学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った

白金豪

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第37話 買い物

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「今日は何が食べたい? 」

 カゴの載った買い物カートを押しながら、遥希は隣の颯に尋ねる。

「八雲さん、やっぱりいいよ。料理を作ってもらうのは、申し訳ないよ。しかも、毎日って言ったよね。大丈夫だから! 自分で何とかなるから」

 遥希からの問いに答えず、颯は買い物カートに合わせて、前に進む。
 
 颯と遥希は、颯の自宅の最寄りスーパーマーケットに来ていた。スーパーマーケット内では、ガンガンに冷房が効く。そのため、外と比較して、格段に涼しい。

「そう言って、今まで通り、インスタント食品で済ませるつもりなんだろ? 例えば
、カップラーメンとかな。私は見逃さなかったぞ。キッチンに大量に存在したカップラーメンやカップ焼きそばをな」

 颯の考えを見破り、遥希はジト目を向ける。

「そ…そんなことないよ。そんな身体の悪い物取らないよ」

 図星だった。だが、しょうもないプライドから見栄を張る颯。だが、分かりやすく、両目は左右に泳ぐ。

「嘘が吐けないんだな天音。すべて顔に出てるぞ」

 ジト目を継続する遥希。少し、呆れているようにも見える。

「うっ。嘘じゃないよ」

 苦し紛れに言い訳し、颯は遥希から視線を逸らす。実に分かりやすい。

「とにかく! 今後、可能な限り、私が天音のご飯を作るからな。絶対に私は引かないからな」

 話を締め、無理やり切り上げようと試みる遥希。確固たる意志が感じ取れる。

「でも…」

 異論を発しようとするが、颯は途中で言い淀む。それ以降の言葉を発見できない。颯の語彙力の拙さが浮き出る。

「それで、今日は何が食べたい? 」

 颯の言葉を無視し、先ほどと同じ疑問を投げる遥希。有無を言わせぬ空気も発する。案外、頑固な所もあるのかもしれない。

「…オムライスが食べたいです…」

 返す言葉が見つからず、数秒の沈黙の後、説得を諦め、颯は夕食の要望を敬語で伝える。完全に遥希に敗北した形だ。

「正直で宜しい! 」

 にこっと嬉しそうに、遥希は優しい笑みを浮かべる。颯の要望を受け取り、不思議と気分が良さそうだ。

「それじゃあ、今からオムライスの具材を集める必要があるな。え~っと。まずは、玉ねぎとニンジン等の野菜類だな」

 現時点で身を置く、青果売り場を、買い物カートを引きながら進み、まず遥希は玉ねぎの陳列したコーナーに辿り着く。当然、颯も一緒に行動する。

「う~む。どれが品質が優れているだろうか…」

 重ねて陳列した玉ねぎを1つずつ手で掴み、両目を細め、遥希は表と裏に目を通す。汚れや色が悪くないかを確認する。

「う~ん。これか。これにしよう」

 何個か確認し、吟味してから、1つの玉ねぎを選び、買い物カートに載ったカゴに、入れる。

 そして、次はニンジンの陳列したコーナーに移動する。玉ねぎと同様に、ニンジンも物色する。

 2、3分ほど掛けて、鮮度の高そうなニンジンを選ぶ。

 一方、颯は黙って、遥希の物色する姿を静観する。それしか出来なかった。

「これで野菜は問題そうだな。確か、天音の冷蔵庫にケチャップはあったはずだから。残りは卵と鶏むね肉だな」

 青果売り場で用を済ませ、前進し、卵1パックも買い物カゴに入れ、颯と遥希は、精肉売り場に向かう。

 青果売り場を真っすぐ進み、右に曲がり、鮮魚売り場を超えた先に、精肉売り場は、ちょうど位置する。

「ねえ、ちょっと聞きたいことが、あるんだけど、いいかな? 」

 精肉売り場で、鶏むね肉の詰まったパックの賞味期限を、神妙な面持ちで確認する遥希に、颯は1つの気に掛かる点があったため、声を掛ける。

「うん? どうした? 」

 右手に持った鶏むね肉のパックを、冷蔵庫に戻し、遥希は意識を颯に向ける。

「あの、中谷さんに関する話なんだけど」

 ぴくっと眉をひそめ、目を細める遥希。

「瑞貴に関することか。…それがどうしたんだ? 」

 声のトーンが少し落ち、多少なりとも不機嫌さが垣間見える。2人きりの状況で、他の女子の話をされたことが原因だろう。

「今日、中谷さんが告白を受ける現場を目撃したんだけど。中谷さんは頻繁に男子から告白を受けてる感じ? 」

「うん。まあ、そうだな。瑞貴はモテるからな。入学して数えきれないほど、告白されてると思うぞ。全部断っているらしいがな」

「そうなんだ…。それは大変だね。好きじゃない興味のない多くの男子から告白を受けるんだよね。いい迷惑だね」

 同情しているような眼差しを注ぎ、颯は率直に抱いた感想を口にする。瑞貴の立場になって考えるだけで、疲弊してしまう。

「ちなみに…。私も何度も告白を受けた経験があるぞ。もう訳が分からないほど、告白を受けたぞ。全部情けを掛けずに、断ったがな」

 なぜか、対抗するように、自慢話を語る遥希。恥ずかしいのか、仄かに顔を赤く染め、そっぽを向く。

「そ、そうなんだ」

 突然の遥希の発言に、対応が追いつかず、颯は歯切れの悪い返答をする。

 このままでは、話が違う方向に傾くと推測し、颯は今夜の夕食に関する話題に戻した。

 急な話題の転換に、難色を示さず、先ほどのように、遥希は鶏むね肉の物色を再開する。

 全く知識は無いが、颯は、鶏むね肉を物色するお手伝いに従事する。

(それにしても、瑞貴さんは、何であそこまでモテることに良いイメージを持ってないんだろう? 少なからず自尊心は高まるはずなのに) 

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