名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

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1 名前が偶然にサラ『だった』

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1時間前の私に、自分の未来を聞くとする。

何パターンでも答えていい。

それでも、これは答えの中にないと思うぞ。


あ、私、口は悪いけど女な。

名前はサラ。非力って称号持ちの冒険者。

スキルは身体強化レベル1。

A~Fとあるスキルランクの立派なF。

分かってて聞くな。Fが一番下だよ。

金は欲しいけど、稼げる魔物の討伐に向いたスキルがないんだよな。

子供の頃から、やってきたのは薬草採取、蜂蜜集めの二本立て。

なんとか生活できてるよ。

孤児18歳。

7歳のとき災害で両親と弟亡くした。ひねくれちまったけど、孤児院を出る15歳までレトロの街の人に世話になった。

口は悪いけどな。本当に、すごい感謝しながら生きてる。

レトロの街はのどか。
北に海岸線の港町。

まずまずの発展ぶりで、イベントも50年に一回だけ、世界中が注目するデカイのある。

それが今日。

なんと、女神の神託が降りて「日本」から召喚者がやってくる。

◆◆
「サラ姉ちゃん、遅いよー」
「席取ってあるよ」

「わりいハルナ、チビどもも。お礼に、みんなの飲み物、買ってあるぞ」

「サラ、いつもありがとう。あなたの生活も楽ではないでしょうに」

「気にすんな、シスターマリア」

母親代わりになってくれたシスターマリア38歳。

運悪く孤児になっちまった血が繋がりのない12人の弟妹がいる。

みんなでイベント見に来た。

この世界、ぴったし50年置きに、世界の危機が訪れる。今回は南極の陸地から悪魔が現れた。

デモーンってやつがモンスター引き連れて、知的民族の国を攻めるらしい。

対抗するのは、なんと勇者パーティー。
女神の召喚により、選ばれし4人。

対悪魔軍。

それやれる特別な「職業」は、このアストリア世界の人間に持てない。

だから魂の器がでっけえ、日本人喚ぶ。

大概の日本人、アストリア世界を救ってくれる。まんま、こっちに住み着くのもセット。

日本人、世界の技術発展に貢献。ばんざ~いと。

そんな感じなんで、女神の「神託」降りると、世界中がそわそわ、またそわそわ。

時は夕方。

周りは人、人、人。お祭り気分だ。

1000年間、召喚場所が変わらないから、そこにステージを作ってある。

「いよいよだなシスター」
「みんなが特等席を取ってくれたのよ」

「召喚者が4人も来てくれるんだよね」
「今回の勇者も、神聖な黒髪黒目の美形ばっかりかな」

「今回は女神様の神器を通じて、放映、配信があるんだよね」

今回の召喚は過去と違う。
期待度マックス。

40年前に「魔道テレビ」、30年前に「魔道スマホ」が発売。

「魔道スマホ」の方に勇者の旅が映る。

過去の勇者の冒険って、目の前で見たやつ少ねえ。

見たやつから吟遊詩人が話聞いて、ドラマチックに語ってきた。

つまり、物語の勇者しか知らない。

なんと今回、女神の撮影用神器と魔道技術をコラボ。勇者の活躍が、録画と生配信で見られる。

まだ放送コンテンツが少ないから、誰もが期待してる。。

黒髪、細目の美少年。うっかり生着替えとかな。

一応は硬派で通ってる。期待してんのは内緒にしてくれ。

スマホってまだ、10万ゴールドするんだ。型落ちでも6万。けど売れまくり。

私厳しい。パン1個100ゴールド。エール一杯500ゴールド、焼きウサギ600ゴールド。

このへんで悩む女に10万ゴールド厳しすぎ。

スマホ普及率は50パーセント。ヒト、エルフ、魔族、獣人、ドワーフあたりの知的民族50億の半分だぞ。

普及率は加速中、勢い止まらない。

孤児院の魔道テレビは、寄付してもらった中古16型のみ。
もちろん、みんな感謝してるよ。

してるけど、大きいの買ってやりてえ。

だけど私貧乏。孤児院もたまに赤字。これ現実。



「始まるよ」

現れるのは勇者、聖女、賢者、拳聖の4人。聖女だけ女。残り3人は性別ランダムだ。

もちろん私も美男3人が希望。

歓声が上がった。

ステージに4つ魔法陣が登場。

そして魔法陣、ブルーに強く輝き出した。

けど、何かおかしくね?

ざわっ。

「変だぞ。召喚魔法陣が3つしか光ってねえ。1個、置きっぱだぞ」

「ほんとだ…」

魔法陣見てると、私の頭の中に女の声が響いた。

『あれれ~、紗羅がいない。さら、さら、さらちゃ~ん』

「んん?サラだけど、誰か呼んだか」

『見っけ。サラだよね!』

「だからなんだ!」

「どうしたのサラお姉ちゃん」
「一人で何言ってるの」

私の怒声。ガキども混乱。

すると、いきなし、私の足元が青くピカー。

なんで光ってる。

「まぶしっ!」

「サラ、あなたの足元に!」
「なんだこりゃ、魔法陣かよ」

「サラ姉ちゃん、つかまって!」

私を姉と慕ってくれるハルナ15歳。

手を伸ばしてくる必死な顔も可愛いな。おめえだけは、幸せにしてやりてえ。

「私、大丈夫だぜ」。これ、私の精一杯。

私の手、透けてるけどな。そんな顔すんなハルナ。

しゅるん。


視界、まっ白。

◇◇◇
転移トラップ?
いやいや、あれダンジョン限定だろ。

周りが白い。すごく広い部屋。礼拝堂の3倍はあるな。

……金髪、白い服、マントの美人さんだ。

「ふう、聖女の山村紗羅を喚び忘れたかと思った~」

俗っぽいな。

「私のミスかな。ゼウス様におしおき? うんにゃ。見つけて、捕獲したからセーフだよ。絶対そう」

「……何こいつ」

「3人は勇者、賢者、拳聖に改造して、スキル与えて送り済み」

改造って…

「ほんじゃ、残り一人もやってみるか~」

美人さんだな。けど、頭の上に光の輪っか乗っけてるのにアホっぽい。

不穏なこと口走ってる。うわ、こっち向いた。


「おっほん。日本から喚びし者よ~。アストリアの世界に悪魔がはびこっていま~す」

「ん?」

「我が名は女神ステア。そしてアストリアとは…」

「むむむ?」

「地球とは違う世界に……」

「知ってるよ。最近、悪魔デモーンってやつが悪さしてるんだよな」

「へ?」

「だからさー、レトロの街に日本人勇者が出現。50年置きに世界を救ってくれて、技術の発展に貢献したり」

「はれれ?」

「アストリア世界をどんどん良くしてくれる。これで正解?」

「なぜ知っておる、日本から喚びし者よ」

「いやいや私、見ての通り銀髪」

日本人が「北欧系」って言ってる典型的なアストリア顔。平凡な青い目をしたレトロの住民。

「え?」
「へ?」

「名前は?」
「サラ」

「さら、だよね。山村紗羅で、サラだよね。ね、ね」

「読み方は同じだけど、私は孤児院育ちのサラだな。貴族じゃねえから名字なぞない!」

「本当に?」
「マジ。死んだ家族も、生粋のアストリア人。間違ってますやん」

「……」



どうやら、「さら」違い。

山村紗羅って日本人と間違いやがった。女神さん、私なんか連れてきて、どうすんだよ。

私は、どうすりゃいい。
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