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シェードカオン
偽りの悼み
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鋭い気合とともに、斬撃が走った。
周囲においてあった八体のダミーが芯の鋼鉄ごと斬りおとされる。
息を吐いて、スワロウは剣を鞘に戻した。
やっと剣が手に馴染んだ。退院して初めて剣を持ったときは、慣れ親しんだはずの剣を重く感じた。
感嘆のどよめきがおき、軽い拍手が起きた。
『サザンクロス』の人間はそのほとんどが何らかの戦闘のプロだが、その眼から見てもスワロスのそれは見事だった。
「お見事、お見事。だいぶ勘が戻ったんじゃない?」
笑いながら言うリッパーに、スワロウは肩越しの一瞥を向けた。
「そうだな……」
入院中に鈍った体と勘を取り戻すのに結構かかったが、やっと以前と同じように動けるようになった。
薬ももう飲まなくていいと、言われている。
『グランティア』の襲撃で、多くの構成員が傷ついたり死んだりした。
特に幹部であるヴィオとマリオネットの死は、大きかった。新たに人員を増やし、入院中の幹部の穴を埋めるのはクロスが尽力したという。
以前からの検案であった文官──政治向きのことをやる人員を雇い入れたのも、このころだ。一部変貌したものの、『サザンクロス』は残り、外のコネクションに付け入る隙を与えなかったのは、クロスの采配のおかげだ。
ギルバートの方も、連れて行ったのは『グランティア』だけで、それ以外のものは連れて行かなかったため、表向きには何も無かったかのように、運営されているらしい。
ただ、ギルバートの代わりに№Ⅱだったものが采配を振るっている。
『サザンクロス』と『グランティア』の件は、不問に付されているが、知っているものは知っている。それがこの先どう転ぶか、スワロウは不安だった。
いざというときは、再びクロスの盾になるくらいの覚悟はある。
「どうして、何の罰も与えないのですか! あいつが、あの子を殺したのは、皆が知っていることでしょう!」
ボスの正妻エレオノーラの叫びが響いた。
大ボスは応えず、苦い顔をする。
代わりに口を開いたのは、長男のエドワードだった。
「お母さん、クロスがギルを殺したといいますが、どこで、どう殺したのか、説明できますか?」
エレオノーラがエドワードを睨みつけた。
「エドワード! あなたは、自分の弟を殺した男をかばうというの!!」
弟に比べてやや恰幅のいい長男は眉も動かさず続けた。
「クロス・ノーマンは、ギルがいなくなった以前からコトウにいました。そして、謎の組織に襲撃されて多大な被害を出しましたが、コトウを守りきり、コードジュエルに戻っています。それは正式に記録されてます」
ここでいったんエドワードは言葉を切り、顔をしかめた。
「その間に、クロスがギルを殺したとすれば、その組織が『グランティア』だったことになります。なぜ『グランティア』が、同じコネクションである『サザンクロス』を襲わなければならないのですか?」
「それは……」
エレオノーラは口ごもった。
「それはあってはならないことです。大ボスの直系のものが組織を裏切ったということです」
エドワードは難しい顔をして首を振った。
へらっと笑いつつ、アレクサンダーが言葉を添えた。
「裏切り者は、家族ごと粛清。それを認めちゃったら、エリシア義姉さんと、リリアちゃんも粛清しなきゃならないんですよ、お母さん。そんなの、可哀想でしょう? 無かったことにしなきゃならないんですよ」
「あの男のしたことを不問にするというの!」
ヒステリックに騒ぐ母親に、アレクサンダーは子供をなだめる口調になった。
「あのね、お母さん、不問もなにも、クロスは襲ってきた相手を撃退しただけなんですよ。事実を認めても、クロスを罪に問うわけにはいかないんです」
そんなことも分からないのかと、アレクサンダーは母親を哀れんだ。子供のころは何でも知っている賢い母親だと思い込んでいたが、自身が成長すると粗が見えてくる。さびしいことだと心の端で思った。
「むしろ、他のコネクションの奴に唆されて身内を襲ったギル兄さんの行動こそが問題視され、スキャンダルになりますよ。理由もなしに身内を襲撃するなんて、何を考えていたんだか」
事実を知られれば、ギルバート・マドゥの名は地に落ちる。今のところそれを知っているのは、ある程度事情を分かってくれる重鎮達だけだが、下っ端の間で広まれば、コネクション自体の根幹を揺るがすことになりかねない。
「むしろ、兄さんの名誉と、二人の命を救うため、沈黙してくれてるわけで……怨む理由なんて、思い当たりませんね」
「アレク! おまえは、おまえは!」
わなわなと震えるエレオノーラに、エドワードはいちおう釘を刺すことにした。
「お母さん、ギルバートを殺されたことは不愉快に思いますよ。しかし、非がクロスに無い以上、アレクの言ったとおりクロスを罰するわけにはいかないのです。何よりも、『サザンクロス』を襲ったのが『グランティア』だという事実は隠さなければならないのです。エリシアとリリアのためにも」
ここでエドワードはいったん言葉を切った。
「まさか、大声で宣伝して回るおつもりではないでしょうね? ギルバート・マドゥはわけも無く身内を襲い、返り討ちにあって死んだなどと。そんなことになれば、二人の命を貰わなければならなくなります」
「エドワード! そんな! あの子達を死なせるわけには」
可愛い孫の命がかかってると知ると、エレオノーラはうろたえた。
「そのとおりです。可愛い義妹と姪を守るためにも、無かったことにしなければならないのです。分かりましたね、お母さん」
「そうね……組織のためにも……」
やっとエレオノーラが諦めて、エドワードはほっとした。
実際のところ、エドワードが一番不愉快なのは、ギルバートの行動自体だった。
誰に唆されたのか知らないが、『グランティア』と『サザンクロス』双方にダメージを与えた弟の軽率な行為は許しがたい。『グランティア』はギルバートの私兵ではなく、組織の一部だ。人員を集め、装備を整えるのも元手がかかっている。外に対する大事な壁であった。
それをたかが個人の感情で壊滅させざるを得なくしたギルバートは、弟といえど、許しがたい。生きていれば、自分の手で処刑したいくらいだ。
だが、母親の手前、死を悼んでいるふりをした。
そうでなければ、誰彼かまわず大声で事実を喚き散らしかねない。それによる組織のダメージなど考えもしないだろう。
これだから、嫉妬に狂った女というのは扱いにくい、とエドワードは母親を見下した。
「エレオノーラ、もう休んだほうがいい。ギルのことで、疲れているじゃろう」
それまで沈黙していた五代目──アルフレッド・マドゥは妻にねぎらいの言葉をかけた。
「……そうしますわ、わたくし、疲れているようです」
エレオノーラが下がった後、その場にはやっと落ち着いた空気が流れた。
「あれで納得してくれたでしょうかね?」
アレクサンダーが肩をすくめた。
エドワードが底光りのする眼で応えた。
「無理だろうな、しかし、黙っていてはくれるだろう」
そんな二人の態度を見て五代目は息をはいた。
「お前達がクロスの立場を理解してくれているようで、安心した」
二人がクロスを罰しなければならないと主張していたら、それを押さえ込むのは大ボスの役割だった。
「お父さん、なにもクロス・ノーマンをかばったのではありませんよ。当然のことを言ったまでです」
「問題は、この後ですよねぇ。お父さん、兄さんのこと、いつまで行方不明にしておくつもりですかぁ?」
五代目は重い息を吐き出した。
「ギルバートは帰ってはこない」
「わかってますよぉ。でもね、いつまでも行方不明にしておくわけにはいかないでしょう? そろそろ、下っ端の間で色々な噂が立っていますよ。どうします?」
死んだものは帰ってこない。それは当然として、対策を講じなければならないことは山積みだ。
「『グライティア』に代わる、組織の盾を作らなければなりません」
「ですからぁ、なんとかこじつけて、『グランティア』の全滅と、兄さんの死を発表するべきでしょう。馬鹿正直に事実を発表しろとは言いませんよぉ。対抗組織にでも泥被ってもらって、正式に損失を認め、後釜を用意するべきだと言っているんですよ」
「そうだな……」
いつまでも曖昧なままにしておくわけにはいかないものもある。
「ギルバートは『グランティア』ともども姦計にはまり、死亡したとでも発表するか」
唆されたというのは、姦計にはまったと解釈することも出来る。そのくらいの泥は被ってもらっても罰は当たらない。
「エリシアをギルバートの未亡人として飾りのボスにして、後見人をつけましょう。そして、『グランティア』に代わる組織を結成するのです」
エドワードは無難な線を選んだつもりだったが、アレクサンダーは難しい顔をした。
「そうなると、義姉さんの身の振り方も問題ですねぇ」
「なぜだ? エリシアが嫌がるとでも」
「そうじゃありませんよ。義姉さんが遺産を相続すると考えるとですね、義姉さんを手に入れれば、それを自分のものに出来ると考えるものが必ずでてくるということですよ」
「それは……考えなかったな……」
組織内でのギルバートの地位は、本人には不満だったようだが、マドゥの名を持たないものにとってはかなりのものだ。
その後釜を狙うものが出てきても不思議ではない。後釜に座る近道として、未亡人となったエリシアを手なずけようとするものもいるだろう。エリシアの新たな配偶者となるものは、そのままギルバートの地位に座る。うかつな相手を選ばれても困るのだ。
「女を手に入れるには、力ずくって奴もいますしね。しっかりした後見人をつけるか──あるいは──」
アレクサンダーはその続きを口にはしなかった。
さすがに兄の未亡人に、こちらで相手を見繕うというのは、不謹慎だと思ったからだった。
その夜、スワロウの部屋の鍵を勝手に開けて入ってきたのは、予想通りクロスだった。
スワロウはとっさに手にしてしまった剣をベッドの傍らに置いた。
合鍵を持っているとはいえ、勝手に入って欲しくない、と心の中で思うスワロウだった。最初のころは思わず剣を抜いてしまっていた。
「そう嫌そうな顔をするな」
ベッドに勝手に上がってくるクロスに、無駄だと思いながらスワロウは文句を言った。
「前にも言ったが……無断で入ってくると、敵と勘違いする。斬られたくなかったら、ノックくらいしろ」
「物騒な奴だ」
クロスが苦笑する。以前、後ろから抱きついたときに、鳩尾に肘を入れられたことがあったからだ。
スワロウに悪意があったわけではないが、戦闘のプロとしての習性が染み付いている。取り扱いには注意しなければならない。
それ以来クロスも、いきなりスワロウの後ろには立たないようにしている。
クロスがスワロウのあごを捉えて唇を重ねた。当然のようにされるその行為にスワロウ応えた。口腔内に入り込んだそれに舌をからめ、唇をすりあわす。
いつの間にか、ボタンをはずそうとしていたクロスから、それを奪い返した。
「なんだ?」
「自分で脱ぐ。女と同じようにするなよ」
脱がされるのは、自分が女にでもなったような気がして、嫌だった。
「そうか」
こだわりは無い様で、そこら辺は好きなようにさせてくれる。
衣服を脱ぎ落したクロスが改めてのしかかってくる。
「飛燕……」
スワロウ──飛燕の背に甘い痺れが走った。クロスは二人だけのとき──抱くときに本名で呼ぶ。
与えられる愛撫よりも、求められていると示すそれが体の芯を蕩けさせる。
「痕を……残すなよ」
抗議にもかかわらず、肌に印を刻み、貪るように愛撫を繰り返す。拒絶する心とは裏腹に、それは快感を呼び起こしていく。
甘ったるい喘ぎが押し殺そうとしてももれてしまう。体を二つに折られ、クロスが押し入ってきた。
「ああっ! は……うっ」
慣れることなど出来ないと思っていた受け入れるという行為に、信じたくはなかったが、飛燕は快楽を感じていた。その事実を受け入れるのは、葛藤があった。
「なんだ、媚薬がなくても、感じてるのか。随分慣れたな」
クロスの言葉に羞恥を覚えたが、事実だった。
今までは、体の自由を奪われていたから、媚薬を使われていたからという言い訳を自分自身にしてきたのだろう。
だが、もうそれは通用しない。
受け入れるしかないのだ。
「誰……のせい……だよ」
「俺だよ。馴染んだな」
クロスが動きを早くした。
「あっあ、くふっ」
クロスが与える悦楽に羞恥も意地も忘れ、快楽に酔った。
浴室から聞こえる水音を聞きながら、スワロウはぼんやりとサイドテーブルの、吸殻が一つ残された灰皿を見ていた。
スワロウは煙草を吸わない。
これは、クロスのためのものだった。
気がつけば、部屋にはクロスのものが増えていた。スワロウの使わないタオル。クロスの好みのウイスキー。
他にも細々とした生活必需品。
逆にクロスの部屋にも、スワロウのものが行ったままになっているものもある。
部屋を分けている意味がなくなりそうだ。
三日と日をあけず互いの部屋に行っていれば、こうもなる。
不本意だが、そんな関係に慣れてきている。
だが、スワロウの記憶では、ここまでクロスが誰か──女──に入れ込んだことは無かったような気がする。
遊びはするが、ほどほどだったように記憶していた。
浴室の扉が開いて、クロスが出てきた。スワロウのものではないバスローブを着ている。ベッドに腰を下ろしながら、何気なく言った。
「本家から、通達があった」
スワロウの瞳に厳しい光が宿った。
「なんと?」
「二番目の葬式をするから出席しろとさ」
二番目──ギルバート・マドゥの死亡は本物だ。クロスがその手で射殺し、死体は跡形も無く片付けた。
公には行方不明になっているが、顛末はある程度の情報通なら皆知っている。
殺した本人に葬式に出ろとは、何のつもりかとスワロウは思った。
そうでなくとも、本家はクロスがシェードカオンに近づくことを嫌がる。本来なら、ある程度の祝い事には呼ばれている身分だが、見事なまでに無視している。
事情が事情だけに仕方ないとは思う。
そのクロスを呼びつける理由は──ひとつしか思い当たらなかった。
「ギルバート・マドゥは敵対するコネクションの姦計に嵌り拉致され、『グランティア』はその救出に失敗し、全滅。ギルバートも死亡が確認された──」
「ということにしたわけか?」
「いいかげん、何らかの公式発表をしなければならない次期だろうな」
クロスが苦笑してスワロウの頬に触れた。
「そう、殺気立った顔をするな」
「分かっているのか? 公式発表がどうあれ、あんたが二番目を殺したことは、皆知っている。それを呼びつけるということは──あっ!」
微妙なところに触れられて、スワロウはすくみあがった。
「俺がいままで行事に呼ばれなかったことの方がおかしいんだよ。さすがに、大ボスの身内の葬式には呼ばれた。それだけだ」
スワロウの肌に舌を這わせながら、クロスが言った。
シェードカオンはいわばマドゥの本拠地だ。本家がクロスを抹殺しようとしているのなら、これ以上の場所は無い。全てが敵に回る。
「それは、あんたと顔をあわせないようにして───あっ!……痕を……つけるなと……んっ」
クロスはスワロウの肌に痕をつけることを好む。強く吸い上げ、紅い鬱血の印を残す。肌に残るそれは、今日つけられたものだけではない。
スワロウが嫌がることを分かっていて、所有の印だと言わんばかりに、痕跡を刻み付ける。
嫌がって頭を押しのけようとするスワロウの手を押さえつけながら、クロスは囁いた。
「分かっている。だが、欠席するわけにもいかんのでな。護衛を連れて行くくらいは許されている。おまえも連れて行く」
「いいのか?」
スワロウの表情が、物騒な人間凶器のそれになる。
「おまえ以上の手誰はおらんのでな。留守はリッパーに任せる」
クロスをのぞけば、一番の手誰が自分であることはスワロウにも分かっている。
いざというときは、身を挺してもクロスを逃がすつもりだった。
「分かった……うっん……やめ……」
クロスのそれが戯れではないことにスワロウは気づいた。今までは三日とあけずに来ていても、一度で済ませていた。
「待てよ……んっ……何で今日に限って……」
「体調が戻ったらしいからな、手加減はいらんだろう?」
クロスがどこから情報を仕入れてきたかは、嫌というほど心当たりがあった。
「手加減って……加減……してたのかよ」
「してたさ」
本人以上に知り尽くした指が、感じやすくなっている肌を這い回り、快楽を呼び起こしていく。
「嫌じゃないだろう?」
耳元で囁かれ、羞恥にスワロウは顔を赤らめた。クロスの手の中に、隠しようの無い印を押さえられていたからだ。
「馬鹿野朗!」
照れ隠しの罵倒にさえ、眼を細め、クロスはスワロウの唇を貪った。
我ながら救いがたいとは思うのだが、クロスがそそられるのは、殺気立った刃のような光を目に宿した顔だ。白刃のように、触れれば切れるようなその表情をクロスは愛する。
付き合ってみると、スワロウの中には強固な観念があった。
以前から性的には淡白な方だと思っていたが、少し違うらしい。
たとえ皆に知られていても、人前ではそれをあからさまにされるのを嫌う。感じていても、そうと知られるのを嫌がる。性的なことは徹底的に隠そうとする。
スワロウがそうして隠そうとすれば、するほど、暴き立てたくなる。
嫌がってしかめる顔も、恥ずかしがる顔も、嫌いではない。なによりも、隠しようも無いほどに感じさせて、快楽に酔う表情は極上だ。どれほど嫌がられようと、引き出したくなる。
ここまで執着した相手はいなかった。
女達は誰でもよかった。ひとときの欲望のはけ口にしてきただけなのだと、今なら分かる。
まだ潤いを枯らしていなかったそこは楽にクロスを受け入れた。声を上げて、しなやかにのけぞる肢体。それはなによりも甘かった。
クロスは望みのものを引き出すために、行為に没頭した。
周囲においてあった八体のダミーが芯の鋼鉄ごと斬りおとされる。
息を吐いて、スワロウは剣を鞘に戻した。
やっと剣が手に馴染んだ。退院して初めて剣を持ったときは、慣れ親しんだはずの剣を重く感じた。
感嘆のどよめきがおき、軽い拍手が起きた。
『サザンクロス』の人間はそのほとんどが何らかの戦闘のプロだが、その眼から見てもスワロスのそれは見事だった。
「お見事、お見事。だいぶ勘が戻ったんじゃない?」
笑いながら言うリッパーに、スワロウは肩越しの一瞥を向けた。
「そうだな……」
入院中に鈍った体と勘を取り戻すのに結構かかったが、やっと以前と同じように動けるようになった。
薬ももう飲まなくていいと、言われている。
『グランティア』の襲撃で、多くの構成員が傷ついたり死んだりした。
特に幹部であるヴィオとマリオネットの死は、大きかった。新たに人員を増やし、入院中の幹部の穴を埋めるのはクロスが尽力したという。
以前からの検案であった文官──政治向きのことをやる人員を雇い入れたのも、このころだ。一部変貌したものの、『サザンクロス』は残り、外のコネクションに付け入る隙を与えなかったのは、クロスの采配のおかげだ。
ギルバートの方も、連れて行ったのは『グランティア』だけで、それ以外のものは連れて行かなかったため、表向きには何も無かったかのように、運営されているらしい。
ただ、ギルバートの代わりに№Ⅱだったものが采配を振るっている。
『サザンクロス』と『グランティア』の件は、不問に付されているが、知っているものは知っている。それがこの先どう転ぶか、スワロウは不安だった。
いざというときは、再びクロスの盾になるくらいの覚悟はある。
「どうして、何の罰も与えないのですか! あいつが、あの子を殺したのは、皆が知っていることでしょう!」
ボスの正妻エレオノーラの叫びが響いた。
大ボスは応えず、苦い顔をする。
代わりに口を開いたのは、長男のエドワードだった。
「お母さん、クロスがギルを殺したといいますが、どこで、どう殺したのか、説明できますか?」
エレオノーラがエドワードを睨みつけた。
「エドワード! あなたは、自分の弟を殺した男をかばうというの!!」
弟に比べてやや恰幅のいい長男は眉も動かさず続けた。
「クロス・ノーマンは、ギルがいなくなった以前からコトウにいました。そして、謎の組織に襲撃されて多大な被害を出しましたが、コトウを守りきり、コードジュエルに戻っています。それは正式に記録されてます」
ここでいったんエドワードは言葉を切り、顔をしかめた。
「その間に、クロスがギルを殺したとすれば、その組織が『グランティア』だったことになります。なぜ『グランティア』が、同じコネクションである『サザンクロス』を襲わなければならないのですか?」
「それは……」
エレオノーラは口ごもった。
「それはあってはならないことです。大ボスの直系のものが組織を裏切ったということです」
エドワードは難しい顔をして首を振った。
へらっと笑いつつ、アレクサンダーが言葉を添えた。
「裏切り者は、家族ごと粛清。それを認めちゃったら、エリシア義姉さんと、リリアちゃんも粛清しなきゃならないんですよ、お母さん。そんなの、可哀想でしょう? 無かったことにしなきゃならないんですよ」
「あの男のしたことを不問にするというの!」
ヒステリックに騒ぐ母親に、アレクサンダーは子供をなだめる口調になった。
「あのね、お母さん、不問もなにも、クロスは襲ってきた相手を撃退しただけなんですよ。事実を認めても、クロスを罪に問うわけにはいかないんです」
そんなことも分からないのかと、アレクサンダーは母親を哀れんだ。子供のころは何でも知っている賢い母親だと思い込んでいたが、自身が成長すると粗が見えてくる。さびしいことだと心の端で思った。
「むしろ、他のコネクションの奴に唆されて身内を襲ったギル兄さんの行動こそが問題視され、スキャンダルになりますよ。理由もなしに身内を襲撃するなんて、何を考えていたんだか」
事実を知られれば、ギルバート・マドゥの名は地に落ちる。今のところそれを知っているのは、ある程度事情を分かってくれる重鎮達だけだが、下っ端の間で広まれば、コネクション自体の根幹を揺るがすことになりかねない。
「むしろ、兄さんの名誉と、二人の命を救うため、沈黙してくれてるわけで……怨む理由なんて、思い当たりませんね」
「アレク! おまえは、おまえは!」
わなわなと震えるエレオノーラに、エドワードはいちおう釘を刺すことにした。
「お母さん、ギルバートを殺されたことは不愉快に思いますよ。しかし、非がクロスに無い以上、アレクの言ったとおりクロスを罰するわけにはいかないのです。何よりも、『サザンクロス』を襲ったのが『グランティア』だという事実は隠さなければならないのです。エリシアとリリアのためにも」
ここでエドワードはいったん言葉を切った。
「まさか、大声で宣伝して回るおつもりではないでしょうね? ギルバート・マドゥはわけも無く身内を襲い、返り討ちにあって死んだなどと。そんなことになれば、二人の命を貰わなければならなくなります」
「エドワード! そんな! あの子達を死なせるわけには」
可愛い孫の命がかかってると知ると、エレオノーラはうろたえた。
「そのとおりです。可愛い義妹と姪を守るためにも、無かったことにしなければならないのです。分かりましたね、お母さん」
「そうね……組織のためにも……」
やっとエレオノーラが諦めて、エドワードはほっとした。
実際のところ、エドワードが一番不愉快なのは、ギルバートの行動自体だった。
誰に唆されたのか知らないが、『グランティア』と『サザンクロス』双方にダメージを与えた弟の軽率な行為は許しがたい。『グランティア』はギルバートの私兵ではなく、組織の一部だ。人員を集め、装備を整えるのも元手がかかっている。外に対する大事な壁であった。
それをたかが個人の感情で壊滅させざるを得なくしたギルバートは、弟といえど、許しがたい。生きていれば、自分の手で処刑したいくらいだ。
だが、母親の手前、死を悼んでいるふりをした。
そうでなければ、誰彼かまわず大声で事実を喚き散らしかねない。それによる組織のダメージなど考えもしないだろう。
これだから、嫉妬に狂った女というのは扱いにくい、とエドワードは母親を見下した。
「エレオノーラ、もう休んだほうがいい。ギルのことで、疲れているじゃろう」
それまで沈黙していた五代目──アルフレッド・マドゥは妻にねぎらいの言葉をかけた。
「……そうしますわ、わたくし、疲れているようです」
エレオノーラが下がった後、その場にはやっと落ち着いた空気が流れた。
「あれで納得してくれたでしょうかね?」
アレクサンダーが肩をすくめた。
エドワードが底光りのする眼で応えた。
「無理だろうな、しかし、黙っていてはくれるだろう」
そんな二人の態度を見て五代目は息をはいた。
「お前達がクロスの立場を理解してくれているようで、安心した」
二人がクロスを罰しなければならないと主張していたら、それを押さえ込むのは大ボスの役割だった。
「お父さん、なにもクロス・ノーマンをかばったのではありませんよ。当然のことを言ったまでです」
「問題は、この後ですよねぇ。お父さん、兄さんのこと、いつまで行方不明にしておくつもりですかぁ?」
五代目は重い息を吐き出した。
「ギルバートは帰ってはこない」
「わかってますよぉ。でもね、いつまでも行方不明にしておくわけにはいかないでしょう? そろそろ、下っ端の間で色々な噂が立っていますよ。どうします?」
死んだものは帰ってこない。それは当然として、対策を講じなければならないことは山積みだ。
「『グライティア』に代わる、組織の盾を作らなければなりません」
「ですからぁ、なんとかこじつけて、『グランティア』の全滅と、兄さんの死を発表するべきでしょう。馬鹿正直に事実を発表しろとは言いませんよぉ。対抗組織にでも泥被ってもらって、正式に損失を認め、後釜を用意するべきだと言っているんですよ」
「そうだな……」
いつまでも曖昧なままにしておくわけにはいかないものもある。
「ギルバートは『グランティア』ともども姦計にはまり、死亡したとでも発表するか」
唆されたというのは、姦計にはまったと解釈することも出来る。そのくらいの泥は被ってもらっても罰は当たらない。
「エリシアをギルバートの未亡人として飾りのボスにして、後見人をつけましょう。そして、『グランティア』に代わる組織を結成するのです」
エドワードは無難な線を選んだつもりだったが、アレクサンダーは難しい顔をした。
「そうなると、義姉さんの身の振り方も問題ですねぇ」
「なぜだ? エリシアが嫌がるとでも」
「そうじゃありませんよ。義姉さんが遺産を相続すると考えるとですね、義姉さんを手に入れれば、それを自分のものに出来ると考えるものが必ずでてくるということですよ」
「それは……考えなかったな……」
組織内でのギルバートの地位は、本人には不満だったようだが、マドゥの名を持たないものにとってはかなりのものだ。
その後釜を狙うものが出てきても不思議ではない。後釜に座る近道として、未亡人となったエリシアを手なずけようとするものもいるだろう。エリシアの新たな配偶者となるものは、そのままギルバートの地位に座る。うかつな相手を選ばれても困るのだ。
「女を手に入れるには、力ずくって奴もいますしね。しっかりした後見人をつけるか──あるいは──」
アレクサンダーはその続きを口にはしなかった。
さすがに兄の未亡人に、こちらで相手を見繕うというのは、不謹慎だと思ったからだった。
その夜、スワロウの部屋の鍵を勝手に開けて入ってきたのは、予想通りクロスだった。
スワロウはとっさに手にしてしまった剣をベッドの傍らに置いた。
合鍵を持っているとはいえ、勝手に入って欲しくない、と心の中で思うスワロウだった。最初のころは思わず剣を抜いてしまっていた。
「そう嫌そうな顔をするな」
ベッドに勝手に上がってくるクロスに、無駄だと思いながらスワロウは文句を言った。
「前にも言ったが……無断で入ってくると、敵と勘違いする。斬られたくなかったら、ノックくらいしろ」
「物騒な奴だ」
クロスが苦笑する。以前、後ろから抱きついたときに、鳩尾に肘を入れられたことがあったからだ。
スワロウに悪意があったわけではないが、戦闘のプロとしての習性が染み付いている。取り扱いには注意しなければならない。
それ以来クロスも、いきなりスワロウの後ろには立たないようにしている。
クロスがスワロウのあごを捉えて唇を重ねた。当然のようにされるその行為にスワロウ応えた。口腔内に入り込んだそれに舌をからめ、唇をすりあわす。
いつの間にか、ボタンをはずそうとしていたクロスから、それを奪い返した。
「なんだ?」
「自分で脱ぐ。女と同じようにするなよ」
脱がされるのは、自分が女にでもなったような気がして、嫌だった。
「そうか」
こだわりは無い様で、そこら辺は好きなようにさせてくれる。
衣服を脱ぎ落したクロスが改めてのしかかってくる。
「飛燕……」
スワロウ──飛燕の背に甘い痺れが走った。クロスは二人だけのとき──抱くときに本名で呼ぶ。
与えられる愛撫よりも、求められていると示すそれが体の芯を蕩けさせる。
「痕を……残すなよ」
抗議にもかかわらず、肌に印を刻み、貪るように愛撫を繰り返す。拒絶する心とは裏腹に、それは快感を呼び起こしていく。
甘ったるい喘ぎが押し殺そうとしてももれてしまう。体を二つに折られ、クロスが押し入ってきた。
「ああっ! は……うっ」
慣れることなど出来ないと思っていた受け入れるという行為に、信じたくはなかったが、飛燕は快楽を感じていた。その事実を受け入れるのは、葛藤があった。
「なんだ、媚薬がなくても、感じてるのか。随分慣れたな」
クロスの言葉に羞恥を覚えたが、事実だった。
今までは、体の自由を奪われていたから、媚薬を使われていたからという言い訳を自分自身にしてきたのだろう。
だが、もうそれは通用しない。
受け入れるしかないのだ。
「誰……のせい……だよ」
「俺だよ。馴染んだな」
クロスが動きを早くした。
「あっあ、くふっ」
クロスが与える悦楽に羞恥も意地も忘れ、快楽に酔った。
浴室から聞こえる水音を聞きながら、スワロウはぼんやりとサイドテーブルの、吸殻が一つ残された灰皿を見ていた。
スワロウは煙草を吸わない。
これは、クロスのためのものだった。
気がつけば、部屋にはクロスのものが増えていた。スワロウの使わないタオル。クロスの好みのウイスキー。
他にも細々とした生活必需品。
逆にクロスの部屋にも、スワロウのものが行ったままになっているものもある。
部屋を分けている意味がなくなりそうだ。
三日と日をあけず互いの部屋に行っていれば、こうもなる。
不本意だが、そんな関係に慣れてきている。
だが、スワロウの記憶では、ここまでクロスが誰か──女──に入れ込んだことは無かったような気がする。
遊びはするが、ほどほどだったように記憶していた。
浴室の扉が開いて、クロスが出てきた。スワロウのものではないバスローブを着ている。ベッドに腰を下ろしながら、何気なく言った。
「本家から、通達があった」
スワロウの瞳に厳しい光が宿った。
「なんと?」
「二番目の葬式をするから出席しろとさ」
二番目──ギルバート・マドゥの死亡は本物だ。クロスがその手で射殺し、死体は跡形も無く片付けた。
公には行方不明になっているが、顛末はある程度の情報通なら皆知っている。
殺した本人に葬式に出ろとは、何のつもりかとスワロウは思った。
そうでなくとも、本家はクロスがシェードカオンに近づくことを嫌がる。本来なら、ある程度の祝い事には呼ばれている身分だが、見事なまでに無視している。
事情が事情だけに仕方ないとは思う。
そのクロスを呼びつける理由は──ひとつしか思い当たらなかった。
「ギルバート・マドゥは敵対するコネクションの姦計に嵌り拉致され、『グランティア』はその救出に失敗し、全滅。ギルバートも死亡が確認された──」
「ということにしたわけか?」
「いいかげん、何らかの公式発表をしなければならない次期だろうな」
クロスが苦笑してスワロウの頬に触れた。
「そう、殺気立った顔をするな」
「分かっているのか? 公式発表がどうあれ、あんたが二番目を殺したことは、皆知っている。それを呼びつけるということは──あっ!」
微妙なところに触れられて、スワロウはすくみあがった。
「俺がいままで行事に呼ばれなかったことの方がおかしいんだよ。さすがに、大ボスの身内の葬式には呼ばれた。それだけだ」
スワロウの肌に舌を這わせながら、クロスが言った。
シェードカオンはいわばマドゥの本拠地だ。本家がクロスを抹殺しようとしているのなら、これ以上の場所は無い。全てが敵に回る。
「それは、あんたと顔をあわせないようにして───あっ!……痕を……つけるなと……んっ」
クロスはスワロウの肌に痕をつけることを好む。強く吸い上げ、紅い鬱血の印を残す。肌に残るそれは、今日つけられたものだけではない。
スワロウが嫌がることを分かっていて、所有の印だと言わんばかりに、痕跡を刻み付ける。
嫌がって頭を押しのけようとするスワロウの手を押さえつけながら、クロスは囁いた。
「分かっている。だが、欠席するわけにもいかんのでな。護衛を連れて行くくらいは許されている。おまえも連れて行く」
「いいのか?」
スワロウの表情が、物騒な人間凶器のそれになる。
「おまえ以上の手誰はおらんのでな。留守はリッパーに任せる」
クロスをのぞけば、一番の手誰が自分であることはスワロウにも分かっている。
いざというときは、身を挺してもクロスを逃がすつもりだった。
「分かった……うっん……やめ……」
クロスのそれが戯れではないことにスワロウは気づいた。今までは三日とあけずに来ていても、一度で済ませていた。
「待てよ……んっ……何で今日に限って……」
「体調が戻ったらしいからな、手加減はいらんだろう?」
クロスがどこから情報を仕入れてきたかは、嫌というほど心当たりがあった。
「手加減って……加減……してたのかよ」
「してたさ」
本人以上に知り尽くした指が、感じやすくなっている肌を這い回り、快楽を呼び起こしていく。
「嫌じゃないだろう?」
耳元で囁かれ、羞恥にスワロウは顔を赤らめた。クロスの手の中に、隠しようの無い印を押さえられていたからだ。
「馬鹿野朗!」
照れ隠しの罵倒にさえ、眼を細め、クロスはスワロウの唇を貪った。
我ながら救いがたいとは思うのだが、クロスがそそられるのは、殺気立った刃のような光を目に宿した顔だ。白刃のように、触れれば切れるようなその表情をクロスは愛する。
付き合ってみると、スワロウの中には強固な観念があった。
以前から性的には淡白な方だと思っていたが、少し違うらしい。
たとえ皆に知られていても、人前ではそれをあからさまにされるのを嫌う。感じていても、そうと知られるのを嫌がる。性的なことは徹底的に隠そうとする。
スワロウがそうして隠そうとすれば、するほど、暴き立てたくなる。
嫌がってしかめる顔も、恥ずかしがる顔も、嫌いではない。なによりも、隠しようも無いほどに感じさせて、快楽に酔う表情は極上だ。どれほど嫌がられようと、引き出したくなる。
ここまで執着した相手はいなかった。
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まだ潤いを枯らしていなかったそこは楽にクロスを受け入れた。声を上げて、しなやかにのけぞる肢体。それはなによりも甘かった。
クロスは望みのものを引き出すために、行為に没頭した。
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