3 / 10
3
しおりを挟む
運命なんて――!
きっと『ケイ』は、運命を信じたのだろう。けれども何も報われなかったと思う。今の自分は、その影に怯えている。
「離れ、て」
だから離れなくてはと怯える。運命なんて信じてないのに、惹きつけられる本能に抗えない。
「おいで」
「はっ、……あっ」
耳元に彼の声が響いている。目を瞑り、熱い呼気を吐き出した。吸い込んだ空気に、彼の匂いが混ざりくらくらする。
「君の名前は?」
「……っ、はぁ……あっ」
彼は啓介の胸元の社員証を見ると、表情を緩ませた。
「啓介。俺は宗弥、おいで」
「はっ……あっ……」
ガンガンと警鐘が鳴る。
ダメだ、この先は――知りたくない。
運命なんて信じていない……信じたいとも思わない。
けれども信じて叶わなかった夢が離れない。小さな欠片が集まり、思考の奥深くに形を成して居座っている。
夢か記憶か――その欠片が降ってくる。
「啓介、俺の番」
番。
オメガはアルファにうなじを噛まれると、本能が求め合い番になる。
朦朧とする意識の中、抱き上げられ運ばれる。その震動でさえも全身が歓喜し、昂ぶりが止まらない。下肢の屹立は勃ち上がり、後孔からは勝手にオメガ特有の粘液が滲んでいる。現状にも気付かぬまま、運ばれた部屋のソファーに横たえられる。覆い被さるように抱きしめられ、唇が重なり困惑する。けれども本能が歓喜して止まらない。
「ん……ん」
勝手に腕が動き、自分に覆い被さっている宗弥の背に回り、気付かぬままに縋る。わずかに開いた啓介の唇を割って、宗弥の舌が絡まる。水音が耳に響き、後孔がずくずくと疼いている。
「ん……ふっ……」
真新しいスーツは剥がれ、剥き出しになった小さな胸の尖りを摘ままれる。
「んんっ」
ビクンと大きくその体が跳ねると、ふっと息の漏れる空気を感じた。
番の喜びは番の喜び、番の悲しみは番の悲しみ。
宗弥の温かな空気を感じ困惑する。
違う、俺は……違う。
俺は運命なんて――!
「んんん――」
もう一方で性器を弄られ身じろぐが、宗弥の逞しい体が覆い被さり動けない。はっはっ、と熱い呼気を漏らしながら小刻みに震える。
「啓介」
「あっ! あ、あ――」
耳元に宗弥の声が響き、白濁が飛んだ。
「んぁ……はっ……ぁ……」
オメガとしてうなじを守るためのネックガードを外されると、ぶるりと身震いした。うなじに熱い呼気を感じ、ベロリと舐められる。
「番に」
「や、めて」
「何故?」
「お、れは、運命、なんて」
「何故?」
「運命なんて、ひぁっ」
後孔に指を這わされ挿入されると、びくびくと裸体が震えた。足を大きく開いている現状に泣きたくなるが、啓介の思いとは裏腹に、悶える快感に困惑する。
何だこれ、この感覚は……発情抑制剤は飲んでいるのに、何故こんなにも。
自分自身がわからない。けれども歓喜していることに気づくと、啓介は自分自身に嫌悪する。それなのに宗弥の背に回した自分の腕が離れない。
「綺麗だ」
「ひっ、や、めろっ」
態度とは裏腹な言葉が吐き出されるも、その背に回された腕には力が込められる。見越しているかのように、宗弥の手が蠢く。後孔には愛液が溢れ、それを絡めるように宗弥の長い指が挿入される。
「んふっ、う、……あっ」
「……」
無言で額に口づけられると、歓喜する本能に意識を奪われる。ゆっくりと進んでいく宗弥の指から与えられる刺激に身震いする
「挿入れるぞ」
「んあっ、待っ、待っ、……てっ」
「どうして?」
「いっ、あ、ぁっ、あ――」
ぐぐっとした圧迫感を感じたかと思うと、内壁を擦る感覚に背がしなる。ゆっくり挿入され、啓介の息が止まる。
「――……っ、ん、あっ……ぁ」
「覚えてる?」
その声が、何故だか夢に見た彼と重なり、耳に届く。
え?
瞑っていた目を開けると、優しげな瞳が自分を見つめて、夢の彼とリンクする。
そんなはずはない、けど……けど。
あの後のシーンがタブって見える。
優しげな眼差しが自分を捕らえて目を離せない。けれどもその表情に、夢の彼が重なって苦しい。
もし彼が、あの夢の彼がこの宗弥であれば――そう思うと苦しい。惨めな後を遂げたであろう自分を知っているのかと、ありもしない過去に混乱する。
「あっ……はっ……あっ」
「どうした?」
苦しげに眉をひそめた啓介を案じ、宗弥が頭を抱えるように抱きしめる。一層宗弥の匂いに包まれ、もっと苦しい。頭を振り、それを伝えようとするも伝わらず、もっともっと苦しい。
きっと『ケイ』は、運命を信じたのだろう。けれども何も報われなかったと思う。今の自分は、その影に怯えている。
「離れ、て」
だから離れなくてはと怯える。運命なんて信じてないのに、惹きつけられる本能に抗えない。
「おいで」
「はっ、……あっ」
耳元に彼の声が響いている。目を瞑り、熱い呼気を吐き出した。吸い込んだ空気に、彼の匂いが混ざりくらくらする。
「君の名前は?」
「……っ、はぁ……あっ」
彼は啓介の胸元の社員証を見ると、表情を緩ませた。
「啓介。俺は宗弥、おいで」
「はっ……あっ……」
ガンガンと警鐘が鳴る。
ダメだ、この先は――知りたくない。
運命なんて信じていない……信じたいとも思わない。
けれども信じて叶わなかった夢が離れない。小さな欠片が集まり、思考の奥深くに形を成して居座っている。
夢か記憶か――その欠片が降ってくる。
「啓介、俺の番」
番。
オメガはアルファにうなじを噛まれると、本能が求め合い番になる。
朦朧とする意識の中、抱き上げられ運ばれる。その震動でさえも全身が歓喜し、昂ぶりが止まらない。下肢の屹立は勃ち上がり、後孔からは勝手にオメガ特有の粘液が滲んでいる。現状にも気付かぬまま、運ばれた部屋のソファーに横たえられる。覆い被さるように抱きしめられ、唇が重なり困惑する。けれども本能が歓喜して止まらない。
「ん……ん」
勝手に腕が動き、自分に覆い被さっている宗弥の背に回り、気付かぬままに縋る。わずかに開いた啓介の唇を割って、宗弥の舌が絡まる。水音が耳に響き、後孔がずくずくと疼いている。
「ん……ふっ……」
真新しいスーツは剥がれ、剥き出しになった小さな胸の尖りを摘ままれる。
「んんっ」
ビクンと大きくその体が跳ねると、ふっと息の漏れる空気を感じた。
番の喜びは番の喜び、番の悲しみは番の悲しみ。
宗弥の温かな空気を感じ困惑する。
違う、俺は……違う。
俺は運命なんて――!
「んんん――」
もう一方で性器を弄られ身じろぐが、宗弥の逞しい体が覆い被さり動けない。はっはっ、と熱い呼気を漏らしながら小刻みに震える。
「啓介」
「あっ! あ、あ――」
耳元に宗弥の声が響き、白濁が飛んだ。
「んぁ……はっ……ぁ……」
オメガとしてうなじを守るためのネックガードを外されると、ぶるりと身震いした。うなじに熱い呼気を感じ、ベロリと舐められる。
「番に」
「や、めて」
「何故?」
「お、れは、運命、なんて」
「何故?」
「運命なんて、ひぁっ」
後孔に指を這わされ挿入されると、びくびくと裸体が震えた。足を大きく開いている現状に泣きたくなるが、啓介の思いとは裏腹に、悶える快感に困惑する。
何だこれ、この感覚は……発情抑制剤は飲んでいるのに、何故こんなにも。
自分自身がわからない。けれども歓喜していることに気づくと、啓介は自分自身に嫌悪する。それなのに宗弥の背に回した自分の腕が離れない。
「綺麗だ」
「ひっ、や、めろっ」
態度とは裏腹な言葉が吐き出されるも、その背に回された腕には力が込められる。見越しているかのように、宗弥の手が蠢く。後孔には愛液が溢れ、それを絡めるように宗弥の長い指が挿入される。
「んふっ、う、……あっ」
「……」
無言で額に口づけられると、歓喜する本能に意識を奪われる。ゆっくりと進んでいく宗弥の指から与えられる刺激に身震いする
「挿入れるぞ」
「んあっ、待っ、待っ、……てっ」
「どうして?」
「いっ、あ、ぁっ、あ――」
ぐぐっとした圧迫感を感じたかと思うと、内壁を擦る感覚に背がしなる。ゆっくり挿入され、啓介の息が止まる。
「――……っ、ん、あっ……ぁ」
「覚えてる?」
その声が、何故だか夢に見た彼と重なり、耳に届く。
え?
瞑っていた目を開けると、優しげな瞳が自分を見つめて、夢の彼とリンクする。
そんなはずはない、けど……けど。
あの後のシーンがタブって見える。
優しげな眼差しが自分を捕らえて目を離せない。けれどもその表情に、夢の彼が重なって苦しい。
もし彼が、あの夢の彼がこの宗弥であれば――そう思うと苦しい。惨めな後を遂げたであろう自分を知っているのかと、ありもしない過去に混乱する。
「あっ……はっ……あっ」
「どうした?」
苦しげに眉をひそめた啓介を案じ、宗弥が頭を抱えるように抱きしめる。一層宗弥の匂いに包まれ、もっと苦しい。頭を振り、それを伝えようとするも伝わらず、もっともっと苦しい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる