スキル『壁削り』が『壁粉砕』に変身しました。ダンジョンだらけの世界を渡り歩きます

とみっしぇる

文字の大きさ
7 / 36

7 ジャイアントキリング

しおりを挟む
『初のダンジョン5階到達です。1度だけ300キロ以内で「ランダム壁移動」が可能です』

階段橫ではスキルを使わず、ノルマ達成のあと寝ようと思ってセーフティーゾーン横に行った。

「楽しいけど疲れもあるね。シルビア周辺では、これを最後にしよう」

「ランダム壁移動」ぼこっ。

前回と同じく3メートルの穴が開いた。

ぞくっ。ぞくぞくぞくっ。

中を覗く前に、背筋が冷たくなった。

ただ、異様においしい空気が流れ込んでくる。

ダンジョンでは強気な「私」でさえ、穴を「クローズ」してもいいと言ってる。なのに魅惑の匂いに引き寄せられる。

「ちょっとすごいよ、ここ」

壁の向こう側も密閉空間なのに、奥行きが10キロ以上ある気がする。

それに10メートル先には、強いオーラを放つ水晶が転がっている。

「とりあえず登録」

気休めの80センチ鉄盾を持って向こうのダンジョンに入り、壁に手を当てて座標登録。

「ん?」

足元に私の肘から先くらいの水晶が2本落ちている。
不安感バリバリなのに、欲に駆られて水晶を拾って収納した。

「ここの情報が頭の中に入ってきた・・えええ!」

ここの存在は誰でも知っている。

シルビアから真南に290キロ。島自体が魔境と化した直径30キロのバミダ島の二合目に入り口がある超有名ダンジョン。

「ギルド制定の頂点のひとつ、バミダ超級ダンジョン?」

唖然としてないで、急いで帰るべきだった。その少しの間に私を狙う捕食者に見つかっていた。

キラッ。

私は空から急接近した魔物に見つかっていたようだ。

「え、何あの青いキラキラの飛行物体。逃げないと」

ダンジョンに開けた穴から飛び込むだけなのに、間に合わないと直感した。

が、幸いなのはダンジョンの壁際であったこと。

魔物がどんな奴だって、ダンジョンの壁は破れない。激突すれば無事ではすまない。

空飛ぶ魔物はスピードを急に落として、20メートル先に着地した。

私はもう穴の中に飛ぼうとしていたが、急降下↓減速↓着地↓走る。その4つのアクションをした魔物の方が速い。

1階でレベル230の魔物が出るダンジョンの5階。向こうからしたらレベル54の私の動きはスローモーションなんだろう。

私の体はゴブダンジョン側にギリギリ入った。

だけど、3メートルの穴から頭が追ってくる。

「ダメだ、あ、いや、そうだ「壁ギロチン」」 ザクッ。


盛大に転んだ。
「・・・」

私は起きたが、腰に力が入らない。膝をついて、壁と反対側を向いている。

背中側には尋常じゃない威圧感がある。

「壁ギロチンは、は、発動したよね・・。でも真後ろから・・・見てみるか」

後ろを振り返った私は、絶叫した。
「うわああああああああああああ!」

顔の数センチ前に20センチの牙が並んだデカい口が空いていた。

「うわあ、ひっ、ひっ、ふっ?」

死んでると思う。なのに過呼吸を起こしている。

「はっ、はっ・・」

青みがかった透明な鱗、20センチの牙が並ぶ口。ちょっと離れてみると分かった。

ドラゴン、図鑑で見たクリスタルドラゴン、の首だ。


「・・やっちまったよ。私、ドラゴンスレイヤーだ」

ドラゴンの首は「壁ギロチン」でぶったぎった。3メートルくらいの大きさだから、収納指輪に入った。

牙、目、鱗といったドラゴンの素材を手に入れた。80年前のアイスドラゴン以来、記録がないバミダダンジョンの素材だ。

残りは間違いなく壁の向こうにある。怖いけど「壁粉砕」で5メートルの穴を開けると、綺麗なドラゴンの首の断面があった。収納指輪を当てて収納と唱えたが反応なし。指輪の限界20メートルを越えているということだ。

滴り落ちる血はいろんな物に10リットル保存した。

壁を開けた時、壁の支えを失ったドラゴンの断面が2メートルほど、こちら側に入ってきていた。

壁ギロチンで追加して2メートル分の輪切り肉と鱗を得た。

「向こうに素材を取りに行く選択肢はない。怖すぎる。無傷の頭で我慢しよう」

ピ・・
ピピ・・
ピピピ・・「ん?」

『レベル差100越え単独討伐達成。ジャイアントキリング。エクストラスキル解放です』

「ジャイアントキリング。初めて聞いた言葉だな。新スキルは「壁ゴーレム」と「座標レーダー」が増えてる」

『早速、使ってみよう』
「なんだよ、このナビ。ごめん、今日は気力も尽き果てた・・」

セーフティゾーンで倒れた。レベルアップ音がしたけど、意識が薄れてきた。

◆◆
起きて少し頭がスッキリしても、またドラゴンの恐怖が蘇ってきた。

「レベル54の私がよく死ななかったと思うよ。
・・え。レベル133?」

そうだ。

私が壁ギロチンで倒した判定のクリスタルドラゴンはレベル238~242くらいだ。

世界にはバミダ、北の方に3500キロのチマランマ、はるか東のインカリと3つの超級ダンジョンが確認されている。

3つの共通点は、多くの富を生む素材だらけの「魔境」がダンジョンの周りに広がっていることだ。

私は、やってしまった。

特級ダンジョンのダンジョンボスだって、最高でレベル180までしか確認されてない。それよりレベルが上の魔物を倒してしまった。

最初のダンジョン攻略者、パリパ在住で今年217歳のジャンヌ様でもレベル180だと聞く。

私は世界で何番目なんだろうか。


素材をどうするとか、考えることが増えた。

今いるオルテガ国で売ったりするのは危険だと思うし、なおさら国から出る動機ができた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流
ファンタジー
俺、臥龍臼汰(27歳・独身)はある日自宅の裏山に突如できた洞窟を見つける。 語り掛けてきたアドバイザーとやらが言うにはそこは何とダンジョン!? で、探索の報酬としてどんな望みも叶えてくれるらしい。 ならば俺の願いは決まっている。 よくある強力無比なスキルや魔法? 使い切れぬ莫大な財産? 否! 俺が望んだのは「君の様なアドバイザーにず~~~~~っとサポートして欲しい!」という願望。 万全なサポートを受けながらダンジョン探索にのめり込む日々だったのだが…何故か元居た会社の後輩や上司が訪ねて来て… チート風味の現代ダンジョン探索記。

異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。 で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか? 異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕! 異世界帰りのハーレム王 朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!

処理中です...