スキル『壁削り』が『壁粉砕』に変身しました。ダンジョンだらけの世界を渡り歩きます

とみっしぇる

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6 驚きのランダム壁移動

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悪い冒険者4人に追われ、ダンジョンに逃げ込んだ。

そして罠を張った。

「なんだ、ダンジョンの壁に穴が開いたぞ」
「こいつのユニークスキルだな。隠し部屋か」
「むっちゃ広く見えるな」

跨がねば通れない形に開けた穴を1人が覗き込んだ。まだ何もしない。

「おい、あっちは安全なのかよ」
「フランが入ってるから大丈夫だろ。こんなスキル持ってるんなら利用しようぜ」
「おいフラン、仲間の怪我は許すから、俺らのパーティーに入れ」

「なあ、罠じゃねえか?」

「サブ行ってみろ」

一番弱そうなやつが、壁を乗り越えてきた。私は震えるふりをするだけで、何もしない。

「安全っすね」
「よし」
残る3人が壁を乗り越えようとまたいだ。

「証拠隠滅の壁ギロチン。「クローズ」」ザクッ。

本当は異空間が閉じただけ。だけど私のイメージは上から下に降りていったギロチンの刃。一瞬だ。

「タ、タマーニのアニキ?な、なにが」

右足だけなくなった奴が生きていて、若いのがそっちを見た。

「油断大敵」
壁粉砕で拾った真円の5センチミスリル玉を投げた。

「フランてめえ!ぐえ・・」
胸の真ん中にめり込んで目的は果たした。

もう一度、壁に穴を開けて移動した。奴らの「残ったパーツ」を人に見られたくない。回収して、戻った。

転がった足を普通に拾える私は残酷だ。

「分かった。私はダンジョンの後押しがあると疲れも忘れて強気になれるんだ。だけど、調子に乗ってしまう。人目につく可能性があるとこでスキルを使ってしまった・・」


◆◆
今いるのは、ゴブダンジョンの1階セーフティーゾーン橫。壁粉砕からの「壁転移」で、この座標しか選べなかった。

だから、200メートルくらい壁伝いに移動して壁に手を当てた。するとゴブダンジョン1階の選択座標が増えていた。

これで本当に理解した。
「移動できるダンジョンは「踏み入れた」が条件じゃない。「壁を触った場所」だ」

だから、ゴブダンジョンは何度も行ってるのに、壁を触ったことがある各階セーフティーゾーン横の1択だったのだ。

だとすると・・
「シェルハ特級ダンジョン1階は、1階とはいえ迷路の奥のモンスターハウス前の1択か・・」

意外と甘くない。

「さて、まだシルビアを去って1時間。歩いたことにして、5日くらいはゴブダンジョンで過ごそうかね」

数々の切り札は隠したい。だからまだ、常識にこだわる。

サクラの街まで200キロだから、数日をかけて移動したことにしたい。

私を嫌いな継母が、私のスキルをチェックしている節がある。

◆◆
1時間後、私は初めてゴブダンジョン4階に降りる。

考えてみたらレベル54だ。このダンジョン制覇の単独推奨レベル25を余裕で越えている。昨日までレベル10だったから忘れていた。

さっきの冒険者から剣を4本もらい、遭遇したゴブリン5匹を瞬殺した。

ゴブリン2匹同時が基本になるから4階に降りてなかったが、問題ないだろう。

「さて、全ダンジョンを通じて初の4階に踏み入れました。風景は1~3階と全く同じ。感動はありません」


突然、頭の中にファンファーレが鳴った。「なに?」

『初のダンジョン4階到達です。1度だけ300キロ以内で「ランダム壁移動」が可能です』

そして追加で、「ランダム壁移動」をする前に、2つ目の4階到達をすると無効と知った。

なるほど。ゴブ2階、3階で「ランダム壁移動」が起動しなかったのは、サクラ2階、3階に入っていて「選択肢」がすでにあったからか。

とりあえず、階段横の壁に手をついて唱えた。

「壁粉砕」ぼこっ。

「さあ、どこにつながった?」

太陽の光が燦々と照っている。
「まぶしっ」

勝手に3メートルの丸い穴が開いて、向こうもフィールド型。海、海岸線、雲、そして100メートル先にマグロ頭のサハギン。

「きしょい。閉じたい。だけど向こうに行って壁を触らないと2度と行けなくなる」

恐る恐る入って、ダンジョンの壁を触ると「座標登録済」となった。

「ふうっ、できた」

ペタペタ、ペタ、ペタペタペタ。

いつの間にか無表情なサハギン10匹が走ってきた。

「ひいいいい!」
壁ギロチンを使えば勝てる。だけどビジュアルに耐えきれず、急いでゴブ4階に戻り「クローズ」した。

頭の中に地図が浮かんだ。いや、今までも「壁粉砕」を手に入れてから浮かんでいたが、行ったことがある場所しか選択肢になかったから、意識してなかった。

南西に50キロ離れたボルネモダンジョンだ。ランクと国は出てこない。恐らく砂糖と胡椒の農家で成り立っている群島のどこかだ。

「すげえ、50キロだけど、海を越えた転移手段だ」

壁に手を当てて、笑みが込み上げてきた。

「今のダンジョンもきちんと登録されている。海越えでも、「壁転移」で使うMPは30だ」

このランダム壁移動は使える。

ダンジョンの階層は初級1~20階。中級は40階、上級は60階で固定。特級は80~90階と確認されている。世界に3ヵ所だけ確認されている超級は20階から先は不明。

強くなっていけば、世界中で何ヵ所も、新たに移動先を作れる可能性が大きい。

「何かあったときの避難用に、各地の不人気ダンジョン、生成途中の未成熟ダンジョンも探さないとね」

今日は、もうひとつ、5階まで開ける。本当なら違う土地に移動してからがいいかもだけど、スキルを使ってみたくてたまらない。


セーフティーゾーンに行きながら考えた。
スキルが開花したから、冒険者か商人で一流になって、実家の奴らや私を馬鹿にした奴らを悔しがらせたい。

そんな気持ちが沸いてきた。

このスキルは商人を目指せば、世界一になれる可能性を秘めている。こっちが有名で資金もあれば「友達」も探しやすい。

「だけど、やっぱり冒険者だな」

答えは単純だ。冒険者は私を愛してくれる「と思う」ダンジョンで活動できる。

商人はダンジョン外活動がメインだ。

さらに私の素のメンタルでは、海千山千の大商人に太刀打ちできない。

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