Sakura Generation  ~絶望を希望に変える少女たち~

にわかばでぃ

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第一章 誰のせいでもない

再び始めるために

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――紫鈴しりん――

最上階のホールは、静かすぎた。
天井は高く、壁面は円形。
中央に据えられた装置が、鈍く脈打っている。

――来る。
直感が告げた瞬間、空気が裂けた。

ギィン、と金属音。

次の刹那、光を反射する無数のワイヤーが、四方八方から放たれた。

「――っ!」
仲間の悲鳴。
足を絡め取られ、腕を引かれ、バランスを失う。
ワイヤーはただの拘束じゃない。
引かれるたび、意思が、向きが、狂わされる。

「やめて……! 私じゃない!」
「離して……っ!」
操られた刃が、仲間へ向く。
同士討ち――最悪の局面。

「くっ……!」
私も、捕まった。
腕、脚、胴。
絡みつくワイヤーが締まり、呼吸が浅くなる。

(……ああ、そう)
一人で戦うのは、慣れてる。
誰にも期待しない。
誰にも縛られない。

――そのはずだった。

視界の端で、華が踏ん張っている。
志野が、必死にワイヤーを引きちぎろうとしている。
凛が、歯を食いしばって仲間を庇っている。

(……なんで)
どうして、こんなにも胸が痛む。
次の瞬間、温かい感覚が流れ込んできた。

――オーラ。
誰かの、いくつもの想いが、私へ注がれる。
「紫鈴……!」
「お願い……!」
重なる声。
重なる、信頼。

私は、目を閉じた。
(……一人で終わらせるつもりだった)

でも――。
「……いい」

深く、息を吸う。

「――輪廻再開スタート・オーバー

空気が震えた。

《円陣》

私を中心に、円を描くようにオーラが広がる。
仲間たちの想いが、ひとつに束ねられる。

――バンッ!!

不可視の衝撃が走り、
仲間に絡みついていたワイヤーが、次々と断ち切られた。
「動ける……!」
「戻った……!」

息つく暇はない。
私は、歯を食いしばり、次を放つ。

やぐら》!

仲間たちが、自然と位置を取り、櫓の隊形を組む。
そしてその上に私が飛び乗ると積み上がるように、力が集まる。
(これが……一人じゃないってこと……)

全員のオーラを背に受け、剣に集中したオーラを敵に向けて放つ。

――ドォン!!

振動波が、空間そのものを歪めて突き進む。
大型ヘイトの装甲が、分子レベルで崩壊し、砕け散った。

静寂。

戦いは、終わっていた。
次の瞬間、駆け寄ってくる足音。
「紫鈴!」
「無事!?」
「鼻血……出てるよ!」
誰かが支える。
誰かが笑う。

……ああ。
胸の奥が、じんわりと熱い。

(私は、変わったんだ)
他人と距離を取り、
一人でいる方が楽だと、思っていた私を。
この人たちが、引きずり出した。

「……悪くない」
そう呟いた私に、華がにやりと笑う。

「でしょ? だからさ、次は恋バナにも参加しよ?」
一瞬、言い返そうとして――やめた。

「……考えとく」
それだけで、皆が驚いた顔をする。
(……恋の話も)
悪くないかもしれない。
終わらせて、
そして、もう一度始める。

その輪の中に、
今の私は、確かに立っていた。


■□■□■□特殊能力解説■□■□■□

紫鈴(しりん)

特殊能力:輪廻再開(スタート・オーバー)

紫鈴の「輪廻再開」は、“終わらせて、もう一度始めさせる”という概念を具現化した、切り札級の能力である。
円陣形態では、IDOLたちがフォーメーションを組み、中心に立つ紫鈴へオーラを集束させることで、敵の強力な攻撃を完全に無効化する巨大なシールドを展開する。
これは防御でありながら、攻撃そのものを「なかったこと」にする破壊的防衛だ。
一方、櫓形態では、同様にオーラを集中させ、対象を分子レベルで崩壊させる振動波を放つ。
攻撃力はG2トップクラスだが、使用後には激しい倦怠感と鼻血を伴い、連続使用は不可能。
輪廻再開は、紫鈴自身の覚悟と孤独を代償に発動する力であり、その存在自体が、物語の転換点を象徴している。


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