入口君♂と出口君♂

田中 乃那加

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愛していると言わないで

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「あ゙~っ♡ ……あっ、んあっ、ぁ♡」
「あきちゃんったら。すごく気持ち良さそうだよ」
「う、うるしゃいっ♡ んはっ!? ひぃ゙っ♡♡」
「あはは。かわいい声」

 ガクガクと揺すぶられて、アイツと繋がった箇所からぐちゅぐちゅと耳をふさぎたくなるような水音が漏れて。
 それでも俺はおかしくなりそうな、いやもうおかしくなってしまうほどの快感に悶える。

「ひゃあ゙ァッ♡♡ おぐっ♡ お゙ぐぅ、や゙めてぇっ♡♡」
「なんで? 好きでしょ、ここ」
「あ゙ァァ゙ァッ♡♡♡ らめ゙ぇぇ゙ぇぇっ♡♡♡♡」

 こいつに抱かれるようになってから、俺の身体はかえられた。少しずつ、でも確実に。

 ――あの時、すぐにケツ掘られるのかと身構えたけどあいつはそうしなかった。
 むしろ真っ青になる俺に、変わらない優しい笑顔を向けたんだ。

『なにごともプロセスが重要なんだよ』

 昔……なんだったかな。あ、そうだ。小学生の頃の夏休みの自由研究を一緒にやった時にも似たようなことを言ってたっけ。

 内容自体は図書館で借りてきた本に載ってるような簡単なもので、俺はそれを写してさっさと終わらせたかった。
 でもあいつはそうさせなかったんだ。
 
 すごく丁寧に予想と実験と証明と考察と。じっくりと取り組む佳史には当時、尊敬より少し苛立った。
 そんなつまらない宿題なんてパパッと終わらせて、早く遊びたかったんだ。夏休みは長いようでいて短い。

「あ゙~っ、あ゙♡ ん゙ぎぃっ♡ じぬ゙っ、死ん゙じゃぅ゙♡♡」
「死ぬ時は僕も一緒だよ」

 ああ違う、違うのに。

 俺は苦痛にも似た快感と同時にもどかしい気分で、あいつの腕に爪を立てる。そうでないと正気が保てない。
 
 なだめ脅されこの家に通わされた挙句、俺が初めてあいつを受け入れさせられたのは今日が初めて。
 それまでは、ずっと指や玩具で散々いたぶられてきた。怪しげな薬 (なのかは定かじゃないが)も目の前で使われた。
 
 だからあいつの指だけでも簡単にイくように開発されたのは、仕方ないことなんだろう。

「あきちゃんったら、さっきまで処女だったのにこんなに感じて」
「そ、それは……ひぎゃっ♡」

 すべてこいつが悪い。いつの間にか、普通なら感じるハズのない乳首まで開発されて。雑につままれるだけで、ビリビリと身体中に電気流されたみたいになってしまう。

「んひっ♡ やめろ♡♡ ちくびっ、ひっぱらないでぇっ♡♡ くりくりっ、やだぁぁ♡♡♡」
「気持ちいいんだね。も締まったよ」
「お゙~~っ♡♡♡」

 おっぱいとお尻、同時なんてひどい! もう頭ん中バカになって、ロクにしゃべることもできない。

 どうしよ、どうすればいい? 幼なじみで親友だと思ってたヤツに、こんな無様な格好で犯されるなんて夢にも思わなかった。
 あいつの部屋のベッドの上で、潰れたカエルよりひどい姿勢取らされて。
 腰の下に枕を敷いてるせいかまるで、性器もなにもかもさらけ出す形なのが恥ずかしい。
 でもそれだって、どうでも良くなってきている。

「あ゙っ♡ お゙っ♡ お゙♡ イ゙ぐっ、イぎそうぅぅ♡♡」
「もう少しがんばってね」
「ひぎゅっ!? ♡♡ 」

 すっかりアナルだけでイくことも出来るようになった、俺のダメちんぽ。男の尊厳なんてほとんど剥ぎ取られた、メスの証だっていわれただらしのないダメ射精。
 だって仕方ないよな、ここまで調教されたんだもん。

 こいつに弱みをにぎられた俺は、毎週末会いに行くしかなかった。
 そして毎週、色んなことを教え込まされたんだ。
 宿として毎日のアナル拡張と開発を動画報告することを強要されて。

 そりゃあ嫌だったよ。最初はシカトとしたし、このままバックレようともした。
 でも最初に撮られたフェラ画像を会社や家族にバラすなんて言われたらどうすりゃいい?
 
 そしてこれが結果。
 俺はついに、身も心もメスになった。淫らでどうしよもない、女とも男ともいえないバケモノだ。
 お気に入りのグラビアアイドルで勃たなくなって、好みのはずのエロ動画でヌけなくなって気がついた。
 同時に絶望して、あいつに詰め寄った。
 でも。

『……じゃあ今日にしようか』

 なんてどこかイっちまったような目で笑うだけ。どうにも怖くなって逃げようとしたけどもう遅かった。
 
 それからはもう目をおおいたくなる地獄。

「や゙、やめ、い゙だぃっ、はなせよぉ゙」

 イきたくてもイけないように前をせき止められて、泣き叫びながら抵抗する。でもこんな大柄なやつに適うわけなくて。
 押さえつけられてまたアナルからの激しい突き上げに、言葉すら話せなくなる。

「ひぐっ……ぅう、あ゙♡ やっ♡ あ゙ァァァ♡♡♡」
「ああ、苦しそうな顔がすごく色っぽいね」

 なんでこいつ、こんなに嬉しそうなんだ。満面の笑みで。それなのに目が笑ってなくてギラギラしてんだもの。
 怖いってレベルじゃなくて、でもなぜか目が逸らせない。
 親に泣きつくなり誰かに相談も出来たはずなのに、俺はいつもその家に一人で行くんだ。

「なんでっ、なんでだよ……っ♡」

 なんで俺なんだ。こいつ女にもかなりモテただろ。
 優しげで顔だってブサイクじゃない。それどころかヘラヘラしてなきゃ、まあイケメンといっても差し支えない部類だし。
 
 高校時代のある年のバレンタインにだって、山ほどチョコもらって告白もされて。不貞腐れる俺に、あいつは困ったように笑ってた。

『あきちゃんさえいてくれたら、何もいらないんだけどねえ』

 なんて言いながら――。

 ……あ。

「あきちゃん、愛してる」

 優しく視線を合わせてきた佳史の顔は、どう見てもやっぱりあの日の困り顔だった。

「あきちゃんはもう苦しまないで」

 苦しんでる? 俺が? なんで???
 
 思考の端々にクエスチョンマークが飛び交って、なかなかまとまらない。そうこうするうちに、あいつも限界がきたようで。

「っ、あきちゃん……僕、もう……!」

 辛そうな切なそうな顔で俺を呼ぶ男。ぼたぼたと、汗がしたたって胸に落ちる。
 俺だって余裕もへったくれもないけど、なぜか目頭が熱くなって。それを誤魔化したくて、手を伸ばす。

「あ゙……っ……ぐ、泣いてる……みたい……あぅっ……!」

 そう口すると。佳史がくしゃりと顔をゆがめたと思った次の瞬間、強く抱きしめられていた。

「あきちゃん」

 今度こそ、あいつは泣いてる。そう思った。だって肩口に汗とは多分違う雫がしたたり落ちたのを感じたから。
 戸惑って声を上げるも、離してくれる気配はない。

「お、おい!?」
「お願いだよ、僕を置いていかないで」
「え?」
「ずっと一緒にいるから。だから、一人で無理しないで。お願いだから」
「なにを……あぁっ♡♡」

 またねちっこく激しい動きで前立腺や奥を突かれはじめて、俺はそれ以上なにも意味のある言葉を発することが出来なくなる。
 でも。

「あきちゃん、僕は幸せだよ」

 そう言ってまたその目から大粒の涙がこぼれて俺の上に滴った。
 


 



 


 
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