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8話
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時間は誰しもに平等に訪れる。ホルダーであってもモラトであっても、それは変わらない。
翌朝目を覚ました時、カノンは部屋から消えていた。夢と現の間で朦朧としている意識は、携帯の通知音によって現実の方へと傾く。
『昨晩、オレの上司が殺された。奴等はついに手を出しちゃいけない相手に手を出したんだ』
滅多なことがなければ直接連絡を寄越してはこない兄が、恐らくはまだニュースにはなっていないことを慧に送ってきた。余程切羽詰まっているのだろう。もしくは、身内に手を出されたことで、警察が事件の捜査に本腰を入れるのを期待しているのか。
ここが自治区であるとは言え、警察権限を使えば強制捜査は可能だろう。悟の言う「真実」が明るみになれば、自分の存在価値は今度こそなくなってしまう。そうなった時、自分はどう振る舞うべきなのか、慧には分からない。
既読の印のみを付け、携帯の電源を切る。立ち上がると、起立性貧血を起こした体がぐらりと揺れた。体勢を立て直すこともせず、ふらふらとゾンビのような足取りで歩き出す。
1階に降りると、そこには見知った影が出入り口に背中を向けてしゃがみ込んでいた。人間に隠れて見えないが、硬い餌を齧るような音がするから、猫がいるのだろう。
開け放たれた扉から室内に侵入する。ポケットからあるものを取り出し、カノンの頭に向かって突き出そうとした_____
「相変わらず気配がバレバレだよ」
だが、カノンに呆気なく見破られてしまう。慧は音が立ちそうなほどに歯を食い縛り、今度こそ、その先端をカノンの頭に押し付けた。
それは、兄の悟から護身用にと渡されていた小型の拳銃だった。
「……カノンさんは、脅されてるんですよね?」
「それは、今まさに、お前に?」
銃を撃った経験などなく、これからも撃つつもりはなかった。引き金に掛けている指は恐怖に震え、腕を通ってカノンにバレてしまいそうだ。もう片方の手で腕を押さえつけ、震えを止めようとする。
慧は、愛憎の入り混ざった表情でカノンを見下ろす。
「俺、分かんないんです。誰の言葉を信じるべきなのか、俺がこれから何をするべきなのか。だから、お願いです。脅されているんだと言ってください」
「仮に頷いたらどうなるの?」
出会ってたかが数ヶ月の相手よりも、長年の付き合いがある兄達の意志に従うのが当然だ。
母親の仇を討つためには、さまざまなことを知らなければならない。何故モラトがギフトを得ているのか。何故カノンは人を殺したのか。何故、母親は死ななければならなかったのか。それらを知る手掛かりが、目の前にいる。
何をすべきかは理解していたが、感情が、家族の思い通りに動くことを拒んで葛藤している。
「何があろうと、俺が、あなたを守ります。……俺、あなたのことが好きなんです」
どうせ用済みになってしまう未来が確定しているなら、好きになった相手と添い遂げたい。たとえカノンが人を殺していようと、カノンに本命の相手がいようと、彼のことをまだ好きだと思ってしまう自分は、頭がおかしいのだろうか。
「はは、何だよそれ」
一世一代の告白を、カノンは鼻で笑う。「まるで子供の癇癪みたいだな」と冷たい声で言い放ち、小さくため息を吐いた。
「脅されてるだって? 君が何の話をしてるのかさっぱり分からないけど、ひとつだけ言っておくよ。僕はこれまで一度たりとも、誰かの言いなりになったことはない。今ここにいるのも、自分の意思でやってることだ」
カノンは振り返った。純粋さすら感じるほどの透き通った瞳を細め、表情を嘲るように歪ませ、銃口を掌で握りしめる。
「だから君も、自分のやりたいことをすればいい。僕は逃げも隠れもしないよ」
ほら、と両手を広げてみせるカノンは、これまで見てきた中で一番楽しそうな笑顔を浮かべていた。頬を紅潮させ、事の成り行きを見守っている。慧の選択によっては、自分が殺される可能性があるにもかかわらず。
まだこの街で暮らして数ヶ月だが、その間でも分かったことがある。この街に暮らす人々は、酷く享楽的かつ刹那的だということだ。銃声や怒鳴り声が聞こえるのは日常茶飯事で、誰も止めることすらせず、どちらが死ぬかを賭けて楽しんでいる。
大学に行くため、街と「外」を隔てるゲートに向かう道中、道端には薬物でおかしくなっている連中が至るところに横たわっている。
光景の異様さから目を逸らせば、辺りには笑いが絶えなかった。皆、笑わなければやっていけないのだ。
カノンもそうなのだろうか。毎日のようにセックスに明け暮れ、喉を枯らすほどに喘ぐのが自分の意思だというのだろうか。
だとしたら何故、カノンは自分に縋ったのだろう。服を血に濡らし、震える手で慧の服を掴んでいたカノンが幸せなのだとは、慧には到底思えなかった。
記憶の中の赤い目と視線が重なる。
母は自分を庇って死んだ。母を殺したのはモラトであり、自分も程なくしてモラトと診断された。そして目の前に、母の死の原因を知っているかもしれない男がいる。
事態は思っていたよりも入り組んでいて、慧の手には負えない。元々深く思考するのはあまり得意ではなく、最終的にはカノンの言う通り「自分がどうしたいか」で考えるしかない。
自分がどうしたいか。そう考えた時、込み上げてくるのは、やりきれなさと怒りだった。攻撃性のベクトルをどこに向ければ分からない時、巡り巡ってそれは自分の元へと戻ってくる。
腕の角度を変え、銃口を自分の頭に向けた。体の震えは気がつけば止まっていた。ともすれば、嵐が引いた後の海の、凪のような穏やかな心持ちですらあった。
「さようなら、カノンさん」
指に力を込め、引き金を引く。
*
餌を食べていた猫が、ふと顔を上げ、にゃーんと鳴いた。その小さな声はしんと静まり返った部屋に響いたが、それどころではなかった二人は互いの顔を見合わせ黙り込んでいる。
猫は二人の顔を交互に見て、構ってもらえないと分かると、驚くほどの身軽さで自分の身長の数倍はある壁を乗り越え、開け放たれた窓から外に出ていった。
慧は呆然として、自身の右手に視線をやった。引き金を何度も繰り返し引くが、聞こえてくるのは空振りの音だけだ。
「え、何で? どうして……」
慧の様子を見ていたカノンは、堪え切れなくなった様子で、堰を切ったように笑い声を上げた。
「本当に愉快な子だね、君は! そんな体たらくで僕を守ろうなんて、とんだお笑い草だよ!」
背中を曲げて笑いながら、カノンはスウェットのポケットからあるものを取り出して床に放り投げた。小さな銃弾が、カラカラと音を立てて地面に散らばる。
「君にその銃を渡した人は、残弾確認の仕方もちゃんと教えるべきだったね」
銃を持っていることは、兄と自分以外誰も知らない。どうせ使うこともないだろうと部屋のクローゼットの奥にひっそりと眠らせていたのだが、カノンはいつが銃から弾を抜いたのだろうか。
慧の顔がじわじわと赤く染まっていく。羞恥ではなく、怒りからだった。
「勝手に俺の部屋漁ったんですか!」
「一応お伺いは立てたよ。眠ってたから返事は来なかったけど」
「そういうのは許可を取ったとは言わないんですよ!」
腹を立てた慧はカノンに掴みかかろうとしたが、それよりも先にカノンが早く動いた。脚を高く上げ、素早い蹴りで慧の手から銃を払いのける。回転しながら部屋の隅に飛んでいった銃に気を取られているうちに、カノンは慧の肩を掴んでその場に押し倒した。
「はは! 無駄に大人ぶってるよりも、そっちの方が僕は好きだよ。君、ちゃんと怒れるじゃない」
人形のように整った顔を生き生きと歪め、カノンは楽しそうに笑っている。そういえば初めて会った時もカノンはこんなふうに笑っていて、もしかするとこの表情に自分は惚れてしまったのかもしれない。
子供扱いされていることに怒るべきなのだろうが、思わずカノンの顔面に見惚れてしまったことに、「これが惚れた欲目ってやつなのか」と頭の冷静な部分がツッコミを入れる。
カノンは不意に笑うのをやめると、上体を屈ませて慧にキスをした。触れるだけの些細なまぐわいは、次第に湿度を増していく。
朝には似つかわしくない水音を立てながら、互いの呼吸を奪う。鼻にかけたようなため息をこぼすカノンの声には興奮したが、流石に今日はもう勃ち上がりそうになかった。カノンの手が衣類越しに慧の陰茎を撫で、そこが熱を持っていないことに気がつくと、カノンはムッと眉根を寄せる。だが、カノンもそれ以上先に進むつもりはないようで、唇を離すと、慧の胸に頭を置いた。
「……一度死んで、生まれ変わった気分はどう?」
生まれ変わった。そう言われ、今までの自分は死に損ないだったのだと気がつく。未だに母のことはほとんど思い出せないが、無意識のうちに、これ以上他人に迷惑をかけないようにと、息を潜めて生きていたのかもしれない。
死ぬべきところで死ねなかったという点では、今も死に損ないであることに変わりはない。だが「生まれ変わった」と表現されると、心の持ちようが少しだけ変わる気がした。
寝転がったまま顔を上に向ける。窓の向こうに広がる空は、綺麗に澄み切っている。息を深く吸うと、新鮮で冷たい空気が肺に届き、胸が軽くなった。
家族との仲もカノンとの関係も、何も物事は解決していないが、今はただ、全てがどうでもよかった。
翌朝目を覚ました時、カノンは部屋から消えていた。夢と現の間で朦朧としている意識は、携帯の通知音によって現実の方へと傾く。
『昨晩、オレの上司が殺された。奴等はついに手を出しちゃいけない相手に手を出したんだ』
滅多なことがなければ直接連絡を寄越してはこない兄が、恐らくはまだニュースにはなっていないことを慧に送ってきた。余程切羽詰まっているのだろう。もしくは、身内に手を出されたことで、警察が事件の捜査に本腰を入れるのを期待しているのか。
ここが自治区であるとは言え、警察権限を使えば強制捜査は可能だろう。悟の言う「真実」が明るみになれば、自分の存在価値は今度こそなくなってしまう。そうなった時、自分はどう振る舞うべきなのか、慧には分からない。
既読の印のみを付け、携帯の電源を切る。立ち上がると、起立性貧血を起こした体がぐらりと揺れた。体勢を立て直すこともせず、ふらふらとゾンビのような足取りで歩き出す。
1階に降りると、そこには見知った影が出入り口に背中を向けてしゃがみ込んでいた。人間に隠れて見えないが、硬い餌を齧るような音がするから、猫がいるのだろう。
開け放たれた扉から室内に侵入する。ポケットからあるものを取り出し、カノンの頭に向かって突き出そうとした_____
「相変わらず気配がバレバレだよ」
だが、カノンに呆気なく見破られてしまう。慧は音が立ちそうなほどに歯を食い縛り、今度こそ、その先端をカノンの頭に押し付けた。
それは、兄の悟から護身用にと渡されていた小型の拳銃だった。
「……カノンさんは、脅されてるんですよね?」
「それは、今まさに、お前に?」
銃を撃った経験などなく、これからも撃つつもりはなかった。引き金に掛けている指は恐怖に震え、腕を通ってカノンにバレてしまいそうだ。もう片方の手で腕を押さえつけ、震えを止めようとする。
慧は、愛憎の入り混ざった表情でカノンを見下ろす。
「俺、分かんないんです。誰の言葉を信じるべきなのか、俺がこれから何をするべきなのか。だから、お願いです。脅されているんだと言ってください」
「仮に頷いたらどうなるの?」
出会ってたかが数ヶ月の相手よりも、長年の付き合いがある兄達の意志に従うのが当然だ。
母親の仇を討つためには、さまざまなことを知らなければならない。何故モラトがギフトを得ているのか。何故カノンは人を殺したのか。何故、母親は死ななければならなかったのか。それらを知る手掛かりが、目の前にいる。
何をすべきかは理解していたが、感情が、家族の思い通りに動くことを拒んで葛藤している。
「何があろうと、俺が、あなたを守ります。……俺、あなたのことが好きなんです」
どうせ用済みになってしまう未来が確定しているなら、好きになった相手と添い遂げたい。たとえカノンが人を殺していようと、カノンに本命の相手がいようと、彼のことをまだ好きだと思ってしまう自分は、頭がおかしいのだろうか。
「はは、何だよそれ」
一世一代の告白を、カノンは鼻で笑う。「まるで子供の癇癪みたいだな」と冷たい声で言い放ち、小さくため息を吐いた。
「脅されてるだって? 君が何の話をしてるのかさっぱり分からないけど、ひとつだけ言っておくよ。僕はこれまで一度たりとも、誰かの言いなりになったことはない。今ここにいるのも、自分の意思でやってることだ」
カノンは振り返った。純粋さすら感じるほどの透き通った瞳を細め、表情を嘲るように歪ませ、銃口を掌で握りしめる。
「だから君も、自分のやりたいことをすればいい。僕は逃げも隠れもしないよ」
ほら、と両手を広げてみせるカノンは、これまで見てきた中で一番楽しそうな笑顔を浮かべていた。頬を紅潮させ、事の成り行きを見守っている。慧の選択によっては、自分が殺される可能性があるにもかかわらず。
まだこの街で暮らして数ヶ月だが、その間でも分かったことがある。この街に暮らす人々は、酷く享楽的かつ刹那的だということだ。銃声や怒鳴り声が聞こえるのは日常茶飯事で、誰も止めることすらせず、どちらが死ぬかを賭けて楽しんでいる。
大学に行くため、街と「外」を隔てるゲートに向かう道中、道端には薬物でおかしくなっている連中が至るところに横たわっている。
光景の異様さから目を逸らせば、辺りには笑いが絶えなかった。皆、笑わなければやっていけないのだ。
カノンもそうなのだろうか。毎日のようにセックスに明け暮れ、喉を枯らすほどに喘ぐのが自分の意思だというのだろうか。
だとしたら何故、カノンは自分に縋ったのだろう。服を血に濡らし、震える手で慧の服を掴んでいたカノンが幸せなのだとは、慧には到底思えなかった。
記憶の中の赤い目と視線が重なる。
母は自分を庇って死んだ。母を殺したのはモラトであり、自分も程なくしてモラトと診断された。そして目の前に、母の死の原因を知っているかもしれない男がいる。
事態は思っていたよりも入り組んでいて、慧の手には負えない。元々深く思考するのはあまり得意ではなく、最終的にはカノンの言う通り「自分がどうしたいか」で考えるしかない。
自分がどうしたいか。そう考えた時、込み上げてくるのは、やりきれなさと怒りだった。攻撃性のベクトルをどこに向ければ分からない時、巡り巡ってそれは自分の元へと戻ってくる。
腕の角度を変え、銃口を自分の頭に向けた。体の震えは気がつけば止まっていた。ともすれば、嵐が引いた後の海の、凪のような穏やかな心持ちですらあった。
「さようなら、カノンさん」
指に力を込め、引き金を引く。
*
餌を食べていた猫が、ふと顔を上げ、にゃーんと鳴いた。その小さな声はしんと静まり返った部屋に響いたが、それどころではなかった二人は互いの顔を見合わせ黙り込んでいる。
猫は二人の顔を交互に見て、構ってもらえないと分かると、驚くほどの身軽さで自分の身長の数倍はある壁を乗り越え、開け放たれた窓から外に出ていった。
慧は呆然として、自身の右手に視線をやった。引き金を何度も繰り返し引くが、聞こえてくるのは空振りの音だけだ。
「え、何で? どうして……」
慧の様子を見ていたカノンは、堪え切れなくなった様子で、堰を切ったように笑い声を上げた。
「本当に愉快な子だね、君は! そんな体たらくで僕を守ろうなんて、とんだお笑い草だよ!」
背中を曲げて笑いながら、カノンはスウェットのポケットからあるものを取り出して床に放り投げた。小さな銃弾が、カラカラと音を立てて地面に散らばる。
「君にその銃を渡した人は、残弾確認の仕方もちゃんと教えるべきだったね」
銃を持っていることは、兄と自分以外誰も知らない。どうせ使うこともないだろうと部屋のクローゼットの奥にひっそりと眠らせていたのだが、カノンはいつが銃から弾を抜いたのだろうか。
慧の顔がじわじわと赤く染まっていく。羞恥ではなく、怒りからだった。
「勝手に俺の部屋漁ったんですか!」
「一応お伺いは立てたよ。眠ってたから返事は来なかったけど」
「そういうのは許可を取ったとは言わないんですよ!」
腹を立てた慧はカノンに掴みかかろうとしたが、それよりも先にカノンが早く動いた。脚を高く上げ、素早い蹴りで慧の手から銃を払いのける。回転しながら部屋の隅に飛んでいった銃に気を取られているうちに、カノンは慧の肩を掴んでその場に押し倒した。
「はは! 無駄に大人ぶってるよりも、そっちの方が僕は好きだよ。君、ちゃんと怒れるじゃない」
人形のように整った顔を生き生きと歪め、カノンは楽しそうに笑っている。そういえば初めて会った時もカノンはこんなふうに笑っていて、もしかするとこの表情に自分は惚れてしまったのかもしれない。
子供扱いされていることに怒るべきなのだろうが、思わずカノンの顔面に見惚れてしまったことに、「これが惚れた欲目ってやつなのか」と頭の冷静な部分がツッコミを入れる。
カノンは不意に笑うのをやめると、上体を屈ませて慧にキスをした。触れるだけの些細なまぐわいは、次第に湿度を増していく。
朝には似つかわしくない水音を立てながら、互いの呼吸を奪う。鼻にかけたようなため息をこぼすカノンの声には興奮したが、流石に今日はもう勃ち上がりそうになかった。カノンの手が衣類越しに慧の陰茎を撫で、そこが熱を持っていないことに気がつくと、カノンはムッと眉根を寄せる。だが、カノンもそれ以上先に進むつもりはないようで、唇を離すと、慧の胸に頭を置いた。
「……一度死んで、生まれ変わった気分はどう?」
生まれ変わった。そう言われ、今までの自分は死に損ないだったのだと気がつく。未だに母のことはほとんど思い出せないが、無意識のうちに、これ以上他人に迷惑をかけないようにと、息を潜めて生きていたのかもしれない。
死ぬべきところで死ねなかったという点では、今も死に損ないであることに変わりはない。だが「生まれ変わった」と表現されると、心の持ちようが少しだけ変わる気がした。
寝転がったまま顔を上に向ける。窓の向こうに広がる空は、綺麗に澄み切っている。息を深く吸うと、新鮮で冷たい空気が肺に届き、胸が軽くなった。
家族との仲もカノンとの関係も、何も物事は解決していないが、今はただ、全てがどうでもよかった。
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