元アラフィフ男の異世界転生記 〜新しい家族とともに異世界を謳歌する〜

あかいとまと

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第44話:星光と歪みの衝突

第44話:星光と歪みの衝突

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 黒い獣――“歪み”が咆哮し、  
 星の渦が大きく揺れた。

 星光を吸い込み、  
 影を喰らい、  
 存在そのものを削り取る“無”の塊。

 影たちが光となってシュウの胸へ戻ったことで、獣は“喰うはずの餌”を奪われた怒りに震えていた。

 ――⋯⋯ナゼ⋯⋯ 
 ――⋯⋯ナゼ⋯⋯トリコマナイ⋯⋯
 ――⋯⋯ナゼ⋯⋯ユルス⋯⋯

 その声は、言葉というより“星の悲鳴”に近かった。

 影たちが戻ったことで、シュウの胸の星光は、これまでにないほど強く輝いていた。

 光は白銀ではなく、  
 淡い金色を帯び始めている。

 アレンが息を呑む。

「⋯⋯シュウ⋯⋯その光⋯⋯」

 闇のシュウも目を見開いた。

「まさか⋯⋯“星の道の核”と繋がり始めている⋯⋯?」

 シュウは胸の痛みを押さえながら、息を整えた。

「⋯⋯分からない。でも⋯⋯影たちが戻ってきてから、胸の奥が⋯⋯熱いんだ」

 ネロが震える声で言う。

「兄ちゃん⋯⋯その光⋯⋯“未来の線”が揺れてる⋯⋯兄ちゃん自身の未来が⋯⋯増えてる⋯⋯!」

「増えてる⋯⋯?」

「うん。兄ちゃんの未来は、ずっと“細い一本”だった。でも今は⋯⋯何本も枝分かれしてる⋯⋯!」

 リオが低く唸る。

「兄さん⋯⋯“選択肢”が増えてるんだ⋯⋯!」

 黒い獣が、星光を嫌うように後退した。

 だが――  
 次の瞬間、獣は形を変えた。

 霧が凝縮し、  
 星光を吸い込み、  
 巨大な“口”を開く。

 その口は――  
 星の道そのものを喰らおうとしていた。

「させるかよッ!」

 シュウが星光を放ち、獣の進路を塞ぐ。

 だが、獣は光を押し返しながら迫ってくる。

 アレンが剣を構えた。

「シュウ、右側が薄い! 俺が押さえる!」

 アレンの剣が星光を帯び、獣の腕を切り裂く。

 リオが跳躍し、星光の爪で獣の顔面を叩きつける。

 ネロが未来の線を読み、叫ぶ。

「兄ちゃん、次は左! そこから来る!」

 シュウはネロの声に合わせて光を放つ。

 黒い獣が後退し、星の渦が揺れる。

 闇のシュウが低く言った。

「⋯⋯シュウ。お前の光は確かに“歪み”を押し返している。だが――その光は“代償”を求める」

「代償⋯⋯?」

「星の道と繋がるということは、星の流れそのものを背負うということだ。お前が選択を誤れば――お前自身が“歪み”になる」

 シュウは息を呑んだ。

(⋯⋯俺が、歪みになる⋯⋯?)

 闇のシュウは続ける。

「影を赦したことで、お前の未来は増えた。だが、増えた未来の中には――“お前が消える未来”もある」

 ネロが震える声で言う。

「兄ちゃん⋯⋯未来の線の中に⋯⋯“兄ちゃんがいなくなる線”が⋯⋯ある⋯⋯」

 リオが拳を握りしめた。

「兄さん⋯⋯!」

 アレンが低く言う。

「シュウ⋯⋯無茶はするな。お前が消えたら⋯⋯俺たちは⋯⋯」

 シュウは、静かに首を振った。

「⋯⋯大丈夫だ。俺は消えない。消える未来があるなら――“消えない未来”を選ぶだけだ」

 黒い獣が、星光を吸い込みながら形を変えた。

 霧が渦を巻き、  
 星の光を飲み込み、  
 巨大な“目”がいくつも開く。

 その目は――  
 “選ばれなかった未来”の断片だった。

 ネロが叫ぶ。

「兄ちゃん⋯⋯“誰にも選ばれなかった未来”が⋯⋯獣の中で渦巻いてる⋯⋯!」

 リオが低く唸る。

「兄さん⋯⋯あれは⋯⋯“未来の墓場”だ⋯⋯!」

 アレンが剣を構えた。

「シュウ⋯⋯あれはもう“敵”じゃない。“星の道の負債”だ。倒すんじゃない⋯⋯“正す”んだ!」

 闇のシュウが叫ぶ。

「シュウ! お前の光で――“歪み”に揺らぎを与えろ!」

 シュウは胸に手を当てた。

 影たちが戻った場所。  
 過去と現在が重なった場所。  
 星の道と繋がり始めた場所。

 そこから、金色の星光が溢れ出す。

「⋯⋯俺は――  
 “選ばれなかった未来”も、  
 “影”も、  
 “歪み”も⋯⋯  
 全部抱えて生きる!」

 星光が爆ぜ、  
 黒い獣が後退し、  
 星の渦が震える。

 シュウは叫んだ。

「俺は――“生活”を守るために戦う! 星のためじゃない! 世界のためでもない! 俺の家族のために――この道を正す!」

 黒い獣が咆哮し、  
 星光と“無”が衝突した。

 星の道が裂け、  
 空間が軋み、  
 光と闇がぶつかり合う。

 そして――

 星の道の中心で、運命を決める一撃が放たれようとしていた。



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