納得してもらうしかない。
「ゴブリンなキングは倒せたけど、相手に見つからない行動とかは苦手なの。ガノン君にリーダーをお願いしていいかな」
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いきなり減点対象となった。
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