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第22話:受注、そして石鹸とポーション作り
第22話:受注、そして石鹸とポーション作り
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俺、シュウ・タチバナ、16歳にしては落ち着きすぎているかもしれないが、それもそのはずだ。
元は地球で55歳のおっさん、甥っ子を1人で育て上げ、定年まであと10年、人生の半分以上を生き抜いた男だ。
それが階段から滑って頭を打って死んだと思ったら、見知らぬ女神様に「ゴメンね~、間違っちゃった」と軽く謝られ、異世界に転生させられた。
しかも、若返って、貴族としての生活、テラス付きログハウス、石造りの倉庫、温泉付き風呂場、トイレまできっちり完備。
女神エリシアの「お詫び」がこれなら、死ぬのも悪くないかもしれない。
そんな俺の養子、ネロ。
11歳、茶髪に翡翠色の瞳。
未来視の能力を持つ、ちょっと不思議な少年だ。
俺のことを「兄ちゃん」と呼ぶ。
彼には特別な力があるが、まだ使いこなせていない部分も多い。
だからこそ、俺がしっかり見守ってやらねばならない。
そして、リオ。
12歳、黒髪茶眼の黒狼族の末裔。
星の守護者の血を引く亜種で、狼の耳と尻尾を持つ。
人語は話せるが、時々狼の習性が顔を出す。
俺のことを「兄さん」と呼ぶ。
彼もまた、俺の庇護下にある。
フェイ・アストレア。19歳、銀髪碧眼の騎士団長。
立派な体躯と凛とした雰囲気を持つが、俺の前ではなぜか照れ屋で、いつも「シュウ様」と呼んで頭を下げる。
だが、夜の風呂場では、別人のように熱くなる。
毎晩、ネロやリオと一緒に風呂場でオナニーに勤しんでいる。
アレン・エレスティア。
21歳、黒髪茶眼の星の守護者の生まれ変わり。
エレスティア王国の第1王子だったが、王位を弟のヨシュアに譲り、今は自由な身。
俺のことを気軽に「シュウ」と呼び、風呂場でも遠慮なくオナニーに励む。
ヨシュア・エレスティア。
19歳、銀髪碧眼の第2王子で、次期国王。
まだオナニー初心者で、風呂場では少し戸惑っているが、俺の許可を得て、少しずつ慣れてきている。
ミラ。
18歳、金髪赤眼の薬師。
家事が得意で、俺の花壇と薬草園を一手に引き受けてくれている。
毎日、薬を調合し、俺の生活を支えてくれる。
彼女もまた、「シュウさん」と呼んでくれる。
そして、森の守護者、銀狼のウォルフ。
人語を話し、必要に応じて人間の姿に変化する。
九尾の銀狐、大精霊ラム。
生命樹の護り手にして、幾万年も生きる智慧者。
彼らもまた、このログハウスの平和な日常に寄り添ってくれている。
ある日、用事があってギルドに向かった。
空は晴れ渡り、春の風が心地よく頬を撫でる。
ログハウスからギルドまでは歩いて20分ほど。
道中、ミラが育てている薬草の香りが漂い、時折、ウォルフが森の奥から姿を見せてくれる。
ギルドに着くと、受付の女性がにこやかに迎えてくれた。
「シュウ様、ご注文がたくさん届いておりますわ。貴族様方より、ハーブ入りの石鹸の注文が殺到しております」
「ハーブ入りの石鹸?」
俺は少し驚いた。
確かに、ミラが育てているハーブは質が高く、香りも豊かだ。
以前、風呂場で使った際に、ネロが「肌がつるつるになった」と言っていたし、リオも「毛艶が良くなった気がする」と言っていた。
フェイも「騎士団の女性たちに好評でした」と報告してくれた。
だが、それがここまで需要になるとは。
「了解した。受領する」
俺は注文書を受け取り、ログハウスに戻った。
ミラが薬草園で薬草を摘んでいるところに声をかけた。
「ミラ、貴族たちからハーブ入り石鹸の注文が入った。手伝ってくれるか?」
ミラは目を輝かせた。
「はい、シュウ様! どのハーブを使いますか?」
「まずは、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、そしてミント。保湿と抗菌、リラックス効果を重視しよう」
ミラは素早く薬草を摘み、洗浄し、乾燥させる。
俺はログハウスの調理場兼作業場に設けた石鹸作りスペースに移動。
石鹸作りは、実は前世でも趣味の一つだった。
天然素材にこだわり、香りと肌触りを重視した石鹸を自作していた。
異世界に来てからも、その知識が役立っている。
まず、ココナッツオイル、オリーブオイル、パームオイルを鍋で弱火で溶かす。
温度は40度前後を保つ。
そこに、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を溶かした水を少しずつ加える。
この工程は危険なので、手袋とゴーグルを着用。
ミラにも同様の装備をさせ、注意を促す。
「シュウ様、泡立ってきました!」
「ああ、乳化が始まったな。ここからはゆっくり混ぜ続ける。泡が滑らかになるまで」
俺は木製のスパチュラで、円を描くようにゆっくりと攪拌する。
15分ほどで、トレース(生地が軌跡を残す状態)になった。
そこに、ミラが乾燥させたハーブを粉末にして加える。
ラベンダーの紫色、カモミールの淡い黄色、ローズマリーの濃緑、ミントの鮮やかな緑が、白い石鹸生地に彩りを添える。
「香りも加えるか」
俺は、ラベンダー精油、カモミール精油、ローズマリー精油を数滴ずつ加える。
ミントは香りが強いので、ほんの少し。
香りのバランスが重要だ。
強すぎると逆に不快になる。
「シュウさん、本当にいい香りですね⋯⋯まるで森の中みたいです」
ミラが頬を染める。
俺も内心、満足していた。
この石鹸、売れるに違いない。
生地をシリコン型に流し込み、表面を平らにする。
その後、ラップをかけて、保温のために毛布で包む。
24時間ほどで固まり、その後は型から外して、さらに2週間ほど乾燥させる。
だが、俺は時間短縮のため、軽く魔法をかける。
風の精霊に頼んで、微かに風を送らせ、乾燥を早める。
完全に固まるまで3日。
だが、ギルドの注文は急ぎのようだったので、まずは一部を早めに仕上げることにした。
3日後、石鹸はしっかり固まり、ハーブの模様が美しく浮かび上がっていた。
香りも落ち着き、使いやすそうな仕上がりだ。
俺は50個を異次元収納庫にしまい、ギルドへ向かった。
「ご注文の石鹸、納品します」
受付の女性は目を見開いた。
「わ、本当に作ってくださったんですか? こんなに綺麗な石鹸、見たことありません!」
「ハーブはすべて自作のもの。薬効も期待できる」
「さっそく貴族様方にご案内いたします!」
その日のうちに、注文はすべて完売。
翌日、ギルドから再び呼び出し。
「シュウ様、ポーションが不足しております。特に回復ポーションと魔力回復ポーションが品薄です。作成してはいただけませんか?」
「了解。量は?」
「回復ポーション100本、魔力回復ポーション50本、強化ポーション30本。可能でしょうか?」
「問題ない」
俺は再びログハウスに戻り、ミラを呼び寄せた。
「ミラ、今度はポーション作りだ。回復、魔力回復、強化。材料は揃っているか?」
「はい! 昨日、森でウォルフさんと一緒に採ってきました。ヒールグリーン、マナフラワー、フォースルート、すべて新鮮です」
「よし。早速始めるぞ」
ポーション作りは、石鹸以上に繊細な作業だ。
まず、回復ポーション。
ヒールグリーンを細かく刻み、精製水と混ぜ、弱火で1時間煮詰める。
そこに、エルフの涙(魔法泉の水)を加え、さらに10分。
色が緑から青緑に変わったら、濾過して瓶詰め。
最後に、軽く聖魔法をかけて完成。
魔力回復ポーションは、マナフラワーの花弁を乾燥させ、粉末に。
これに、精製水とエルフの涙を混ぜ、魔法陣を描いて魔力を注入。
青い光を放ちながら、液体が澄んだ青色に変わる。
瓶詰め後、ラムの加護を受けて安定化。
強化ポーションは、フォースルートをすりつぶし、獣の血(今回はリオから提供された黒狼族の血)を数滴加える。
これに、火の精霊の力を借りて加熱。
赤く輝く液体に変化したら、濾過し、瓶詰め。
俺の手で一時的に力の魔法を流し込み、効果を安定させる。
ミラは真剣な表情で作業を手伝ってくれた。
彼女の薬師の力が、ポーションの品質をさらに高めてくれる。
特に魔力回復ポーションは、ミラの薬師の力によって効果時間が1.5倍に伸びた。
「シュウさん、これなら冒険者たちも喜んでくれますね」
「ああ。だが、大量生産は疲れる。これくらいあれば、暫くは大丈夫だろう」
俺は、回復ポーション120本、魔力回復ポーション60本、強化ポーション40本を作成。余裕を持たせておいた。異次元収納庫にしまい、ギルドへ向かった。
「ポーション、納品します」
受付の女性は、目を輝かせながら受け取った。
「ありがとうございます! すぐに陳列いたします!」
その瞬間、冒険者たちが殺到。
回復ポーションは5分で完売。
魔力回復ポーションも30分で売り切れ。
強化ポーションも1時間でほぼ完売。
ギルドの棚が空になる様子を見て、受付の女性が慌てて俺に言った。
「シュウ様! 追加注文をお願いできますか? 特に回復と魔力回復が足りません!」
「⋯⋯分かった。また作る」
俺はため息をつきつつ、ログハウスに戻った。
ミラが苦笑い。
「シュウさん、人気ですね」
「人気はありがたいが、流石に毎日はきついな」
「でも、皆さんの役に立てているんですから、嬉しいですよね?」
ミラの言葉に、俺も頷いた。
確かに、この石鹸やポーションが誰かの役に立っているなら、作る価値はある。
前世でも、甥っ子のために料理を作ったり、薬を調合したりした。
その延長線上にあるこの生活に、違和感はない。
むしろ、充実している。
再びミラと共にポーション作りを開始。
今度は、より効率化を図る。
調理場に魔法陣を描き、自動で攪拌する装置を設置。
火の精霊に常駐してもらい、温度管理を任せた。
ミラの家事を事前にポーションベースに注入し、完成後の手間を減らす。
2日後、新たなポーションをギルドに納品。
今度は在庫を多めに。
これで、しばらくは大丈夫だろう。
ログハウスに戻ると、夕食の時間だった。
ミラが作ってくれたハーブスープ、リオが狩ってきた鹿のステーキ、ネロが採ってきたキノコのグラタン。
アレンが持ってきたワインも開ける。
テーブルを囲み、笑い声が響く。
「シュウさん、石鹸、騎士団の皆に大好評でしたよ。特にフェイ団長が⋯⋯」
ヨシュアが言いかけ、フェイが慌てて口を塞ぐ。
「ヨシュア王子! それは⋯⋯!」
「ん? どうした?」
「い、いえ⋯⋯なんでもありません!」
アレンが笑いながら、「フェイも夜はしっかり使ってるよな?」と言い、リオが「俺もネロも毎日使ってます!」と明るく告げる。
ネロは「兄ちゃんの石鹸、香りがいいし、オナニーのときも滑りが良くて⋯⋯」と言いかけ、フェイが「ネロくん!」と慌てて遮った。
「⋯⋯まあ、いいか」
俺は苦笑いしながらワインを一口。
彼らの無邪気さが、この家の平和を象徴している。
夕食後、男性陣が風呂場へ向かう時間。
ネロ、リオ、フェイ、アレン、ヨシュア。
彼らは湯船に浸かり、その後、決まった場所に移動する。
防水処理された石のベンチ。
そこは、彼らの「神聖な時間」の場所だ。
「では、参りますか」
フェイが真剣な表情で宣言。
アレンは「シュウも来るか?」と誘うが、俺は首を振る。
「今日は見守り役で」
「残念だな」
アレンが笑う。
ネロが「兄ちゃん、見てもいいよ?」と言い、リオが「兄さんも一緒にどうですか?」と誘うが、俺は微笑んで断る。
彼らの時間を、ただ温かく見守るのが、今の俺の役割だ。
湯気の中、彼らはそれぞれのペースでオナニーを開始。
ネロは未来視の瞳を閉じ、リオは狼の耳をぴくつかせ、フェイは騎士団長としての誇りを捨て、アレンは星の守護者の力を微かに漏らし、ヨシュアは間もない快感に戸惑いながらも、少しずつ自分を解放していく。
俺はその様子を、庭のテラスから眺めていた。
月が綺麗だ。
風が優しく、ミラが作ってくれたハーブティーの香りが漂う。
「シュウさん、お疲れ様です」
ミラがそっと近くに座る。
「ああ。今日は色々あったな」
「でも、皆んな、幸せそうです」
「そうだな」
俺は微笑む。
異世界に転生して、貴族になり、チート能力を与えられ、養子を持ち、風呂場でオナニーする連中を管理する日々。
常識からすれば異常かもしれない。
だが、俺にとっては、これが「普通」だ。
女神エリシア、間違ったとはいえ、ありがとうな。
そして、明日もまた、石鹸を作り、ポーションを作り、彼らの笑顔を守る。
それが、俺、シュウ・タチバナの、今の楽しみになっているのだから。
元は地球で55歳のおっさん、甥っ子を1人で育て上げ、定年まであと10年、人生の半分以上を生き抜いた男だ。
それが階段から滑って頭を打って死んだと思ったら、見知らぬ女神様に「ゴメンね~、間違っちゃった」と軽く謝られ、異世界に転生させられた。
しかも、若返って、貴族としての生活、テラス付きログハウス、石造りの倉庫、温泉付き風呂場、トイレまできっちり完備。
女神エリシアの「お詫び」がこれなら、死ぬのも悪くないかもしれない。
そんな俺の養子、ネロ。
11歳、茶髪に翡翠色の瞳。
未来視の能力を持つ、ちょっと不思議な少年だ。
俺のことを「兄ちゃん」と呼ぶ。
彼には特別な力があるが、まだ使いこなせていない部分も多い。
だからこそ、俺がしっかり見守ってやらねばならない。
そして、リオ。
12歳、黒髪茶眼の黒狼族の末裔。
星の守護者の血を引く亜種で、狼の耳と尻尾を持つ。
人語は話せるが、時々狼の習性が顔を出す。
俺のことを「兄さん」と呼ぶ。
彼もまた、俺の庇護下にある。
フェイ・アストレア。19歳、銀髪碧眼の騎士団長。
立派な体躯と凛とした雰囲気を持つが、俺の前ではなぜか照れ屋で、いつも「シュウ様」と呼んで頭を下げる。
だが、夜の風呂場では、別人のように熱くなる。
毎晩、ネロやリオと一緒に風呂場でオナニーに勤しんでいる。
アレン・エレスティア。
21歳、黒髪茶眼の星の守護者の生まれ変わり。
エレスティア王国の第1王子だったが、王位を弟のヨシュアに譲り、今は自由な身。
俺のことを気軽に「シュウ」と呼び、風呂場でも遠慮なくオナニーに励む。
ヨシュア・エレスティア。
19歳、銀髪碧眼の第2王子で、次期国王。
まだオナニー初心者で、風呂場では少し戸惑っているが、俺の許可を得て、少しずつ慣れてきている。
ミラ。
18歳、金髪赤眼の薬師。
家事が得意で、俺の花壇と薬草園を一手に引き受けてくれている。
毎日、薬を調合し、俺の生活を支えてくれる。
彼女もまた、「シュウさん」と呼んでくれる。
そして、森の守護者、銀狼のウォルフ。
人語を話し、必要に応じて人間の姿に変化する。
九尾の銀狐、大精霊ラム。
生命樹の護り手にして、幾万年も生きる智慧者。
彼らもまた、このログハウスの平和な日常に寄り添ってくれている。
ある日、用事があってギルドに向かった。
空は晴れ渡り、春の風が心地よく頬を撫でる。
ログハウスからギルドまでは歩いて20分ほど。
道中、ミラが育てている薬草の香りが漂い、時折、ウォルフが森の奥から姿を見せてくれる。
ギルドに着くと、受付の女性がにこやかに迎えてくれた。
「シュウ様、ご注文がたくさん届いておりますわ。貴族様方より、ハーブ入りの石鹸の注文が殺到しております」
「ハーブ入りの石鹸?」
俺は少し驚いた。
確かに、ミラが育てているハーブは質が高く、香りも豊かだ。
以前、風呂場で使った際に、ネロが「肌がつるつるになった」と言っていたし、リオも「毛艶が良くなった気がする」と言っていた。
フェイも「騎士団の女性たちに好評でした」と報告してくれた。
だが、それがここまで需要になるとは。
「了解した。受領する」
俺は注文書を受け取り、ログハウスに戻った。
ミラが薬草園で薬草を摘んでいるところに声をかけた。
「ミラ、貴族たちからハーブ入り石鹸の注文が入った。手伝ってくれるか?」
ミラは目を輝かせた。
「はい、シュウ様! どのハーブを使いますか?」
「まずは、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、そしてミント。保湿と抗菌、リラックス効果を重視しよう」
ミラは素早く薬草を摘み、洗浄し、乾燥させる。
俺はログハウスの調理場兼作業場に設けた石鹸作りスペースに移動。
石鹸作りは、実は前世でも趣味の一つだった。
天然素材にこだわり、香りと肌触りを重視した石鹸を自作していた。
異世界に来てからも、その知識が役立っている。
まず、ココナッツオイル、オリーブオイル、パームオイルを鍋で弱火で溶かす。
温度は40度前後を保つ。
そこに、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を溶かした水を少しずつ加える。
この工程は危険なので、手袋とゴーグルを着用。
ミラにも同様の装備をさせ、注意を促す。
「シュウ様、泡立ってきました!」
「ああ、乳化が始まったな。ここからはゆっくり混ぜ続ける。泡が滑らかになるまで」
俺は木製のスパチュラで、円を描くようにゆっくりと攪拌する。
15分ほどで、トレース(生地が軌跡を残す状態)になった。
そこに、ミラが乾燥させたハーブを粉末にして加える。
ラベンダーの紫色、カモミールの淡い黄色、ローズマリーの濃緑、ミントの鮮やかな緑が、白い石鹸生地に彩りを添える。
「香りも加えるか」
俺は、ラベンダー精油、カモミール精油、ローズマリー精油を数滴ずつ加える。
ミントは香りが強いので、ほんの少し。
香りのバランスが重要だ。
強すぎると逆に不快になる。
「シュウさん、本当にいい香りですね⋯⋯まるで森の中みたいです」
ミラが頬を染める。
俺も内心、満足していた。
この石鹸、売れるに違いない。
生地をシリコン型に流し込み、表面を平らにする。
その後、ラップをかけて、保温のために毛布で包む。
24時間ほどで固まり、その後は型から外して、さらに2週間ほど乾燥させる。
だが、俺は時間短縮のため、軽く魔法をかける。
風の精霊に頼んで、微かに風を送らせ、乾燥を早める。
完全に固まるまで3日。
だが、ギルドの注文は急ぎのようだったので、まずは一部を早めに仕上げることにした。
3日後、石鹸はしっかり固まり、ハーブの模様が美しく浮かび上がっていた。
香りも落ち着き、使いやすそうな仕上がりだ。
俺は50個を異次元収納庫にしまい、ギルドへ向かった。
「ご注文の石鹸、納品します」
受付の女性は目を見開いた。
「わ、本当に作ってくださったんですか? こんなに綺麗な石鹸、見たことありません!」
「ハーブはすべて自作のもの。薬効も期待できる」
「さっそく貴族様方にご案内いたします!」
その日のうちに、注文はすべて完売。
翌日、ギルドから再び呼び出し。
「シュウ様、ポーションが不足しております。特に回復ポーションと魔力回復ポーションが品薄です。作成してはいただけませんか?」
「了解。量は?」
「回復ポーション100本、魔力回復ポーション50本、強化ポーション30本。可能でしょうか?」
「問題ない」
俺は再びログハウスに戻り、ミラを呼び寄せた。
「ミラ、今度はポーション作りだ。回復、魔力回復、強化。材料は揃っているか?」
「はい! 昨日、森でウォルフさんと一緒に採ってきました。ヒールグリーン、マナフラワー、フォースルート、すべて新鮮です」
「よし。早速始めるぞ」
ポーション作りは、石鹸以上に繊細な作業だ。
まず、回復ポーション。
ヒールグリーンを細かく刻み、精製水と混ぜ、弱火で1時間煮詰める。
そこに、エルフの涙(魔法泉の水)を加え、さらに10分。
色が緑から青緑に変わったら、濾過して瓶詰め。
最後に、軽く聖魔法をかけて完成。
魔力回復ポーションは、マナフラワーの花弁を乾燥させ、粉末に。
これに、精製水とエルフの涙を混ぜ、魔法陣を描いて魔力を注入。
青い光を放ちながら、液体が澄んだ青色に変わる。
瓶詰め後、ラムの加護を受けて安定化。
強化ポーションは、フォースルートをすりつぶし、獣の血(今回はリオから提供された黒狼族の血)を数滴加える。
これに、火の精霊の力を借りて加熱。
赤く輝く液体に変化したら、濾過し、瓶詰め。
俺の手で一時的に力の魔法を流し込み、効果を安定させる。
ミラは真剣な表情で作業を手伝ってくれた。
彼女の薬師の力が、ポーションの品質をさらに高めてくれる。
特に魔力回復ポーションは、ミラの薬師の力によって効果時間が1.5倍に伸びた。
「シュウさん、これなら冒険者たちも喜んでくれますね」
「ああ。だが、大量生産は疲れる。これくらいあれば、暫くは大丈夫だろう」
俺は、回復ポーション120本、魔力回復ポーション60本、強化ポーション40本を作成。余裕を持たせておいた。異次元収納庫にしまい、ギルドへ向かった。
「ポーション、納品します」
受付の女性は、目を輝かせながら受け取った。
「ありがとうございます! すぐに陳列いたします!」
その瞬間、冒険者たちが殺到。
回復ポーションは5分で完売。
魔力回復ポーションも30分で売り切れ。
強化ポーションも1時間でほぼ完売。
ギルドの棚が空になる様子を見て、受付の女性が慌てて俺に言った。
「シュウ様! 追加注文をお願いできますか? 特に回復と魔力回復が足りません!」
「⋯⋯分かった。また作る」
俺はため息をつきつつ、ログハウスに戻った。
ミラが苦笑い。
「シュウさん、人気ですね」
「人気はありがたいが、流石に毎日はきついな」
「でも、皆さんの役に立てているんですから、嬉しいですよね?」
ミラの言葉に、俺も頷いた。
確かに、この石鹸やポーションが誰かの役に立っているなら、作る価値はある。
前世でも、甥っ子のために料理を作ったり、薬を調合したりした。
その延長線上にあるこの生活に、違和感はない。
むしろ、充実している。
再びミラと共にポーション作りを開始。
今度は、より効率化を図る。
調理場に魔法陣を描き、自動で攪拌する装置を設置。
火の精霊に常駐してもらい、温度管理を任せた。
ミラの家事を事前にポーションベースに注入し、完成後の手間を減らす。
2日後、新たなポーションをギルドに納品。
今度は在庫を多めに。
これで、しばらくは大丈夫だろう。
ログハウスに戻ると、夕食の時間だった。
ミラが作ってくれたハーブスープ、リオが狩ってきた鹿のステーキ、ネロが採ってきたキノコのグラタン。
アレンが持ってきたワインも開ける。
テーブルを囲み、笑い声が響く。
「シュウさん、石鹸、騎士団の皆に大好評でしたよ。特にフェイ団長が⋯⋯」
ヨシュアが言いかけ、フェイが慌てて口を塞ぐ。
「ヨシュア王子! それは⋯⋯!」
「ん? どうした?」
「い、いえ⋯⋯なんでもありません!」
アレンが笑いながら、「フェイも夜はしっかり使ってるよな?」と言い、リオが「俺もネロも毎日使ってます!」と明るく告げる。
ネロは「兄ちゃんの石鹸、香りがいいし、オナニーのときも滑りが良くて⋯⋯」と言いかけ、フェイが「ネロくん!」と慌てて遮った。
「⋯⋯まあ、いいか」
俺は苦笑いしながらワインを一口。
彼らの無邪気さが、この家の平和を象徴している。
夕食後、男性陣が風呂場へ向かう時間。
ネロ、リオ、フェイ、アレン、ヨシュア。
彼らは湯船に浸かり、その後、決まった場所に移動する。
防水処理された石のベンチ。
そこは、彼らの「神聖な時間」の場所だ。
「では、参りますか」
フェイが真剣な表情で宣言。
アレンは「シュウも来るか?」と誘うが、俺は首を振る。
「今日は見守り役で」
「残念だな」
アレンが笑う。
ネロが「兄ちゃん、見てもいいよ?」と言い、リオが「兄さんも一緒にどうですか?」と誘うが、俺は微笑んで断る。
彼らの時間を、ただ温かく見守るのが、今の俺の役割だ。
湯気の中、彼らはそれぞれのペースでオナニーを開始。
ネロは未来視の瞳を閉じ、リオは狼の耳をぴくつかせ、フェイは騎士団長としての誇りを捨て、アレンは星の守護者の力を微かに漏らし、ヨシュアは間もない快感に戸惑いながらも、少しずつ自分を解放していく。
俺はその様子を、庭のテラスから眺めていた。
月が綺麗だ。
風が優しく、ミラが作ってくれたハーブティーの香りが漂う。
「シュウさん、お疲れ様です」
ミラがそっと近くに座る。
「ああ。今日は色々あったな」
「でも、皆んな、幸せそうです」
「そうだな」
俺は微笑む。
異世界に転生して、貴族になり、チート能力を与えられ、養子を持ち、風呂場でオナニーする連中を管理する日々。
常識からすれば異常かもしれない。
だが、俺にとっては、これが「普通」だ。
女神エリシア、間違ったとはいえ、ありがとうな。
そして、明日もまた、石鹸を作り、ポーションを作り、彼らの笑顔を守る。
それが、俺、シュウ・タチバナの、今の楽しみになっているのだから。
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同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
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世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
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