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デート+α ①
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「だ・か・らっ、なんでお前がいるんだよ!!!」
頭を抱えて声をあげる奏汰に、一瞬だけ周りの視線が集まる。
するとハッとしてすぐに声を落とし。
「あ、明良さん。僕がこいつを連れてきたわけじゃ――」
「うん、知ってる。だってぼくが誘ったから」
「!?!?!?」
彼の返答に、今度は絶句して目を白黒させた。
明良の口から『デート』なんて言葉が出て大いに驚いたが、それが単なる買い物だと知って安堵したやらガッカリしたやら。
しかし気を取り直して出かけた先にいたのはやはりあの人物で。
「龍也君と奏汰君、行こうか」
「はい!」
明良の言葉に元気よく返事する高校生。
「え? え? え?」
混乱中の奏汰。
「ほら行こうぜ」
サッと、あくまでさりげなく彼に手を取られた。
「あっ、え、えぇ?」
そのまま数メートル手を繋がれた状態のあと。
「おい!」
と慌てて振り払う。
「んだよデートだろ、だったらいいじゃん」
「違う! デートだけどっ、デートじゃない!!」
「あはは。なんだそれ」
テンパりながらもなんとか距離を取りつつ、隣で笑顔でいる彼にすがる。
「明良さんなんで!?」
「あ、言ってなかったかな。奏汰君と龍也君のデートにぼくが同伴しようかと思って」
「ちょ、意味がわかんないよ! 僕はてっきり――」
「まあまあ、とにかく君たちにはお買い物手伝ってもらうね」
「そ、それはいいですけど……」
その綺麗な顔で言われると途端に弱くなってしまう。そんな奏汰を見て少しムッとした顔の龍也。
「また二人でイチャイチャしてる、奏汰は俺のストーカー相手だからな」
「いやストーカー自称してるのがやばいだろ」
開き直り方もなかなかぶっ飛んでいる。
ともかく行こうと歩き出した三人。
「何が買いたいとかあるの?」
奏汰の問いかけに明良は少し考えたあと、彼らがいる大型ショッピングモールをチラリと見渡して言った。
「ベビー用品、かな」
ゆったりとした服に触れながら目を伏せた。
なるほど、と奏汰は思ったすぐ後に龍也の反応が気になる。
「もしかして」
半信半疑といった様子の彼に、明良はそっとうなずいた。
するとみるみるうちにその形の良い目は大きく見開かれる。
「まさか嘘だろ?」
「龍也君」
「妊娠してたのかよ。まったく気付かなかった」
「これには色々事情がね」
「そんな……俺……」
ついには頭を抱え始めたが、ボソリと呟く。
「でもまあいいか」
「え?」
そしてパッと顔を上げて。
「俺、あんたのお腹の子の父親になるから!」
「へ?」
なぜか視線は奏汰の方に向いている。真面目な顔でポカンとしてる奏汰の手を両手で包み込むように握った。
「安心しろ、あんたが産む子は俺の子供だ」
「えっ?」
「ちなみに出産には立ち会う。陣痛中もちゃんとサポートするからな」
「いや、そういう……ええっ!?」
確実に勘違いしている。しかしあまりのことに訂正の言葉が上手く出てこない。それをまた勘違いしたのか、今度は強く抱き締められた。
しかも大勢の人がいるショッピングモールにて。
「俺は奏汰がいれば幸せだ、だから奏汰は俺が幸せにする!」
「た、龍也!?」
そう叫ぶ少年に周囲の人間達はどよめき、一拍おいてなぜか拍手が沸き起こった。
「ちがっ、ちょ……お前、なに言ってんだ!」
「違う? もしかして本当に俺の子とか? あ、まさかあれは夢じゃなくて本当の――」
「おい待てあれってなんだ。どんな夢みてやがったんだ、このエロガキめ!」
「どんなってそりゃあ、俺が奏汰の【ピー】に【ピー】を力強く【ピー】して。あんたが、大っきいの入んないよぉって泣くけど構わずぶち〇して、ヤダヤダ壊れちゃうって言うのをなだめてたら次第に蕩けて自分から求めはじめて……」
「ストップストップ!!! もういいっ、もう言うなッ!」
とんでもない単語と表現の羅列に怒鳴り声あげながら口をふさぎにかかる。
「手が小さいな」
「ひぃぃっ!?」
その手のひらすらべろりと舐められて悲鳴が。
「いい加減にしろっ、僕は妊娠してない!」
「えっ」
キョトンと首をかしげた龍也は次に視線を移したのは涼しげな顔をしている明良の方。
というかちゃっかり衆人に紛れて他人のフリをして、なんならスマホを構えて撮影までしている。
「もしかして明良さんのこと?」
「当たり前だろ、バカ」
「……え」
「わかったらもう離せ!」
そこでようやく、渋々といった様子で解放された。
怒りと羞恥で顔を真っ赤にしながら、奏汰は明良の方に歩み寄る。
「明良さんもなに撮っての!?」
「いや、結婚式で流したらいいかなって」
「冗談やめてよ!」
「まあまあ。とはいえ龍也君を驚かせちゃって悪かったね。ぼくの方はシングルマザー予定だし、今度は気をつかわせちゃうかもしれないけど」
しかし龍也はあっけらかんと。
「いや別にそこは良いですけど。じゃあ買い物の荷物持ちはまかせてくださいよ。俺、腕力めちゃくちゃあるんで」
そう言ってのけてから無邪気に笑った。
「龍也君」
「さ、行きましょ。ついでに今晩、メシも食って行っていいですか? もちろんお手伝いしますんで」
「喜んで。ありがとね」
奏汰はそんな二人の優しい会話を聞きながら。ふととある疑問が浮かんだ。
――龍也は明良の妊娠のこと、確か知ってたはずだ。なんせ二人で彼を連れて逃げたこともある。
それなのになぜ、妊娠というワードで奏汰の方だと勘違いしたのか。
「……お前、本当にバカなんだな」
「え? いきなりディスり?」
「若いうちにボケてんじゃないぞ」
だがその違和感に、いまいち気づけない奏汰であった。
頭を抱えて声をあげる奏汰に、一瞬だけ周りの視線が集まる。
するとハッとしてすぐに声を落とし。
「あ、明良さん。僕がこいつを連れてきたわけじゃ――」
「うん、知ってる。だってぼくが誘ったから」
「!?!?!?」
彼の返答に、今度は絶句して目を白黒させた。
明良の口から『デート』なんて言葉が出て大いに驚いたが、それが単なる買い物だと知って安堵したやらガッカリしたやら。
しかし気を取り直して出かけた先にいたのはやはりあの人物で。
「龍也君と奏汰君、行こうか」
「はい!」
明良の言葉に元気よく返事する高校生。
「え? え? え?」
混乱中の奏汰。
「ほら行こうぜ」
サッと、あくまでさりげなく彼に手を取られた。
「あっ、え、えぇ?」
そのまま数メートル手を繋がれた状態のあと。
「おい!」
と慌てて振り払う。
「んだよデートだろ、だったらいいじゃん」
「違う! デートだけどっ、デートじゃない!!」
「あはは。なんだそれ」
テンパりながらもなんとか距離を取りつつ、隣で笑顔でいる彼にすがる。
「明良さんなんで!?」
「あ、言ってなかったかな。奏汰君と龍也君のデートにぼくが同伴しようかと思って」
「ちょ、意味がわかんないよ! 僕はてっきり――」
「まあまあ、とにかく君たちにはお買い物手伝ってもらうね」
「そ、それはいいですけど……」
その綺麗な顔で言われると途端に弱くなってしまう。そんな奏汰を見て少しムッとした顔の龍也。
「また二人でイチャイチャしてる、奏汰は俺のストーカー相手だからな」
「いやストーカー自称してるのがやばいだろ」
開き直り方もなかなかぶっ飛んでいる。
ともかく行こうと歩き出した三人。
「何が買いたいとかあるの?」
奏汰の問いかけに明良は少し考えたあと、彼らがいる大型ショッピングモールをチラリと見渡して言った。
「ベビー用品、かな」
ゆったりとした服に触れながら目を伏せた。
なるほど、と奏汰は思ったすぐ後に龍也の反応が気になる。
「もしかして」
半信半疑といった様子の彼に、明良はそっとうなずいた。
するとみるみるうちにその形の良い目は大きく見開かれる。
「まさか嘘だろ?」
「龍也君」
「妊娠してたのかよ。まったく気付かなかった」
「これには色々事情がね」
「そんな……俺……」
ついには頭を抱え始めたが、ボソリと呟く。
「でもまあいいか」
「え?」
そしてパッと顔を上げて。
「俺、あんたのお腹の子の父親になるから!」
「へ?」
なぜか視線は奏汰の方に向いている。真面目な顔でポカンとしてる奏汰の手を両手で包み込むように握った。
「安心しろ、あんたが産む子は俺の子供だ」
「えっ?」
「ちなみに出産には立ち会う。陣痛中もちゃんとサポートするからな」
「いや、そういう……ええっ!?」
確実に勘違いしている。しかしあまりのことに訂正の言葉が上手く出てこない。それをまた勘違いしたのか、今度は強く抱き締められた。
しかも大勢の人がいるショッピングモールにて。
「俺は奏汰がいれば幸せだ、だから奏汰は俺が幸せにする!」
「た、龍也!?」
そう叫ぶ少年に周囲の人間達はどよめき、一拍おいてなぜか拍手が沸き起こった。
「ちがっ、ちょ……お前、なに言ってんだ!」
「違う? もしかして本当に俺の子とか? あ、まさかあれは夢じゃなくて本当の――」
「おい待てあれってなんだ。どんな夢みてやがったんだ、このエロガキめ!」
「どんなってそりゃあ、俺が奏汰の【ピー】に【ピー】を力強く【ピー】して。あんたが、大っきいの入んないよぉって泣くけど構わずぶち〇して、ヤダヤダ壊れちゃうって言うのをなだめてたら次第に蕩けて自分から求めはじめて……」
「ストップストップ!!! もういいっ、もう言うなッ!」
とんでもない単語と表現の羅列に怒鳴り声あげながら口をふさぎにかかる。
「手が小さいな」
「ひぃぃっ!?」
その手のひらすらべろりと舐められて悲鳴が。
「いい加減にしろっ、僕は妊娠してない!」
「えっ」
キョトンと首をかしげた龍也は次に視線を移したのは涼しげな顔をしている明良の方。
というかちゃっかり衆人に紛れて他人のフリをして、なんならスマホを構えて撮影までしている。
「もしかして明良さんのこと?」
「当たり前だろ、バカ」
「……え」
「わかったらもう離せ!」
そこでようやく、渋々といった様子で解放された。
怒りと羞恥で顔を真っ赤にしながら、奏汰は明良の方に歩み寄る。
「明良さんもなに撮っての!?」
「いや、結婚式で流したらいいかなって」
「冗談やめてよ!」
「まあまあ。とはいえ龍也君を驚かせちゃって悪かったね。ぼくの方はシングルマザー予定だし、今度は気をつかわせちゃうかもしれないけど」
しかし龍也はあっけらかんと。
「いや別にそこは良いですけど。じゃあ買い物の荷物持ちはまかせてくださいよ。俺、腕力めちゃくちゃあるんで」
そう言ってのけてから無邪気に笑った。
「龍也君」
「さ、行きましょ。ついでに今晩、メシも食って行っていいですか? もちろんお手伝いしますんで」
「喜んで。ありがとね」
奏汰はそんな二人の優しい会話を聞きながら。ふととある疑問が浮かんだ。
――龍也は明良の妊娠のこと、確か知ってたはずだ。なんせ二人で彼を連れて逃げたこともある。
それなのになぜ、妊娠というワードで奏汰の方だと勘違いしたのか。
「……お前、本当にバカなんだな」
「え? いきなりディスり?」
「若いうちにボケてんじゃないぞ」
だがその違和感に、いまいち気づけない奏汰であった。
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