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勘違いしている悪役令嬢
しおりを挟む応接間に入ると、リカルド王子が立ち上がって挨拶をしてきた。
「やあ、モーガス嬢。急に来てしまってすまないね」
「いえ、こちらこそ大したおもてなしも出来ず、申し訳ありません」
2人で軽い挨拶交わすと、私はテーブルを挟んで向かいの長椅子に座った。
ついてきたリルには扉近くに控えてもらう。
王子の後ろにも、使いの者がいた。
あれは確か…ジュード・レイスと言う名の王子の側近だったはず。王子に付きまとっていた時必ず傍にいいたのを覚えている。
チラリと彼を見ると、険しい顔をして頭を下げられた。
あの付きまとっていたセリアを見ているんだ、身分があるので一応頭は下げるが、私の事を警戒しているのだろう。
まずは、王子にこの前の事を謝らないと。
「殿下、先日はいきなり逃げ出してしまい、大変失礼しました。本当に申し訳ありませんでした」
頭を下げる時に、目を見開くジュードさんが見えたが、気にしない。
「ん?何を謝る事があるんだい?全然気にしてないから、頭を上げて」
「……?」
あれ?この事で来たんじゃないの…?
「ジュード、ちょっと2人だけにしてくれるかな?」
悶々と考えていると、王子がとんでもない事を言いだした。ふ、2人だけだと!!?
「はっ、ですが殿下…」
「いいから、大丈夫だよ。そこの君もいいかな?」
「リルでございます」
リルは素っ気なく答える。
リ、リルさん?相手は一国の王子ですよ!?もう少し嫌悪感を隠して!!
「そう、リルさんね。大事な話があるんだ、いいかな?」
「…………かしこまりました」
ものすごーーーく嫌そうにリルは答えた。
…って、いやいや!まって、行かないで!私を置いてかないで!!
「セリア様、何かあったらお呼びください」
王子とは正反対の態度で、優しくそう言って出ていくリル。
その後をついて出ていくジュードさんには、しっかりと牽制するように睨まれました。
「ちょっ、まっ、リ、リルーーーーー!!?」
ーーーバタン
扉の閉まる音が虚しく響く。
(う、嘘でしょーーー!!!??)
王子と2人きりとか無理だよ!!
なになに、なんで2人きりにしたの!?実はめちゃくちゃ怒ってるの!!?
ま、待って…、もしかして、大人しくしてる今のうちに婚約破棄しようとか…?
(や、やだ!まだ気持ちの準備出来てないよ!!)
「モーガス嬢」
「はっ、はい!!」
ちょ、ちょっと待ってよ!まだ無理ーーー!!
「すまなかったーー」
…………へっ??
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