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第三章 流れ弾
四国上陸
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――美和子――
広島市内の復旧と整備がひと段落したころ、司令部から新しい通達が出た。
呉で戦艦を建造するらしい。
横で公子が目を輝かせる。
「まあ! 呉で戦艦なんて!? ロマンね!」
「いや、ロマンで片付けてええ話やないと思うけど……」
また、次の戦略計画の通達もあった。
櫻小隊はG1とG2で部隊を分け、G1は山陰地方、G2は四国地方を攻略することになったのだ。
「四国かぁ。うどん?」
と口に出した瞬間、絵理奈に軽く肘で小突かれた。
翌日から、尾道を出発。電動トラックで今治まで移動するという。
しまなみ海道の橋は奇跡的に破壊を免れており、移動中もヘイトの攻撃はなく、
穏やかなドライブが続いた。
道中、大三島に差しかかった瞬間――
「わぁぁぁぁ!!レモンだぁぁ!!!」
一番に叫んだのは沙羅だった。
見渡す限り、黄色、黄色、黄色。レモン畑が波みたいに広がっている。
そして沙羅が突然――
「れもーーーん!!」
って、両目を寄せて、口を横に引き延ばす、とんでもない変顔を披露した。
一瞬の沈黙。
次の瞬間、噴き出したのは莉乃だった。
「ちょ、ちょっと沙羅!その顔、夢に出る!」
「え、工場の煙突意識したんやけど」
「どこが!?」
さらに沙羅はレモンを一つ手に取ると、真剣な顔で言い放つ。
「これはね、投げると爆発するんですよ」
「しません!」
「じゃあかじると透明になります」
「ならへん!」
もう完全にレモン一本漫才。
気づけば、美和子も笑いすぎてお腹が痛くなっていた。
そんなこんなで、平和に今治へ到着。
夜はキャンプ。たき火を囲みながら、今日の出来事を思い返す。
沙羅はまた焚き火の前で、
「レモンは火に入れると……」
と言いかけて、莉乃に止められていた。
「沙羅、食材で遊ばない」
「はーい……」
しょんぼりしたかと思えば、次の瞬間、また変顔。
結局、その夜も、
変な顔、意味不明なボケ、的外れな例え話に振り回されながら、
気づけば夜は更けていった。
戦争中なのに。
明日にはまた前線に出るのに。
それでも――
こんな時間があるから、うちらは前に進めるんだと思う。
レモン畑の黄色と、沙羅の変顔を思い出しながら、
私は焚き火の音を聞いていた。
■□■□■□特殊能力解説■□■□■□
沙羅(さら)
特殊能力:工場夜景(コンビナート)
工場夜景は、揺れるオレンジ色の灯りを伴う巨大な構造体フィールドを展開する能力だ。
鉄骨、配管、足場、影――それらが入り組み、戦場は一瞬で迷路へと変わる。
この空間では敵の判断力が奪われ、方向感覚は狂い、攻撃は空振りを重ねる。
一方で沙羅は、すべてを把握しているかのように自由に動く。
彼女は直接倒すことを目的としない。
迷わせ、疲弊させ、心を折る。それが工場夜景の本質だ。
メイスの一撃は、追い詰められた相手にだけ落とされる“最後の合図”。
明るく不思議で天才的――そのキャラクターそのままに、能力もまた予測不能。
工場夜景は、防衛であり、罠であり、そして沙羅の遊び心が生み出した戦術芸術である。
広島市内の復旧と整備がひと段落したころ、司令部から新しい通達が出た。
呉で戦艦を建造するらしい。
横で公子が目を輝かせる。
「まあ! 呉で戦艦なんて!? ロマンね!」
「いや、ロマンで片付けてええ話やないと思うけど……」
また、次の戦略計画の通達もあった。
櫻小隊はG1とG2で部隊を分け、G1は山陰地方、G2は四国地方を攻略することになったのだ。
「四国かぁ。うどん?」
と口に出した瞬間、絵理奈に軽く肘で小突かれた。
翌日から、尾道を出発。電動トラックで今治まで移動するという。
しまなみ海道の橋は奇跡的に破壊を免れており、移動中もヘイトの攻撃はなく、
穏やかなドライブが続いた。
道中、大三島に差しかかった瞬間――
「わぁぁぁぁ!!レモンだぁぁ!!!」
一番に叫んだのは沙羅だった。
見渡す限り、黄色、黄色、黄色。レモン畑が波みたいに広がっている。
そして沙羅が突然――
「れもーーーん!!」
って、両目を寄せて、口を横に引き延ばす、とんでもない変顔を披露した。
一瞬の沈黙。
次の瞬間、噴き出したのは莉乃だった。
「ちょ、ちょっと沙羅!その顔、夢に出る!」
「え、工場の煙突意識したんやけど」
「どこが!?」
さらに沙羅はレモンを一つ手に取ると、真剣な顔で言い放つ。
「これはね、投げると爆発するんですよ」
「しません!」
「じゃあかじると透明になります」
「ならへん!」
もう完全にレモン一本漫才。
気づけば、美和子も笑いすぎてお腹が痛くなっていた。
そんなこんなで、平和に今治へ到着。
夜はキャンプ。たき火を囲みながら、今日の出来事を思い返す。
沙羅はまた焚き火の前で、
「レモンは火に入れると……」
と言いかけて、莉乃に止められていた。
「沙羅、食材で遊ばない」
「はーい……」
しょんぼりしたかと思えば、次の瞬間、また変顔。
結局、その夜も、
変な顔、意味不明なボケ、的外れな例え話に振り回されながら、
気づけば夜は更けていった。
戦争中なのに。
明日にはまた前線に出るのに。
それでも――
こんな時間があるから、うちらは前に進めるんだと思う。
レモン畑の黄色と、沙羅の変顔を思い出しながら、
私は焚き火の音を聞いていた。
■□■□■□特殊能力解説■□■□■□
沙羅(さら)
特殊能力:工場夜景(コンビナート)
工場夜景は、揺れるオレンジ色の灯りを伴う巨大な構造体フィールドを展開する能力だ。
鉄骨、配管、足場、影――それらが入り組み、戦場は一瞬で迷路へと変わる。
この空間では敵の判断力が奪われ、方向感覚は狂い、攻撃は空振りを重ねる。
一方で沙羅は、すべてを把握しているかのように自由に動く。
彼女は直接倒すことを目的としない。
迷わせ、疲弊させ、心を折る。それが工場夜景の本質だ。
メイスの一撃は、追い詰められた相手にだけ落とされる“最後の合図”。
明るく不思議で天才的――そのキャラクターそのままに、能力もまた予測不能。
工場夜景は、防衛であり、罠であり、そして沙羅の遊び心が生み出した戦術芸術である。
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