73 / 73
ラスト 次の旅もアリアと一緒に
しおりを挟む
アオモリ編のメインイベントは終わった。
ゲームと同じくドロージョの首にかかっている魅惑のペンダントを壊すと、アオモリ侯爵家の操られていた重鎮連中が正気に戻った。
下級兵士は、ただ上官に従っていたようで困惑中。
『勇者5』のストーリーでは、これからフランソワが正気に戻った騎士団長の息子、要するに元婚約者カールと復縁する。
父親もフランソワの弟を跡取りに戻す。大団円となる。
しかし目の前の光景は、ヤマト世界で起こっているリアルなお家騒動。
何より大きな問題が残っている。
フランソワの父親と、カールの顔が青い。
「わ、私はサキュバスと何度も閨を共にしたのか…」
「俺は、オーガにベッドの中で愛をささやいた?」
そう。ゲーム中のように『半年間も操られていたアオモリ侯爵家の人々は、洗脳が解けました』で終わらない。
アオモリ侯爵はドロージョに化けたサキュバスと、騎士団長子息はネトールに化けた雌オーガと、肉体関係を持ってしまった。
アストリア世界なら異種間恋愛は普通だけど、ここヤマト世界では例外中の例外。
こと、ヒト族至上主義のアオモリ侯爵家では、当主や当主の身内に連なる者が魔族と肉体関係を持つなど許されることではない。
なので、魔族問題そっちのけで、新たな問題が発生している。
兵士や家臣は、家の幹部がおかしくなった理由を理解しつつあるが、だからこそ当主とカールが禁忌を破ったことも分かった。
フランソワはアオモリ領の絶対的な決まりを教えてくれた。
『異種族と交配した者、領内より追放すべし』
誰も言葉を発せない中、フランソワが口を開いた。
私の結界も解いてあり、侯爵家の人間に至近距離で囲まれている。
「禁忌を犯したお父様は当然、貴族でなくなります。当主は弟のシャルルに譲位。これで決定」
「なっ」
「そして、騎士団長子息カールは、私と正式に婚約解消。さらに平民落ちですね」
「え、ちょっと待って、俺達は操られていただけだ」
ざわざわざわと、周囲がどよめいている。
「静かに!」
フランソワがみんなを黙らせた。
「そして私、フランソワもアオモリ侯爵家から追放となります」
「え?」「え?」。私とアリア。
『ええ?』
『なんで?』
『フランソワは家を救った立役者だろ』
アストリア視聴者も予想外。
「なぜなら」
フランソワはレオンを引き寄せ、レオンの帽子を取った。
フランソワの顔が真っ赤だ。
「私は真実の愛を見つけ、白鬼のレオンと結ばれました。決まりは決まり。責任を取りま~す」
どよどよどよ! 勝手に当主交代宣言をしたとき以上にざわついている。
元婚約者のカールが吠えた。
「フランソワ、お前は浮気してたのかよ!」
「魔族に魅了され、欲望のままに魔族女と関係を持ったお前と一緒にするな。レオンは私と一緒に戦ってくれた。いうなれば戦友だ。私は唯一認めた男に、身を捧げただけだ」
アストリア視聴者
『おお~。フランソワ、男前だ』
『やっぱ脳肉』
『「勇者5」のストーリーと大幅に違うけど、これいいね』
『サハリンにも上級、特級の稼げるダンジョンあるはずだし、孤児を食わせていけるよな』
『聖女、おめでと~とふたりに言ってくれ』
『俺のフランソワが~』
『泣くな。リアルフランソワが幸せになれるんだろ』
アリアを見ると、ニコニコしている。手をたたいて祝福してる。
フランソワがレオンに語りかけた。
「レオン、事後承諾になるが、私も子供達と一緒にサハリンに行っていいか?」
「いいのか? 貴族の地位も何もかも捨てることになるぞ」
「うん。このまんま、行こう」
「よし。愛してるぜ」
「あ、あ、愛……」
フランソワの頭から湯気が出ている。
弟の次期侯爵や家臣に何か言われてたが、フランソワは追放される人間。だから関係ない、魔族の策略だけは退けたから、あとは侯爵家の人間で判断しろと言い放った。
そしてレオンの手を取った。
「レオン、サラ殿、アリア殿、行こう」
満面の笑顔になったフランソワに続いた。
この潔いフランソワは、アストリア視聴者にウケた。
◇聖女サラチャンネル
登録者数903万人
スパチャ合計1億1306万ゴールド
一気に北に走って、私とアリアは沿岸警備隊の船に乗せてもらって、ホッカイドウーエリアのハコダテの街に渡った。
フランソワとレオンは、ミヤギエリアに戻って子供達を迎えに行ったあと、サハリンを目指す。
フランソワとレオンには遠慮されたけど、フランソワの収納指輪に正当な取り分の高級肉と高級素材を渡した。
「じゃあ、ふたりとも元気でな」
「お幸せに~」
「ありがとうございます。お世話になりっぱなしですみません」
「本当に感謝してる」
私は、ふたりのお陰でスパチャと動画の視聴数が稼げた。
アリアの人気も根強いから、アオモリ編だけで1000万ゴールド以上をレトロのシスターとハルナに送れた計算。
フランソワもユザワ特級ダンジョンの出回ってない素材を売れば、4000万ゴールド以上になるようだ。
それくらいしてもいい。間接的にアストリアの家族が世話になったもんな。
◆◆◆◆
「さて、アリア行くか」
「オーブは残り2個だね」
アストリア視聴者によると、アリアはホッカイドーで第4のオーブから移動スキルをもらう。
その力を使って一気にクマモトエリアのアソダンジョンで最後のオーブと聖剣を手にする。
そっから魔王をやっつけに行くまでが、『勇者5』のストーリーだ。
そのあとか?
こっちの世界に残るか、あっちの世界に戻るかだな。
ひとつだけ決めたことがある。
アリアと一緒にいたい。
女神ステアが叶えてくれるなら、アストリア世界にアリアを連れて行こう。
無理ってんなら、アリアと一緒にヤマト世界で拠点を作ろう。
まだ旅は続く。
私はアリアの手を取って歩き出した。
終わり
ゲームと同じくドロージョの首にかかっている魅惑のペンダントを壊すと、アオモリ侯爵家の操られていた重鎮連中が正気に戻った。
下級兵士は、ただ上官に従っていたようで困惑中。
『勇者5』のストーリーでは、これからフランソワが正気に戻った騎士団長の息子、要するに元婚約者カールと復縁する。
父親もフランソワの弟を跡取りに戻す。大団円となる。
しかし目の前の光景は、ヤマト世界で起こっているリアルなお家騒動。
何より大きな問題が残っている。
フランソワの父親と、カールの顔が青い。
「わ、私はサキュバスと何度も閨を共にしたのか…」
「俺は、オーガにベッドの中で愛をささやいた?」
そう。ゲーム中のように『半年間も操られていたアオモリ侯爵家の人々は、洗脳が解けました』で終わらない。
アオモリ侯爵はドロージョに化けたサキュバスと、騎士団長子息はネトールに化けた雌オーガと、肉体関係を持ってしまった。
アストリア世界なら異種間恋愛は普通だけど、ここヤマト世界では例外中の例外。
こと、ヒト族至上主義のアオモリ侯爵家では、当主や当主の身内に連なる者が魔族と肉体関係を持つなど許されることではない。
なので、魔族問題そっちのけで、新たな問題が発生している。
兵士や家臣は、家の幹部がおかしくなった理由を理解しつつあるが、だからこそ当主とカールが禁忌を破ったことも分かった。
フランソワはアオモリ領の絶対的な決まりを教えてくれた。
『異種族と交配した者、領内より追放すべし』
誰も言葉を発せない中、フランソワが口を開いた。
私の結界も解いてあり、侯爵家の人間に至近距離で囲まれている。
「禁忌を犯したお父様は当然、貴族でなくなります。当主は弟のシャルルに譲位。これで決定」
「なっ」
「そして、騎士団長子息カールは、私と正式に婚約解消。さらに平民落ちですね」
「え、ちょっと待って、俺達は操られていただけだ」
ざわざわざわと、周囲がどよめいている。
「静かに!」
フランソワがみんなを黙らせた。
「そして私、フランソワもアオモリ侯爵家から追放となります」
「え?」「え?」。私とアリア。
『ええ?』
『なんで?』
『フランソワは家を救った立役者だろ』
アストリア視聴者も予想外。
「なぜなら」
フランソワはレオンを引き寄せ、レオンの帽子を取った。
フランソワの顔が真っ赤だ。
「私は真実の愛を見つけ、白鬼のレオンと結ばれました。決まりは決まり。責任を取りま~す」
どよどよどよ! 勝手に当主交代宣言をしたとき以上にざわついている。
元婚約者のカールが吠えた。
「フランソワ、お前は浮気してたのかよ!」
「魔族に魅了され、欲望のままに魔族女と関係を持ったお前と一緒にするな。レオンは私と一緒に戦ってくれた。いうなれば戦友だ。私は唯一認めた男に、身を捧げただけだ」
アストリア視聴者
『おお~。フランソワ、男前だ』
『やっぱ脳肉』
『「勇者5」のストーリーと大幅に違うけど、これいいね』
『サハリンにも上級、特級の稼げるダンジョンあるはずだし、孤児を食わせていけるよな』
『聖女、おめでと~とふたりに言ってくれ』
『俺のフランソワが~』
『泣くな。リアルフランソワが幸せになれるんだろ』
アリアを見ると、ニコニコしている。手をたたいて祝福してる。
フランソワがレオンに語りかけた。
「レオン、事後承諾になるが、私も子供達と一緒にサハリンに行っていいか?」
「いいのか? 貴族の地位も何もかも捨てることになるぞ」
「うん。このまんま、行こう」
「よし。愛してるぜ」
「あ、あ、愛……」
フランソワの頭から湯気が出ている。
弟の次期侯爵や家臣に何か言われてたが、フランソワは追放される人間。だから関係ない、魔族の策略だけは退けたから、あとは侯爵家の人間で判断しろと言い放った。
そしてレオンの手を取った。
「レオン、サラ殿、アリア殿、行こう」
満面の笑顔になったフランソワに続いた。
この潔いフランソワは、アストリア視聴者にウケた。
◇聖女サラチャンネル
登録者数903万人
スパチャ合計1億1306万ゴールド
一気に北に走って、私とアリアは沿岸警備隊の船に乗せてもらって、ホッカイドウーエリアのハコダテの街に渡った。
フランソワとレオンは、ミヤギエリアに戻って子供達を迎えに行ったあと、サハリンを目指す。
フランソワとレオンには遠慮されたけど、フランソワの収納指輪に正当な取り分の高級肉と高級素材を渡した。
「じゃあ、ふたりとも元気でな」
「お幸せに~」
「ありがとうございます。お世話になりっぱなしですみません」
「本当に感謝してる」
私は、ふたりのお陰でスパチャと動画の視聴数が稼げた。
アリアの人気も根強いから、アオモリ編だけで1000万ゴールド以上をレトロのシスターとハルナに送れた計算。
フランソワもユザワ特級ダンジョンの出回ってない素材を売れば、4000万ゴールド以上になるようだ。
それくらいしてもいい。間接的にアストリアの家族が世話になったもんな。
◆◆◆◆
「さて、アリア行くか」
「オーブは残り2個だね」
アストリア視聴者によると、アリアはホッカイドーで第4のオーブから移動スキルをもらう。
その力を使って一気にクマモトエリアのアソダンジョンで最後のオーブと聖剣を手にする。
そっから魔王をやっつけに行くまでが、『勇者5』のストーリーだ。
そのあとか?
こっちの世界に残るか、あっちの世界に戻るかだな。
ひとつだけ決めたことがある。
アリアと一緒にいたい。
女神ステアが叶えてくれるなら、アストリア世界にアリアを連れて行こう。
無理ってんなら、アリアと一緒にヤマト世界で拠点を作ろう。
まだ旅は続く。
私はアリアの手を取って歩き出した。
終わり
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる