虐待と闇と幸福

千夜 すう

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学生編

第4話

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大学進学する為の学費は、ずっと頑張ってきた新聞配達と高校3年間のバイトのお金で賄った。

高校の時に費やした勉強を無駄にすることは無く、国公立の大学に受かった。

大学に進学してからも、気を緩めずに高校と変わらずにバイトを続けて、両親に期待せず、頼らずに学費を稼ぎながら、その他の時間を大学を卒業する為の単位をしっかり取って勉学に励んだ。
 
沢山の本を持った、老人の男性を見かけて声をかけた。

「教授、手伝います」
 
「ありがとうございます。君は、他の生徒と比べると珍しい位に真面目に授業を受けてる子だね」  


私が手伝ってるこの人の授業は、ちゃんと勉強を怠らない人にとっては、分かりやすくて、合間に挟むユニークのある例え話が知識として役になって、お気に入りの教授である。

「大学に来たからには沢山の事を学びたいんです」
  
い事だ。1つ、気になる事があるんだが」

「何か気に障った事を」
   
慌てて、被せるように否定をされた。

「違うよ。ただ...。」

少し唸った教授の姿は珍しい物だ。

「1つの質問をしたい。答えたくなかったから、この話は終わりにしよう。君は何故、こんなにも必死に勉強するんだ?」

「勉強が好きなので」

うんと頷かれて

「それは、そうだろう。否定はしない。必死さが他の生徒には無い、狂気に見える瞬間がある」

「狂気ですか?」

「学においての狂気を持ってる私達みたいな人種に似てるが、特有の変態性がない。私達は知識を得る事が全てなのだ。君の場合は、手段に見える」

手段...。

「人と関わる事を、おすすめするよ。」

「今は、そんな余裕がありません」
   
「いつ、余裕が出来るんだぃ?」

いつ?

あの家を抜け出したら   

「いつでも良い。ただ、余裕が出来たら休みなさい。遊びを覚えてみなさい。そしたら、人生が変わると思うよ」


私は教授の言葉を記憶の片隅に置いておく事にした。

在学中は、バイトを休まずに働いてきたから、卒業まで大学費用を両親に頼らず、奨学制度を利用せずに済んだ。

勉学も怠らずに、出席、課題、試験を手を抜かずに真面目に取り組んだ結果、首席合格からの首席卒業という、良い成績を残した。

就職には、在学中に有利になりそうな資格を片っ端から取っていた事で、無事に大手企業の内定を頂いた。




走馬灯のように駆け巡る。


複数のバイトを掛け持ちして時間が無い中で、大学の多くの課題をこなしながら、資格の勉強、頭がこんがらがるし大変だった。


大学の授業の課題が多く、資格勉強をするのが大変だった。

勿論、無理をして体調を崩す日もあった。

それでも、自分の体に鞭を打った。
 
卒業式、親が来るはずも無く、周りが卒業の日で賑わってる中、私は1人でお世話になった大学を見上げた。

私は、頑張ってきて良かったと心から思った。

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